第19話 「管轄」のはなし
どの裁判所で審理を始めるかというのは、本当に大事な話なのです。
そりゃあ、知的財産の厄介な話や私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律、と言ってはわかりにくいが、要は独占禁止法にかかる裁判などは、特定の高等裁判所を第一審にすることになっています。
そんな厄介な話は、地裁案件にはなじまないということです。
「三審制」なのが2回だけになるじゃないかというけれど、ここまでくれば、そういう問題じゃない。
逆に、10万円返せなんてのを、特に憲法問題になるような要素もないものを、高等裁判所なんかに「わめき出られても」困るでしょう。だから、地方裁判所どころか、そんなのはまずは簡易裁判所でやってね、というわけ。
この流れが、金額面や事件の難易度による管轄わけの基本。
次に問題となるのは、場所のこと。
今回の事件で、相手方弁護士が岡山簡裁に提訴された本件を「S簡裁に」と申し出たのは、もちろん、違法ではない。この手の裁判では、基本中の基本。
「被告は歯科医師で云々~」「証人尋問が不可欠云々~」と御大層な能書きを垂れていましたが、そんなものは簡単にねじ伏せられます。
S簡裁に移送したところで、被告の負担が極度に減るわけでもない。それどころか、代理人がつく以上、代理人のための交通費などの負担が増えるだけ。まあ、代理人がトモダチだから手弁当でやってやろうなんて思うほどの人間かどうかはともかくね。証人尋問にしても、裁判所ではどうせ書面のやり取りが中心で、それを出せば「陳述」したとみなされるわけで、「一般納税者(自称)」が忙しくて出られないなどの時のために、代理人がいるのよね。
それから、証人尋問にしても、ないとは言わないし被告の言い分というか、主張は聞く必要、というより、把握する必要はあろうが、それは何も本人を呼びつける必要などない。陳述書という書面にして出せばいいだけのこと。それでも十分性が不足しているというのであれば、仕方ない。呼ぶ必要もあるでしょうから、そこで初めて、裁判所に来て法廷でしゃべれ、質問に答えてね、という流れ。
不可欠なんて程のことも、実は、ないのよ。
逆に言えば、そこに、こちらの被告本人ではなく、ここで問題となっている代理人弁護士に対する付け入るスキができた、ってことになるわけですよ。
まずは、民事で訴える(絡め技)。
もう少し暇でもあれば、弁護士会に懲戒請求のネタぐらいには、なります。
もちろんこの程度で「戒告」という一番低い処分になることなどないでしょうが、そんなことが問題なのではありません。
その理由は、もうあえて説明しないほうがよろしかろう。
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