異変
交通事故
ある日僕はいつものように部活帰りに隆敏と他の部員と一緒に家に向かって歩いていた。そうすると猛スピードで走る自転車に僕はひき逃げされた。
車でのひき逃げはよく聞くが、自転車にひき逃げされると言うことはあまり聞かない。
ひかれた衝撃で僕は思いっきり胸を強打した。
その時は痛かったが次第に痛みは治まった。
その後僕は胸が痛くなっては治まってを繰り返すようになった。
そんなかんだで僕たちは5年生が終わり、6年生になった。
毎年恒例のガラスに貼られたクラス表を見ると今年もまた隆敏とは同じクラスにはならず、結局小学校6年間1度も同じクラスにはならなかった。
6年生になったということはほぼ全ての行事において小学校生活最後と言う言葉がつきまとうことになる。最後の遠足、最後の運動会、最後の大会、最後の学芸会等がある。僕もみんなのように小学校生活最後を楽しむはずだったのに……。
最後の遠足は突然倒れることがあってはいけないってことで遠足には参加出来ずにいた。
5月になり体調を崩し僕は入院することになった。実際、この時は胸の痛みと言うより高熱での入院だった。
その為、学校に行けない僕は部活の仲間、そして通学団の美紅等に迷惑をかけてしまって申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
そして僕は1週間入院をして土曜日の夜に家に帰ってきた。
次の日運動会だが、練習おろか病み上がりの人間がそこに加わることは出来ず変わりに家族がせめてと思い小学校に行き、運動会を様子を撮影してきてくれた。
僕はその映像を見てみんながいきいきとした姿に羨ましく思えてきた。
そして週が明けた月曜日、僕はいつものように通学団で学校に登校をしていた。
そして校門をくぐるとソフトボール部の監督、部員が僕に"お帰り〜"と出迎えてくれた。
その姿を見た僕は思わず泣いてしまい、隆敏から1つのグローブ入れをもらった。
そのグローブ入れには「気持ちで負けるな」と刺繍がされていて、話を聞くとみんなでカンパして僕にプレゼントをしてくれたと伝えられた。僕は今までもらったプレゼントの中で1番嬉しかった。
僕は残り1ヶ月ですがよろしくお願いしますと監督、部員に伝えた。
最後の大会
この時には6月で夏の大会まで残り1ヶ月を切っていた。僕は初めから背番号をもらえないことを確信しておりここまでやってきた仲間と最後までやり遂げたい、この仲間と共に最後の大会優勝したいと言う気持ちでいた。
なので部員のサポートを積極的に行い、部員が自主練したいと言えば付き合うことにした。
そして6月も終わるある日監督は今から背番号を発表するから呼ばれたら返事をして取りに来るように言った。
1番松中隆敏と名前がどんどん読み上げられていた。
そして僕はもちろん名前は呼ばれなかった。その後監督は僕を呼び、みんなの前で皆川も戻ってきて60人で戦うことが出来ることが嬉しい。
選ばれなかった選手はサポートをしっかりやって欲しい。みんなで優勝しようと監督、部員全員で円陣を組んで一言ずつ意気込みを述べた。
そして夏の大会前日、最後の練習を終えて監督からは明日から大会が始まるけどミスを恐れずアグレッシブに行こうと言った。
夏の大会開幕
1回戦神岡町小学校相手に10対0のコールドで初戦を危なげなく勝利した。
次の日は小学校のグラウンドでまた練習し、2回戦河東山小学校に5対3と勝利した。
そして僕らは次の対戦相手の偵察をするために別の会場に足を運んだ。
試合は一方的な試合で15対0で下谷小学校が勝利し、市内でも有するの強豪校下谷口小学校と決まった。
僕らは準々決勝の相手下谷口小学校が事実上の決勝戦だと考え、その帰りにバッティングセンターで練習をして下谷小学校戦に備えた。
そして翌日、美河谷小学校のグラウンドには下谷口小学校戦を迎えた。
周りは下谷口小学校の一方的な試合と予想されていて僕らもここまで来たからにはこの試合に勝って優勝し、県大会に行きたいと思っていた。
審判の集合と言う合図に両者一斉にホームベースに向かって走り一礼をして試合が始まった。
美河小学校の先発はエース隆敏、下谷口小学校と確実に勝とうとエース左腕の三木谷をもってきた。
隆敏、三木谷共にランナーを出して、得点圏にランナーを出すものの要所を抑えるエースらしいピッチングを見せていた。
4回裏美河谷小学校は打者一巡し、1番隆敏がバッターボックスに向かおうとすると監督は隆敏を呼んだ。隆敏は監督の言うことに頷き、バッターボックスに向かう。
三木谷の球は速くノビもあるからバットを短く持ってコンパクトにいくように言われてコンパクトに打ったがピッチャーフライに終わった。
その後お互いにチャンスらしいチャンスもないまま最終6回裏を迎えていた。そしてバッターは1番隆敏に回ってきた。
隆敏はこの回点を取らなければ延長戦になり、そうなれば選手層の厚い下谷小学校の勝ちがほぼ決まったも同然だと思い、意地でもこの回で決めると考えた。
三木谷が投げた初球、隆敏は3塁線にセーフティーバントをすると捕球した三木谷が1塁に送球すると悪送球すると隆敏はすかさず2塁に進んだ。
そして2番セカンド下川が確実に送りバントを決めて1アウトランナー3塁で頼れる主砲3番キャッチャー久保田に打席が回ってくる。この試合三木谷から2安打を放っている久保田を歩かせて4番黒川との勝負を選んだ。
下谷小学校のキャッチャーは立って分かる敬遠ではなく座っての敬遠を選択した。
三木谷が3球ボールを投げて後1球で次の黒川に回ってくる4球目三木谷は投球動作に入り、ボールを握り損ねてマウンドにボールを落としてしまった。
すかさず審判は"ボーク"この瞬間僕たち美河小学校は下谷小学校を1対0でサヨナラ勝ちを収めた。
下谷小学校に勝った僕たちは有頂天になっていた。その姿を見た監督は僕たちにまだ試合が続くぞ、ここで浮かれるなと一喝した。
翌日に準決勝には丘北学院小学校と対戦が決まり、美河谷小学校は初回から2点取り幸先のいいスタートを切った。
エース隆敏は3回までパーフェクトピッチングを見せた。
そして連投してきた隆敏は細かいコントロールが狂い始めた。
ここまで四死球の少なかった隆敏が1イニングにフォアボールを2つ与えてしまった。堪らずキャッチャーの久保田はタイムをかけて隆敏に駆け寄る。
久保田は隆敏にコースを狙わなくていいからど真ん中に思いっきり腕を振るように伝えて戻った。
そして隆敏は思いっきり腕を振ったが甘いコースにいき、2点タイムリーを打たれて同点にされてしまった。その後隆敏は何とか後続を抑えた。
回が進み最終6回裏どうにか延長戦に持ち込みたい隆敏はこの回もマウンドにあがった。先頭打者に際どいコースをつくものの結果フォアボールでランナーを出してしまう。そして次の打者にインコース低めに投げてレフト前ヒットかなと思った隆敏だったが、ショートの広河がファインプレーで捕球する。
そしてすぐに立ち上がり1塁に送球するもののボールはファーストの頭を大きく逸れた。
丘北学院小学校のフォアボールで出塁したランナーは3塁を蹴ってホームに向かう。
カバーに入っていたピッチャーの隆敏はホームにボールを投げた。
そしてホームベースでクロスプレイになり、キャッチャーの久保田のグローブからボールはこぼれていた。
3対2で丘北小学校に敗れ僕たちの夏はこれで終わった。
その時僕は体調不良でベンチ横で応援せず、家族と共にグラウンドの傍らで試合の様子を見ていた。
6年生になって練習を1ヶ月近く参加出来なかったもののこれで美河小学校ソフトボール部の夏は幕を閉じた。
夏休み
夏休みに入り、今までと比べて有意義な時間を過ごすことが出来た。
ある日僕はテレビのリモコンを付けてテレビを見ていると全国高校野球選手権大会愛知県予選が行われていた。
準決勝に残ったのは私学4強と呼ばれる、西邦高校、仲谷学園大附属高校、愛知技術大附属高校、鷹水(たかみず)高校の4校が残り決勝進出を決めたのは西邦高校と仲谷学園大付属高校だった。
そして僕は決勝が地元の市民球場で行われると知り家族と共に応援に行くことにした。試合は6対3で西邦高校が5年ぶり10度目の甲子園の切符を手にした。
僕はこの試合を観て点差以上に内容の濃い試合だと思い、どちらのチームも甲子園に行かせてあげたいと思う程いい試合だった。
そして次の日からまた夏休みの宿題をやって10日後テレビを見ているとニュースで明日から六甲球場にて全国高校野球選手権が開催されると報道があり、僕は明日からまた高校野球が観れると思いワクワクしていた。
高校野球にはよく魔物がすんでいると呼ばれている。
それは練習や県大会では絶対おこらないブレーや観衆の声援により周りが全員敵に見えてきたりすることを指す。
僕は高校野球を見ていて毎年思うのは、これはマンガの話なのか、いやこれはマンガで描いても度が過ぎて描けないだろうというような試合が沢山ある。
テレビで見ている僕は面白いがやっている選手たちは気が気でないと思う。
このプレッシャーの中で白球を追いかける姿に感動をもらう。
49代表校が集まり開会式が行われた。
そして岡山県代表倉敷マスカット学園高校の主将沖田が選手宣誓を務めた。「全国の人々に希望と感動を与え続けます」普段なら選手宣誓は暗記して言うが沖田は覚えるのが苦手だが選手宣誓をしてみたいと立候補してメモを見ながら宣誓した。
この年優勝候補だったチームが1回戦、2回戦で次々と敗退し愛知県代表の西邦高校も準々決勝で福岡県代表公立の博多南高校に1対0で破れている。
博多南高校は下馬評(げばひょう)では優勝候補には挙げられていなかったが。
強豪校を次々と撃破して福岡県は明太子の生産が多いことから"明太子旋風"と呼ばれるようになっていた。
博多南高校は準決勝の相手は愛媛県代表東条高校にも勝利し、あれよあれよという間に決勝に進出した。
決勝で博多南高校は岡山県代表の倉敷マスカット学園高校と対戦することが決まった、
倉敷マスカット学園高校のエース沖田はプロ注目の右腕で最速153キロでカットボール、高速シンカー、スローカーブ、フォークボールを操りプロ志願届を提出すれば競合必至と呼ばれる逸材で一方の博多南高校はプロから注目させる選手はおらず、4番バッターに送りバントをさせたりピッチャーに盗塁をさせたり、代打や継投といった一見荒削りに見えるところもあるが全員で1つの試合を勝ちに行く姿勢を見せていた。
そして決勝戦博多南高校対倉敷マスカット学園高校の試合が始まった。
倉敷マスカット学園高校は初回から博多南高校エース福岡から3点先制した。一方の博多南高校はエース沖田の前に7回までヒット2本、2塁すら踏めせない完璧のピッチングをしていた。誰もがこのまま沖田が抑えて倉敷マスカット学園高校の優勝だと思っていた。
しかし、9回裏博多南高校は沖田を捉え始める。
9番ピッチャーの水谷がフォアボールで出塁する。1番センター相川がフォアボールで出塁すると風向きが博多南高校に向いてきた。2番セカンド下沖がスリーボールになり4球目、際どいが球審はボールの判定をした。
そして0アウトランナー満塁3番ライト福岡は2ボール1ストライクの4球目甘く入ったストレートを振り抜いた。打球はレフトポールに直撃した。
一瞬、球場はシーンとなったが次の瞬間、満塁ホームランを放った福岡に歓声が送られた。博多南高校は試合を振り出しに戻り延長戦に入った。
博多南高校、倉敷マスカット高校共にランナーを出すもののチャンスで点を取れずそして延長15回を迎えていた。
この回両チームが点が入らなければ再試合となるので是が非でも1点を取りたかった。
15回表岡山マスカット高校エース沖田は2アウトまで抑えると8番山崎に甘いストレートを捉えられてソロホームランを打たれ、球場全体が倉敷マスカット高校の優勝で決まったと思っていた。
倉敷マスカット高校のエース沖田1回から投げて球数は200球を超えている。
沖田も最後の力を振り絞り2アウトあと1人までの所まで来て、5番田中はデッドボールで塁に出る。
ネクストバッターにいたのは沖田とともに凌ぎを削ってきた6番ピッチャー福岡に打席が回ってきた。
沖田は初球にフォークを投げたがすっぽ抜けで棒球を投げて福岡は見逃さずフルスイングをした。
その打球はレフトポールに直撃してこの瞬間博多南高校は初出場初優勝を果たした。
そして高校野球が終わり、プロ野球も佳境でAクラス争いが激化してきた。
この頃には優勝争いをするチーム、来季に向けて若手を実戦経験をするチームと二分していた。
夏休みが過ぎて秋へ
9月1日夏休みが終わり、美紅や通学団のメンバーと共に小学校に向かった。僕は教室に向かうと久しぶりに見るクラスメイトと夏休みの話題で盛り上がっていた。
中には家族で帰省して美味しいものを食べた、海外旅行に行って日本では見られない景色を見てきたと言っている人もいた。
みんな楽しい夏休みを過ごしていたんだなと思っていたら1人の女の子が僕に声をかけてきた。
彼女の名前は三浦佳奈(みうらかな)から声をかけられ佳奈は皆川君ってソフトボール部だったよね?
僕はそうだよと話すと私この夏どこに行ったと思うと聞いてきた。
僕は佳奈の印象は華奢で可愛らしい子だったので彼氏と夏祭りに行ったのと笑いながら言った。
そして佳奈は違うよ、私の祖父母の家が兵庫県だから六甲球場に行ってきたんだと嬉しそうに言ってきた。
僕はどの試合を観にいったの?と言うより三浦って野球好きだったの?
佳奈は野球のルールは難しくて分からないけど、観てて一喜一憂するのが楽しいな。
私が観に行った試合は倉敷マスカット学園高校対博多南高校の試合で博多南高校の福岡君の満塁ホームランには感動した。
僕は前のめりにあの沖田からホームラン打つとは思わなかったよ。
僕は佳奈に福岡が沖田からホームラン打ったことよりもっとすごいことあったよ。何だと思う?
佳奈は困った顔をしてえ、なんだろう……。分からないから教えて欲しいと言ってきた。
僕は佳奈に三浦が野球が好きでこうやって意気投合するなんて思わなかったから嬉しくてさ。
佳奈は女の子で野球好きなの私だけだし、前から皆川君に声をかけようと思ってたんだけど気づいたら1学期終わって夏休みになっちゃったから2学期になったら声をかけようと思ったんだ。
僕はそういう事だったのか、じゃあ次の席替えの時隣になれたらいいね。そしてチャイムが鳴り、佳奈は僕に微笑んで自分の席に戻っていった。
そして避難訓練を行い夏休みの宿題等の提出物を出してこの日は午前中で終わった。
僕は家に帰ろうとしていたら隣には佳奈の姿があった。
佳奈は僕に家ってこっちの方なのと聞いてきて僕は信号渡ってずっとまっすぐ行ったところのマンションだよと言った。
佳奈は驚いた顔をして私は地下道をくぐったところにマンションがあるの分かる?
僕はあったかなと考え、地下道をくぐったところに一際大きくて目立つマンションがありそこなのかと聞くとそうだよと佳奈は答えた。僕は佳奈に家の方向が同じなら帰りだけでも一緒に帰らない?
佳奈は私も帰り1人だし、一緒に帰ろうという話になった。
そして僕と佳奈は終始野球の話をしていて高校野球が終わり、昨日のプロ野球の話をして盛り上がっていた。
佳奈は僕に土曜日に家族で球場に行くんだけど、細かいルールとか分からないもんでもしよかったら私の家に来て教えてくれないかな?
僕は思わず佳奈にそれなら学校でもいいじゃん。
そんな突然家に押しかけたら家族もビックリするだろうし……。そんなことを言っている僕に佳奈は私の両親共働きだからこの時間家に居ないから大丈夫だからいいよ。
僕はあ、ありがとう、女の子の家行くなんて始めてだから緊張するな……。
私も家に男の子を上げるの始めてだからそんなに緊張しなくてもいいよ。
僕は佳奈にじゃあルールブック持って家に行くね。
佳奈は僕に部屋番号を教えて家に帰った。僕は1度家に帰りルールブックと近くにある和菓子屋でお菓子を買って行った。
そして僕は教えてもらった部屋番号を押すとオートロックが開き部屋に行って呼び鈴を鳴らすと佳奈は空いてるよ〜と言って僕は部屋に入った。
玄関にいた佳奈にお菓子を渡すとそんな気をつかなくてもいいのにと冗談交じりに話しているとじゃあ2人で食べるからとリンゴジュースを出しておやつを食べていた。
そして僕は佳奈にルールブックに書かれていることをもう少し詳しく説明していると佳奈は皆川君の説明分かりやすいね"さすが"僕は冗談でもそういうことを言われて嬉しいと言った。
僕は佳奈にこれだったら教室で説明でもよかったんじゃないと聞いた。
佳奈はそれだと周りの女の子が皆川君を贔屓(ひいき)してるって話になるし、それだと皆川君に迷惑かけちゃうかなって思ってさ。
それなら家に来てもらってゆっくり話した方がいいかなって。家に呼んだの迷惑だったかな?
佳奈は僕に話しかけるとそんなことないよ、むしろそんなこと言われるなんて思わなくてビックリしたぐらいだよ。
もし三浦の悪口を言ってる人居たら俺に言ってな、俺がちゃんと言うもんでさ。
佳奈は皆川君って優しいんだね、お言葉に甘えて何かあったら言うことにするね。
そして学芸会、僕たちのクラスは「美女と野獣」を演じ美女役には佳奈で野獣役は僕が務めた。
途中、野獣の僕が美女の佳奈に手を繋ぐシーンがあったが私情を挟んだ行けないと思い演技に集中した。
そして学芸会は無事に終了して佳奈は前日に使い捨てカメラを買っていてカバンに入れていた。
そして他のクラスの人に頼み写真を撮ってもらい、佳奈は写真が出来たらまた皆川君に渡すねとニッコリした笑顔で言った。
そして後日佳奈は僕の下駄箱に写真を入れていた。僕は周りの目を気にしながら瞬時にランドセルに入れた。
修学旅行
そして待ち焦がれた修学旅行が遂にやって来た。僕のクラスは40人だが男女20人ずつではなく、男子21人、女子19人と変則的でいつも男女1人ずつ余る形になっていた。
新幹線の席、バスの席僕と佳奈は隣の席に座ることにした。
移動中はずっと野球の話をしていてこの日日本シリーズ那古野パオロンズ対北海アサヒファイトーズで那古野パオロンズが勝てば60年ぶり2度目の日本一がかかる大事な試合が控えていた。
私は試合観れないだろうから代わりに皆川君、見ておいて欲しいと言って僕は分かった任せておいてと佳奈に伝えた。
そんな会話をしていたら那古野(なごの)駅を出た新幹線は京都駅に到着した。
京都駅に着いた僕たち美河谷小学校一同はバスに乗り込み奈良へと向かった。
奈良の代名詞と言えば奈良口公園でシカと戯れることで着くやいなや、佳奈はシカに煎餅をあげてシカを可愛がっていた。
佳奈は近くのお店で使い捨てカメラを買って景色、シカ等を沢山撮っていた。その後各地を巡りホテルに戻って1日目が終わった。
学年全体で夕食を済ませて部屋に戻り僕は自由帳を取り出し試合が始まるのを待った。
そして僕は試合を食い入るように試合を見て両チームの成績を書き込み始めた。
そして僕はあることに気がつく。那古野パオロンズの山本投手が6回終わって18人を1人のランナーを出さないパーフェクトピッチングをしていた。テレビを見ている僕、球場全体がざわつきはじめてきた。
そしてあれよあれよと8回24人までパーフェクト、あと1イニング3人抑えたら史上初の日本シリーズでの完全試合となる。
9回表、山本投手が出てきて3者連続三振で抑えて那古野パオロンズは60年ぶり2度目の日本一となり、前人未到の日本シリーズでの完全試合を成し遂げた。
自由帳に書き終えた僕はそのまま寝てしまった。
そして次の日佳奈に自由帳を見せるとすごい試合だねと言うと僕は佳奈に自由帳を渡すとこれは皆川君のだからと言ってカメラで撮影した。
2日目は京都観光でまず二十二間堂に向かい、その後は一条城に向かった。
この一条城の特徴として床を擦ると「キュッキュッ」と音が鳴る。
その説明を聞いた僕たち小学生は一斉に床をキュッキュッしはじめる。
そうすると一条城の職員の人がトランシーバーで注意をするように促している。
それならば説明の段階でやりすぎ注意と一言言ってもらえればよかったのになと小学生ながら僕は思っていた。
楽しい修学旅行が終わり僕たちは愛知に戻った。
バレンタイン
修学旅行が終わり、冬休みもあっという間に過ぎて3学期が始まった。
そしてクラスの女の子たちは固まって何かを話している。
いつものように僕は佳奈と一緒に帰っている時にさっき女の子たちとワイワイ話してたけど何を話していたのかと聞いた。
佳奈はみんなバレンタインに誰にあげるのか、自分用に何を買うかって話で盛り上がってたよ。
僕はまだ年明けたばかりなのに早いねと笑いながら言うとそう思っていたら佳奈に1ヶ月なんてあっという間だよ、そうだ皆川君はチョコとクッキーどっちがいい?
僕はどっちかな〜、じゃあクッキーの中にチョコ入れてみるのはどうかと提案すると佳奈はじゃあそうするね。皆川君当日楽しみにしててね。
そしてバレンタイン当日、放課後公園に来てほしいと言われた。
僕は佳奈にある思いを伝えようと考えていた。
そして公園に佳奈がやって来て僕にクッキーを渡すと佳奈は僕に話があると言ってきた。
僕は佳奈と一緒にいるうちに1人の女の子として好きになっており、この時佳奈も同じことを思っていると考えた。
僕は佳奈に「佳奈さん好きです。僕と付き合ってください」そして佳奈は突然泣き出した。
理由を聞くと私も好きだし付き合いたいけど、家の都合で転校しなきゃいけないんだ。そうすると僕はパソコンのアドレスを佳奈に渡していつでも連絡してねと言うと頷きメールするねと言って家に帰った。
そしていつも佳奈がいたがいないと思うと寂しく気がついたら僕は小学校を卒業していた。
彩華や佳奈は隣町の私立中学行ったと聞いたがその後どうしているのかは僕は分からない。
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