第4話
「え?」
離そうと思っていた細い手を強く握る。
――なんだ、これは。
そのまま顔をあげて辺りをぐるりと見渡す。
三軒奥の年季の入った舶来風の一軒家も、大量生産型の四角い住宅達も、ちかちかと今にも灯りがつきそうに点滅していた無機質な街灯も、カラスが肩を並べていた電信柱さえ――見当たらない、見慣れない景色がそこに伸びていた。ゴールデンレトリバーの声もしない、あまつさえ微風すら流れていない、いやに平坦な空気。もしかして一本渡る辻を間違えたのかもしれない、と振り返る。驚きとそこはかとない不安感に僕は二の句が告げなかった。
色こそ違えどもいずれ菖蒲か杜若な築年数の浅い家々が軒を連ねていたはずの道の脇には、こんな片田舎ではおおよそお目にかかれないであろう豪華絢爛な柵が黒く並んでいた。先端には細やかな細工が施されていて、見るからにお高いことを主張している。その奥のお屋敷も、柵に勝るるに劣らない目もあやな作りと大きさだ。どの家も灯りが何一つ点いていないところを鑑みるに、ベットタウンと化しているのだろうか。
おどろおどろしい薄暗さに身を捩りながら、不安で下を向いてしまっていた首をもたげる。丸い笠のついたモダンな街灯に、夕陽を取り込んだような橙の光がほんわりと灯っていた。近代的なLEDライトとは違う、白熱電球の頼りない明るさが辛うじて僕達のつむじを照らしている。
「······ここ、どこ」
たるるが息を飲んで最もらしい――最もこの場面で正しい疑問を零した。
「――知らない。振り返ったところでわかるのは僕達が道を間違えたわけではないってことだけだろ」
「間違えたもなにも、通ってきた道すらどこって感じじゃん、これ。ジョセ太郎の家も無いし、通学路にこんな跡部王国みたいな建物が並んでたら観光名所になってるでしょ――あ、待って、跡部王国は言い過ぎた······」
たるるはそう言って今しがた通ってきた道があるはずの方に視線を伸ばした。僕も真似をしてもう一度目を向けてみる。つんのめるくらい爪先立ちをしても、見える景色が変わることはなく、いつの間にか太陽が沈みきった宵闇が大きく口を開けているだけだった。春の濁りはじめた茄子紺色の空がこの見慣れない暖色の景色に拍車をかけている。足をずらす度にアスファルトだった地面が煉瓦になった――地面すら見慣れないものに変わってしまった――音を立てる。もう元来の面影が目の前のありふれた十字路しかなくなってしまった。道幅と形としての〝十字路〟ということだけはありふれているけれど、その実、舗装されたアスファルトは煉瓦に、大量生産型の四角い屋根の家々は絢爛豪華な豪邸(だが灯りがないので煌びやかさは半減している)に、白い近代的なLEDライトは橙色の街灯に、という、ありふれていない――少なくともこの近辺ではもの珍しい景色に様変わりしていた。
わざとらしく悩ましげに顬を抑える。低い溜息がどろりと地面に落ちた。
なんなんだ――なんなんだというんだ。
と、体現してはいるものの、普段はお目にかかれないであろう非現実的な空間に、現象に、有様に、僕は少しだけ胸がざわついていた。誰だって一度は「異世界に飛ばされて可愛い女の子やカッコイイライバルと共に冒険」なんていうライトノベルでありがちな妄想をしたことがあると思う。
今まさにそれが――そんな非現実的な超常的なことが、目の前にふんぞり返っているのだ。
元々、怖い話とかオカルトチックなものを魅力的に感じているタイプの人間なら、なおのこと。
わくわくだって、しちゃう。
「うむむ······。とりあえず、進む?」
「本気かい? こんなワクワク······いや、うろんな場所をみだりに歩き回るものじゃないと思うけど。充電はあるだろ? じゃあ地図アプリを使ってみようよ。あとは知り合いに電話してこの場所の特徴を伝えて道案内を頼むとか······」
「でもでも、四方八方意味わからない景色なんだから伝えようがないし、進んでみるしかなくない? って――わくわく? 今わくわくって言ったよね? こんな時にわくわくしてんじゃねーわよ! 好奇心がダダ漏れなのよこのオカルト大好き芸人め」
「芸人ではないけど、締りのない胸中でごめん。面目ない」
「その素直さに免じて許してあげる。というか。まあ、うん、あのね、ハイテンションでいじっちゃったから言うのが憚られるのだけれど、なんと言うかつむじ曲がりだとは思うのだけど、リオくん、私たちは――どのみち進むしかないのみたいよ」
たるるはポケットから出したスマートフォンを僅かにタップした後、僕にその画面を髄っと突きつけた。
ほら見て――スマホが使えないのよ。
そう静かに宣ったたるるに上擦った疑問符が口から跳ねた。疑うわけではないけれど、鞄から自分のスマートフォンを取り出して画面を明るくする。すべからくそこに表示されている〝圏外〟の文字にまた深い溜息が零れた。
たるるの言う通り、進むしかないのかもしれない。
そもそも僕達はこう言ったシチュエーションに対して明るくない。知識だってないし、経験だって勿論ない。つまり、〝どうしたらいいのか考えつくことも出来ない〟のだ。これはもう、万策尽きたのではないか――とスマートフォンをブレザーのポケットに入れた。たるるも同様に、スカートのポケットに仕舞った。ここに第三者の知識豊富で場数を踏んできた手練た奴がいたならば「おいおいちょっと待てよ時期尚早だ」とそいつに言われるかもしれないが、僕達にとっては、ここが行動に移すグッドなタイミングなのである。諦めも肝心だ。
「それじゃあ行こうか」
元より、立ち止まっているのは性にあわないしね――と。
僕達は闇に滲むほど真っ直ぐ伸びる一本道を歩き出した。
「――飽きた」
最初こそ気張っていた足取りも、十分と過ぎれば重たくなるもので。違和感と異様さしかなかった西洋らしい屋敷たちも、並びすぎると見慣れてしまう。装飾はそれぞれ異なるのだろうけれど、彫刻やらに明るくない僕達にはどれもさしたる違いは見受けられなかった。それに、黒い柵もその奥に鎮座する暗く白い屋敷も、(これは僕の想像だけれど)その間に広がる庭も、昼間ならば得も言われぬ美しさに目を細めるところでも、こんなに暗くてはよく分からない。ああうん、広いし豪華なんじゃない? くらいである。
「――三温糖······」
「え、なに突然」
「いや、なんか三温糖ってさ、語感だけだけれど何だか冬って感じしない? 三温灯――暖かみのある昔ながらの電灯みたいな」
「それって和菓子や和食によく用いられる砂糖のひとつだからじゃないの? まあ温かなイメージはあるけれど」
「あとこの街灯がとっても三温糖色でお腹空く。何時間歩いたのよ私達······」
「そんなに歩いてないだろ。スマホが正常に機能してくれていればの話だけれど――三十分くらいしか経ってないよ。というか、もう少し街並みに合わせて叙情的にセピア色とか表現できないの? 一気にお菓子感が増してチープに見えてきた」
「おかしな町並みではあるから間違いではないわね!」
「うーん、たしかに可笑しいね」
たるるも飽きてきたらしい。思考が明後日の方向に向いている。
だんだんと見慣れてきすぎてどうして何処に何のために歩いているのか分からなくなってきた時――三十分程真っ直ぐどこにも曲がらずに(曲がる辻が無かっただけなのだが)歩いていた時のこと、僕達の足元に煉瓦ではない感触の地面が現れた。本当に道としてあめつちに晒されているのか疑問を呈したくなるほどに傷や汚れひとつない道路から、無造作に敷き詰められた石畳へと、ゆくりなく、何の前触れもなく変わったのである。
急にゴツゴツとおぼつかなくなった地面に驚いて僕は足を止めた。同じようにバランスを崩したたるるの手を引いて支えながら、灰色になった地面の向こうを覗き見やる。
これより先にあの橙色の街灯は見当たらない。ただ、果てが見えなくなる程度には、また石畳が続いていることは伺えた。あまつさえ、また――一本道である。
「進展、あったってことかな······」
「――どうする?」
「どうするって、進むしかないでしょ。ここまできて戻ったら、今までの数時間はなんだったのって感じじゃないの」
「数時間も経ってないけど、そうだよね。このままだと煮えきらないよね」
――じゃあいこう。
お互いに顔を見合わせて頷き合う。大丈夫。そう言って僕達は仄明るい煉瓦との境界線を超えた。
このまま歩いていれば、もしかしたらトンネルよろしくどこか見知った場所に出るかもしれない。もしかしたら――そんな霧が立ち込める現状に希望を捨てきれずにいた僕は、口をあんぐりと開けて、みっともなく打ちひしがれていた。
それから幾分もなく、僕とたるるは足を止めた――止めざるを得なかった。何故ならば進行方向に進行するべき道が、遮断、断絶していたからである。林みたいなけものみちになったわけではない。ましてや断崖絶壁だったわけでもない。もしも断崖絶壁だっただらにべもなく引き返している。足を止めて思案に暮れているのには、どうするべきか迷うそれなりの理由があった。
ごつごつした石畳の先にあったのは、小さな袋小路で。今まで見てきた舶来風の邸宅とは異なった造りの鄙びた門構え、門口には黒法師が細やかに描かれたぼんぼりみたいな灯りが垂れ下がっている。それに見合ったこぢんまりとした甍の平屋。先刻まで無表情に並んでいた建物に比べたら、お世辞にも大きいとはいえないけれど、中々に立派な造りをしていた。屋根の四隅にある装飾といい、目の前のぼんぼりといい、日本人らしい奥ゆかしさのある佇まいだ。
とはいえ、とうとう道が絶たれてしまった。
家の裏に勝手口があるようにも見えない。そもそも家の裏に回る塀が見えるのに、その後の景色がまったく伺えないというのは不自然極まりない。鬱蒼とした木々が生い茂っている様子でもなさそうだ。不明瞭すぎて不審で不穏だ。
僕達はまたも顔を見合わせた。たるるの顔が、少しだけ不安そうに陰る。
「行き止まり、だね······」
「うん。僕達がここに来るまでの道すがら脇道がひとつとして無かったことを鑑みると、ここに来るための道だったってことなのかな」
「え、何それ無理。まじで帰りたいんだけど」
「それは僕もだよ」
見たところ、表札はない。そもそも誰かが住んでいるのかすら怪しいところだが。唯一の灯りであるぼんぼりだけが、無機質な空間に温かみを添えていた。
少なくともこの明かりを暗くなってから付けた人間がいるか、オートで点灯するように設定している家主がいるとうことになる。その可能性は今の疲労困憊な僕達には希望へのきざはしに感じた。
「あ!」
「どうしたんだい?」
「ほら、ほら見てよ、あそこ。家の中に灯りが付いてるの! 蝋燭か、ランプ程度の幽かな光だけど、人がいるんじゃない?!」
たるるが指した方向を辿ると、曇り硝子のせいで滲んではいたけれど、たしかにほんのりと蝋燭程度の灯りが窓の端から漏れていた。ゆらゆらと揺れているように見える。――火、だろうか。もしそうだとしたら、すべからく人がいることになる。少なくとも〝人のように行動する何か〟がいるはずだ。
なかなか踏ん切りが付かないのは、ここが〝自分の意思で訪れた家〟ではないからだろうか。それとも、僕がヘタレなのか。いや、後者ではない。断じてない。僕はヘタレじゃない、慎重なだけだ。
とはいえ、ここで立ち往生したままというわけにもいかない。状況を打破するには、何かしらの行動を起こさなければ。けれど、こんな場所で、こんな行き止まりで、しかもこんな一本道で、危ないものが出てきてしまっては逃げ切れる可能性は高くないだろう。たるるは予想外のことには、反応が一拍遅れるきらいがある。いざとなったら僕が抱えるか、あるいは僕が囮にでもなって――
かくん。身体が傾いて足がもつれる。悪く思い合わせている僕の袖をたるるがねえねえ、と明るい声色で引っ張ってきたのだ。
「リオくんどうしたの? ごめんくださいしようよ」
「······あのね、よく考えてごらんよ。こんな怪しさしかない場所の最果てにある小奇麗すぎて怪しい家にご在宅の方が、怪しくないと思う? 普通の人だと思う?」
「めっちゃ怪しんでるとこ申し訳ないんだけど、私は存外普通の人かもしれないと思い始めてる」
「見た目が普通かもしれないとは思うよ、でもさ――」
「でもでもだってっていつまでも言ってたって――そんな物分りの良さそうな慎重そうな物言いをしていたって何にも動けないじゃない。それが現状よりも進むにしろ退くにしろ、ね。それに、このまま引き返して、またどうしようもなくなって、またまたここに戻ってくることになるかもしれないでしょ。だったらここで思い切ってノックしてみた方が、少なくともここに立ち止まってる必要がなかった――もしくは退散する必要があったって知れるわ。その方が合理的よね?」
たるるはそれと――とはにかんで言う。
「もし後者の逃げるコマンドを選択する時が来たら――リオくんは私が守ってあげるから!」
――はあ。
僕はこめかみを抑えながらため息をついた。彼女が――僕なんかより華奢で(ほんの僅かだけれど)背の低い彼女が、ここまで言っているのだ。ここでさらに何か論じようものなら、それは慎重ではなく臆病と言わずなんだというのか。
臆病者には――なりたくない。
こんな彼女の前でならなおのこと。
色々と言いたいことはあったけれど、それを嚥下して、ただそれを――笑みに変えた。
「君って、たまに僕より男らしいね、まったく。かっこいいいよ」
でも、こういう時くらいは男に花を持たせてくれよ――と、僕は先に敷居をくぐった。
「奇遇だねリオくん。私も今〝リオくんってたまに私よりも男らしい時があるなあ〟って思ってたの」
「僕は男だからね、あたりま――······え? たまに? たまにしかないの? そもそもたるるより男らしくないことが前提なの?!」
「たまにだからいいんじゃない? 男らしいっていうのは、なにも褒め言葉だけじゃないわ。強引でむさくるしいよりは、女々しくてで優しい雰囲気の方がいいじゃない。とっつきやすくて。だから隠れてモテるんじゃない?」
「も――ももも、モテる?! ちょ、ちょっと! 空気読めよ! 突然褒めるな!」
「この程度で吃ってんじゃねえよ。安心し思い返してみて、半分は悪意だから問題ないわ」
「そういえばそうかも······。もう、もういいよそれで。あんまりうるさくしてたら御近所迷惑になるし」
「御近所お留守みたいですけどね、むしろご近所どころか果てしなく何も無いですけどね」
「まあそうなんだけれど」
数メートル先の上がり口に立つ。門前からでは暗くて潰れていた扉の装飾が見えた。燻した金色の縁取りがまるで宝箱みたいな威圧感を醸し出している。凝っているのに、門やぼんぼり、屋根と同じようにまとまりがあって派手に感じない上品な造りだ。この時間では――果たしてこの空間に昼間があるのかは謎だが――木目がよく見えないほどに黒く年季が入っているドアを、睨む。僕の胸元辺りの高さにあるノッカーを掴んで、一度きつく目を瞑る。緊張からごくりと喉が鳴った。
――いささか金具の位置が低い。ここに住んでいる〝誰か――何か〟に合わせた造りなのだろうか。
掴んだ方の手首にある腕時計を見る。五時四十分過ぎ。まだ夜分と宣うにはまだ早い。そもそも「夜分遅く大変失礼致します――」という丁寧な挨拶が通じる相手かどうかも不明である。
「――······。ごめんください」
こんこん、と情けなく強ばる手で木目を打つ。周りが静かだからか、ドアを叩く音が妙に大きく感じた。
息をついて腕を下げる。ドアの向こうから物音は聞こえない。誰も――何もいないのだろうか。含むことろはあるけれど、もう一度声をかける気にはなれなかった。
「誰も出てこないねえ」たるるが間延びした声で呟く。ここまで来てここまでやって、誰も出てこないまま無駄足を踏んだのだとしたら、今までの道のりは何だったのか――そしてこれからどうしたらいいと言うのか。何も無かったという情報を手に入れただけ僥倖と開き直るべきなのか。さっきはああやって行動を起こすよう焚き付けられたけれど――それにまんまと乗ってしまったけれど――けれど、その先はどうしたらいい? そんな不安に転がりそうな気持ちを悟られないように、ほんの少しだけ下にある彼女の肩に手を乗せた。大丈夫だよ、とは言えなかった。弾かれたように上げた顔に笑いかける。
「飽きたままなら、慣れたままなら――そのまま抜け出せたならよかったのにね」冗談まじりに言えば「面白くないよ、もっとユーモラスに言って。テイクツー」とたるるは目尻を下げた。
窓の端に映る灯りに目をやる。変わらずゆらゆらと揺れている。蝋燭、あるいはランタンか、それとも行灯か。おおよそ無機質な電化製品にはありえない広がり方をしている光に希望を託す。
どうかその光が自動的な何かではありませんように。趣ある家屋に相応しい灯り取りでありますように。
――かたり。
願いが通じたのか、ドアのすぐ向こうで軽い物音がした。顔を見合わせる。同時にお互いの目とかち合ったということは、幻聴ではないはず。「今の聞こえた?」「聞こえた!」僕はもう一度ノッカーを掴もうと手を伸ばした――が。
「はあい」
けれどもしかし、その手はすんでのところで引っ込めることとなった。
理由は明白である。目の前のドアが――開いたのだ。軋む音もなく、勢いもなく、小ぢんまりと――開いたのだ。
僕は一歩下がってドアの向こうに目を向けた。
「え?」
「あれ?」
まず、一番最初に身に染みたのは、得も言われぬ安堵感だった。肩の力がすうっとぬけて、さらに一歩後ずさってしまった。それに次いで、自分でも驚くほど間抜けな声が垂れる。拾われることなく地面に転がったそれを気にすることなくぱしぱしと瞬きを繰り返す。隣のたるるが、僕の分も大げさに反応してくれているみたいに声を張って肩を跳ねさせている。
そんなたるるのオーバーリアクションにも乱されることなく、人一人分開けたドアの向こうで、〝誰か〟は態度どころか眉一つとして崩さずに僕達を見上げていた。いや、多少驚いてはいるのだろう。頬に手を添えてきょとりと首を傾げている。
「あら、いらっしゃい。今日あなた達が来る予定なんてあったかしら?」
「ええ?! なんでっ?! ここどこだったの?!?!」
「――む。ここはどこだと訊かれたらそれは私のお家に他ならないけれど。藪から棒に怒鳴り込むだなんて、礼儀に欠けているのではなくって? 仕切り直しよ。はいどうぞ」
「ご、ごきげんよう――かよ子さん」
僕達を出迎えてくれたのは――最果てにいたのは――僕達のとても見知った、とても心強い人で。
僕達のこの一時間弱(正しくは約五十分)などつゆほども知らないかよ子さんは「はい、よく出来ました。ごきげんよう」と――それはそれは上品に目を細めてドアを大きく開いてくれた。
「今日は何を聞きたいのかしら?」
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