咲綾との出会い
一変
僕は何気ない日常を過ごしていたが咲綾と出会い一気に心身共に何事にもやる気が出た。それは周りにも最近違うけど何かあったのか?
授業後に携帯を開くと咲綾からメールが届きクラスメイトからは誰からメールなのかと聞いてきて電車で出会って仲良くなった女の子だよと答えるとクラスメイトは会いたいと羨ましいがっていた。しかしまだ知り合ってまた日が浅いし交際してる訳でもないから仲良くなってから合わせた方がいいのではないかと考えていた。
また電車の中で咲綾さんに会いたいと思っていたが高校生と大学生では動く時間が異なる。
高校生は決まった時間に行かなくてはならず、朝練があればその時間よりも早く学校に行かなくてならない。その一方で大学生は曜日によって講義の時間がバラバラでどちらかというと時間には余裕があるといっても過言ではない。
この時の僕は咲綾さんは優しく美人なお姉さんにしか過ぎず、年下の自分なんて眼中に無いと思っていた。
記録会
次の土曜日僕は港南陸上競技場で記録会か行われるので朝練、そして授業後の練習と終わった後コーチに懇願し自主練をすることを許可してくれコーチと共に自主練を行いコーチは親切に家まで送ろうかと言ってくれたがコーチの家が最寄り駅の近くだったこともあり僕は駅まで送ってもらった。そして電車に乗り途中乗り換えの駅で見覚えのある顔に出会った。
電車の中で立っていたのは咲綾で僕と咲綾さんは椅子に座り咲綾は僕に話しかけた。こんな時間に電車乗ってるって部活頑張っているねと言うと僕は土曜日最寄りの陸上競技場で記録会があるからそこにエントリーしてるからそれに向けて全体練習が終わった後に自主練してて気づいたらこの時間の電車に乗ることになったよ。それを聞いた咲綾は土曜日はアルバイトや部活もないし時間があるから行ってもいい?
僕は目を丸くし咲綾さんが観に来てくれるなら嬉しいので是非観に来てください。
僕は咲綾さんに今度の記録会自分のため、そして観に来てくれる咲綾さんのために走りますねと言うと咲綾はそんな浮ついた気持ちでいたらいい記録なんか出ないよと元陸上部に所属していた咲綾に一喝された。
記録会の前日朝練を行い、全体練習を行いコーチにまた自主練したいと言うと明日は記録会だから明日に備えるために今日は休養し早く寝るように言われた。
そして土曜日記録会当日、会場に行きスタンドを見ると咲綾さんの姿を見え手を振っていたが僕は嬉しさを抑え深呼吸してウォーミングアップを始めた。
そして記録会が行われ順位は8人中4位で記録は自分の中で指標となるタイムを僅かに超える記録で腑に落ちないと思って帰ってからまた走り込みをしようと考えていた。そして選手の出入口を出てひとまず駅に向かおうとしていたらそこには咲綾さんが待っていた。
咲綾さんは僕にスタンドで応援していて必死に走ってる姿を初めて観たと言った。しかし僕は咲綾さんにせっかく応援に来てもらったのに1位になれずそれも平均的な記録でなんとも言えないなって思っててと言うと咲綾さんはこの後時間ある?と聞いてきた。
記録が記録だから1回帰ってから走り込みをしようと思ってると伝えると咲綾はそっか……もし時間あったらカフェ行かないかなって思ってさ。こんな経験初めてで僕はどうするか悩んだ。それはごくごく平均的、いや平均にも届かない劣っているこの僕に女性から誘ってくれるなんてことまるで夢のような出来事だった。しばらく悩んだ末僕は咲綾さんに一緒にカフェ行くと返事をした。
この前行ったあのカフェでいいと聞くと僕は軽く頷いた。
カフェに着くと咲綾さんはブレンドコーヒー、僕はオレンジジュースの何か甘いものを食べたいと思いドーナツも一緒に頼んだ。席に座り咲綾さんは僕の方を見てうす笑いをしていた。
僕は咲綾さんになんで笑っているのかを尋ねるとオレンジジュースにドーナツって琢磨君ってかわいいもの注文するね。
僕はいつの間にか顔が赤くなりながら年下だからって揶揄うのはやめてくださいと言った。そして咲綾は幸せそうな顔をしながら僕の方を見つめていた。
咲綾さんは私って末っ子でお兄ちゃんや友達に可愛がられたことはあるけど琢磨君を見ていると何だか弟が出来たような感じがする。
咲綾は会計を済ませ、ねぇ琢磨君今度一緒にどこか出かけようと誘われた。
僕は思わずこれは何かの間違いだと思いつつもこちらこそ是非お願いしますと頭を下げた。
休養日
僕はいつものように咲綾さんにメールを送っていた、お互いに次がいつが休みなのかを確認していると次の日曜日僕は部活もなく、咲綾も学校、部活、そしてアルバイトもなくこの日に出かけることが決まった。
そして僕は咲綾に部活ばかりで映画を見ていないから映画を観たいと提案すると何の映画を観るの?と聞かれたが僕は今、どんな映画をやっているのか全然知らなかった。その為、僕は咲綾さんに今何の映画が流行っているのかと尋ねるとアニメーションの映画と恋愛小説が映画化した作品のこの2つが特に今流行っているよと送るとまた僕は考えた。
恋愛映画は1度も観たことないがアニメーション映画も気になるどちらにするのか?どちらも捨てがたいと思っていた僕は咲綾にどちらを観たいか尋ねた。咲綾さんはそうだね……どちらかと言うと恋愛映画の方かな。
こうして僕と咲綾は次の日曜日恋愛映画を観に行くことが決まった。咲綾さんには言っていないが映画館近くにあるオシャレな飲食店を虱潰しに探した。
そして日曜日、駅で僕と咲綾は待ち合わせをし隣街の映画館に向かい、映画館に入り僕はポップコーンと飲み物を買ってそしてパンフレットのグッズが販売されていたのでそれぞれ2つずつ購入した。
席に座り電気が消え、映画の告知が流れ僕と咲綾は次はこの中からまた見に行きたいなって話をした。そして映画が始まり、僕と咲綾はポップコーンを取ろうとしたら互いの指が触れ小声で言った。映画を見ていて感動したのか僕は咲綾の方を向くと泣いていたので鼻炎持ちだった僕は咲綾にティッシュをそっと渡した。
映画を見終わり外に出ようとすると遠くから僕の名前を呼ぶ声が聞こえる。誰かなと思った僕は振り向くとそこに居たのは陸上部のマネージャー
藍はあ、お邪魔だった?と一言だけ言ってその場を立ち去って言った。
咲綾は僕に今の可愛らしい女の子誰と聞くと陸上部のマネージャーだよと答えた。お昼を食べようとイタリアンのお店に入り席に座ると隣には見覚えのある顔を見かけた。それはクラスメイトの
美華さんから見て琢磨君ってどういう感じなのかと咲綾は質問した。
美華は琢磨君はみんなに優しくて何事にも率先してする人ですよと美華は答えると咲綾は美華ちゃんは琢磨君のことどう思うの?
美華は咲綾に真面目で素直ですよだなと思いますよと答えると咲綾は琢磨君のこと好きだったりしないのと聞くと私は好きになることは出来ないんです。それに琢磨君気になってる人がいるって風の便りで聞いたのでと答えると僕と咲綾のテーブルにパスタとピザが運ばれてきた。美華は用事があると言い会計を済ませ先に店を出た。
咲綾は僕に今日はかわいい女の子によく遭遇するねと言うと学校以外で会ったら声かけないで欲しいのになんで声をかけるのかなと答えた。
咲綾は僕にさっき美華ちゃんか琢磨君は気になってる人がいるって言ってたけどそれって誰なの?美華ちゃん?それとも藍ちゃん?誰なの?咲綾は僕に食い気味で聞いてきた。
僕は思い切って咲綾さんはどういう人がタイプでどういう風に告白されたいのか尋ねた。
咲綾は私のことを好きでいてくれる人かな。告白はストレートに好きって言ってくれる人かな?
咲綾は琢磨君の質問に答えたから琢磨君も私の質問に答えて。俺が気になってる人は咲綾さんです。
僕が好きなのは咲綾さんです僕と交際してくださいと頭を下げた。
咲綾は何故か浮かない顔をしていて理由を尋ねると琢磨君の気持ちは嬉しいんだけど私来週の土曜日から半年間留学に行くからすぐにとは言えなくて。もし帰ってきて琢磨君が誰とも交際してなかったらその時は交際しようと言った。そして2人は家に帰った。
後日、咲綾に見送りに行きたいから何時の飛行機に乗るのか聞いた。そして留学に行く当日僕は早めに空港に向かうと咲綾は手続きなどをしていてその後話があると言われベンチに座り待っていた。しばらくして咲綾はベンチに来て僕に話しかけた。咲綾は半年間も琢磨君に会えなくなるって寂しくなるね。メール送っても時差があるから返事が遅くなると思うけどメールくれたら返すよと言った。そして時間となり咲綾は渡米した。
半年間
咲綾が渡米し僕は少し寂しい気持ちでいた。しかし僕はそんなことも言ってられない。
それは僕が高校生で部活にテストに追われる日々が続いていた。
僕は勉強があまり勉強が得意ではなかった。特に数学となると授業で話を聞いているが全然理解出来ないでいて同じクラスメイトの美華に数学を教えて貰っていた。この問題を解くにはこの公式を使うとこうなるからと教科書に書いてあることよりも丁寧に説明してくれた。
そして僕はいつもテスト前になって宮城に数学を教えてもらってるのにホントに助かってる。家に帰って見直せばいいんだけど言い訳になるけど部活で忙しくて中々ね……。
美華は琢磨君いつも部活で頑張ってるもんね。あ。そう言えばこの前一緒にいたキレイな女の人誰?と聞いてきた。
僕は咲綾さんのこと?最寄り駅が一緒で仲良くしてもらってる大学生だよ。美華は私からみたら2人はまるで交際してるように見えたけど2人は交際してるの?
僕は交際を申し込んだけど留学でアメリカに行くから今すぐ交際って言うのはゴメンねってふられたよと答えた。ってことは琢磨君今交際してる人いないってことだよね?
美華はそれを聞いてきて僕はそうだよ。じゃあ私も今交際してる人とかいないから私と交際しない?
美華のその一言に僕は嬉しかったが僕は宮城の気持ちはありがたいけど半年後咲綾さんが帰ってきて交際するからそれまでは誰とも交際しないことにしてると宣言した。だが美華も1歩も引かずじゃあ私は咲綾さんが帰ってくる半年間だけでもいいから琢磨君と交際したいと念押しをした。
僕は美華の熱い思いを感じつつも僕は期間を決めて交際するなら初めから交際しない方がお互いのためじゃない?
美華にそう言うと琢磨君はホントに咲綾さんのことが好きなんだね。美華はこれで他の人と交際してたら私も咲綾さんも怒るからね、その時は覚悟しておいて。
この時僕は宮城を怒らせてはいけないと無言の圧力を感じていた。
駅前での出来事
強がって美華にあんな事を言った僕だったが違う駅ではあるが僕と美華は同じ方面なので朝や帰り一緒になった時もよくあった。
そしてテスト勉強終わり一緒に帰っている途中駅前で車が脇見をしていてブレーキをかけるのが遅くなり咄嗟に僕は美華を突き飛ばし、僕は車にはねられた。
一瞬僕は何が起きたか分からず気がついたら何故か救急車に乗っており病院にいた記憶まではあった。そして目が覚めて隣には美華が横で泣いていた。
美華は僕に私を助けるために突き飛ばして身代わりになってくれてね、その代償として琢磨君が全治1ヶ月の骨折ってことを琢磨君のお母さんから聞いて私はなんてことをしたんだろうって思っちゃって謝っても謝りきれないって思って……。
美華が泣いてる横で僕は全治1ヶ月の骨折なんだね、今起きたばかりだから初めて知った。でも1ヶ月経てばまた陸上出来るんでしょ?まぁ美華に怪我がなくてよかったなら俺は何も言うことはない。
そうだ退院する前の間勉強や宿題教えて欲しいとお願いをした。そして美華が出ていき特にすることもない僕はテレビにイヤホンをしてテレビを見ていると陸上部のマネージャー藍がやって来た。
藍は僕に今日は誰かお見舞いに来たかと聞いてきてクラスメイトの宮城が来てたよと答えた。
藍は僕にこう言った。
同じクラスの美華ちゃんと仲良いね、僕はそりゃあテスト前によく勉強見てもらってって言うのもあるし、帰りの方角も一緒だから一緒に帰ってるだけだよ。
藍はそれを聞いてもしかして2人交際してるの?
僕は帰りが同じなだけで断じて違うと答えた。
藍は目を輝かせ僕にじゃあ私にもチャンスあるよね……?
僕は狩野もしかして俺のこと気になってるの?
「は……なにバカなこと言ってるの?」
琢磨君、私と交際して欲しいって言ったらしてくれる?
俺にとって狩野は容姿端麗で気が利いて俺にはもったいないって思うぐらいだけど、狩野の気持ちには応えられない。
琢磨君は美華ちゃんとも交際してる訳でもないし、私もダメって言うとあ、もしかしてこの前映画一緒に観てたあのキレイな女性?もしそうならば会って挨拶したいな。しかし僕は藍に「いや……それはできなくてさ」と答えた。
堪らず藍は僕になんで?私には紹介してくれないの?
咲綾さん今アメリカにいるけど狩野それでも行く?
藍は黙り込んでしまい、それなら咲綾さん帰ってきた時に改めてちゃんと挨拶させてねと言って僕は承諾した。
記録会、そして世界陸上
記録会の前日、僕はいつもと変わらず練習しいつもと変わらないルーティンを行っていた。練習で追い風ながら今まで見たことのない記録を出しコーチからこれで明日記録会でもいい記録出そうだなと言われ、僕は今みたいに追い風参考記録にならなければいいですと終始談笑していた。そして迎えた当日、この記録会が琢磨にとって大きな意味合いを持つことになる。
ウォーミングアップを済ませ僕は持ち場に着いた。そこまで気にはしていなかったが追い風がそんなに吹いていないことを確認した。
位置について、「よーいドン」と号砲が鳴る
100メートルを全力で走りゴールした。
1位 早本琢磨 蒲田学園高校
そして電光掲示板を見つめると自分でも驚くような記録が出た。
1度家に帰り、嬉しさで咲綾にメールをすると次の日咲綾からメールが返ってきて「おめでとう。琢磨君の賜物だよ、日本返ったらまた祝おうね」
僕は咲綾も喜んでくれてとても嬉しい気持ちだった。
そしてテレビを付けるとアメリカで行われる世界陸上に出場が内定していたメンバーが怪我によりメンバーどうするのか?というニュースが流れた。代わりに走る選手ってどんな人なんだろうと他人事のように見ていた。
携帯が鳴り、電話の相手はコーチからだった。
琢磨か、今大丈夫か?と聞かれ僕は大丈夫ですと答えた。
コーチは今テレビで世界陸上の選手がケガで出場が出来なくなったらしいよと言うと僕も丁度そのニュース見て代わりの選手誰なのか気になってましたと言うとコーチから思いがけないことを言った。
コーチは陸連から今俺のところに連絡が入って「今日の記録会も と伸びしろを期待して早本琢磨を推薦したい」という連絡入ったけどどうするかと聞かれ少し戸惑ったが陸上をしていく中でプラスになると考えてコーチに今回の話受ける方向でお願いしますと伝えた。
よく分からないまま話が進み世界陸上に出場することが決まりひとまず咲綾に連絡を入れた。
「アメリカでやる世界陸上の出場予定だった選手が怪我して代わりに俺が出ることになったもんでよかったら見に来て欲しい」このメールを見て咲綾はどんなリアクションをするのか気になっていた。そして程なくして咲綾からメール返ってきた。
「おめでとう。まだ嘘なのか?ホントなのか分からないけどホントなら現地に応援に行くよ。これでまた会えるね」メールを見て、そうだ咲綾さんアメリカにいるんだ。久しぶりに会える気持ちはあるが決して遊びに行く訳ではなく日本代表を背負って行くんだという気持ちを忘れないようにしないといけないと心に誓った。
念のため
僕はひょんなことから日本代表に選ばれてアメリカに行くことが決まった。宮城と狩野に黙ってアメリカに行ったら怒られるかもと考えた。
翌日、僕は宮城と狩野の2人を呼び出してアメリカに行くことを伝えた。
美華はアメリカ旅行行くなら私も連れて行って。
藍は何しにアメリカに行くの?
「アメリカで行われる世界陸上に出る予定だった選手が怪我をして代わりに俺が出ることになってさ」
美華はホント?琢磨君の応援に行きたい。後は咲綾さんに挨拶してハリウッドや自由の女神、テーマパークに行きたいな。藍ちゃんも一緒に行こうよ。
私もいいの?この前咲綾さんに挨拶したいって言ったらアメリカに行くならって行っていたし観光も楽しめたらいいな。私もアメリカに行く。
僕はため息をついた。
藍から琢磨君ため息ついてどうしたの?
2人とも俺の応援でアメリカに行くわけじゃなくて咲綾さんに会うためにとか観光で行くとかでも構わないけれど嘘でも俺の応援に行くよって言ってくれないものかね……?
美華は思わず冗談だよ。もちろん琢磨君の応援にも行くよ。咲綾さんに会うためや観光で行くのは時間があればでいいかなと思っているよ。私たちが琢磨君を傷つけてしまったならお詫びをさせて。
琢磨君の好きな食べ物って何?
急に言われてもな……。パフェとかかな。
美華と藍は顔を見合っていた。
2人は声を揃えて「かわいい〜」
藍は部活後にカフェ行きたいから美華ちゃん午後6時頃学校に来てもらってもいいかな?
美華はうん、分かった。大丈夫だよ。
僕は何も言えず、女子2人によって予定を組まれた。
女子2人と
部活が終わり、僕は藍と共に校門に向かった。部室を出る時に周りの男子から冷やかしの言葉をかけられた。
「ヒューヒュー、お似合いだね」
こう呼ばれるのも分からなくもない。理由としてはマネージャーの藍が僕にベッタリで腕を組んで歩いていて傍から見たら付き合っていると見られても間違いではない。校門で宮城と合流した。
駅に向かう途中、何か恐ろしい冷たい視線を感じた。
向かいの歩道橋からは同級生の男子から琢磨、お前二股なんて男として最低だな。女の子たちが可哀想だろうと罵声を浴びた。僕はこの時、宮城とも狩野ともどちらともつきあっているわけではないのに何故か悪者扱いされてよっぽど俺の方が酷いと言い返してやりたかった。
美華はここだよと足を止めた。
僕はお店を見てここは俺の居場所じゃないと走って帰ろうとした。藍は琢磨君ちょっと待ってと腕を掴み、引きずられるような形でお店に入った。
宮城と狩野はこのお店かわいいね、ショーケースに入っていたケーキも小さくてかわいかったよねとテンションが高かった。
僕は2人に男がこんなお店にいたら変でしょ?
美華はそんな事ないよ。パフェ好きって言っていたからかわいいお店に連れてこようと思ったけれどダメだった?
美華は涙目で僕に訴えてきた。
僕はそんな事ないよ。1度こういうお店来てみたかったと思ってもいないことを言ってしまった。それよりもさっきは2人ともゴメンね。
それならよかったと美華は笑顔を取り戻した。
続くように藍は私たちに何かしたっけ?
俺が宮城と狩野と3人で歩いていたせいで二股かけられて嫌な思いをしたなら申し訳ないなって思ってさ。俺は2人を仲のいい友達だと思っているのに。
藍は別に気にしてないよ。私たちから誘っているのにそれで怒るのはおかしいでしょ。
美華もそうだよ、藍ちゃんの言う通りだよ。私たちが仮に好きって言ったとしても琢磨君には好きな人がいるからね。それより藍ちゃん、琢磨君何頼む?
私は抹茶パフェにしようかな。藍はチーズケーキかな。僕はメニューを見てイチゴスペシャルパフェにしようとタブレットで注文した。
周りに男は僕1人で肩身の狭い思いをしていた。
宮城と狩野がいてくれているからいいものの僕1人だったら絶対にこういうお店には来れないからそういう意味ではいい経験かなと思っていた。
美華は僕に声をかけた。
琢磨君どうしたの?
周りが女の子ばかりで男1人しかいなくて肩身が狭い感じがしてさ。ホントにここにいていいの?
藍は別に問題ないよ。最近はスイーツ男子なんて言葉もあるし、この前カフェに行った時に男の子3人くらいでかわいいパフェ食べていたから問題ないよ。
美華は僕にこんな言葉を投げかけた。
スイーツ男子ってかわいいと思うよ。これを機に琢磨君もスイーツ男子デビューしちゃうのはどうかな?咲綾さんも琢磨君と一緒にカフェに行けたら嬉しいと思うし、楽しいと思うよ。
そしてパフェが僕たちのもとに届いた。
僕はイチゴスペシャルパフェを食べようとすると宮城と狩野はちょっと待ったと止められた。パフェの写真を撮って1口食べたいと言って断ることも出来ず2人は1口ずつ食べて僕はやっと食べることが出来た。
1口食べて「美味しい〜、ほっぺが落ちそう〜」
そう言うと宮城と狩野は笑っていた。
思わず僕はどうして笑っているのか尋ねた。
琢磨君が幸せそうな顔をしていてかわいいなって思っていてさ。そして2人は僕の頬をツンツンして揶揄ってきた。
僕はやめろよ〜っていいつつ今度は頭を撫でていた。一体僕はどういう扱いなのか分からずいた。
お店もパフェもかわいかったがさすがに女の子たちが行くようなお店に行くと男1人でアウェー感になるから男でも行きやすいようなお店からスイーツを食べるのも悪くないなと感じていた。
スイーツデビュー
カフェというよりまずは喫茶店の方が敷居が低いと思い、僕は学校近くにある喫茶店に寄った。
そこの喫茶店の名物は抹茶パフェに白玉、これなら男1人で食べていても問題ないとだろうと注文した。
あ、琢磨君もここの喫茶店に来るの?
そう声をかけてきたのは美華だった。
この前のお店はちょっとかわいすぎてアウェー感が凄かったからまずは喫茶店から始めようかなって思っていてね。このお店始めてきたけれど趣があっていいね。宮城はこのお店よく来るの?
学校の近くだからよく来るよ。じゃあ向かいの席失礼。
僕は思わず他に席が空いているのに向かいの座るの?
美華は向かいの席が空いていたからって理由じゃダメ?
僕はダメじゃないけれど……。そして抹茶パフェが僕のもとに届いて美華は店員さんを呼んで抹茶パフェを注文した。
宮城は僕の顔を見つめて抹茶パフェを待っていた。
何を求めているのか分からないが僕はとりあえず宮城に声をかけて抹茶パフェ食べる?
美華は笑って琢磨君優しいね。でも同じものを注文したから大丈夫だよ。ねぇ何か話そうよ。
何か話そうと言われたが僕は女の子と何を喋ればいいか分からずにいた。宮城、女の子と何喋ればいいの?
特別にこれと言ってないよ。男の子と喋るみたいに昨日のテレビの話やどういう女の子が好きとか話せばいいと思うよ。緊張する気持ちも分かるけれどそれは女の子にも伝わるから目をキョロキョロしているよりも相手の目を見て相手の話に頷いたりそうだよねって相槌打ってくれると嬉しいかな。
そして抹茶パフェが美華のもとにやってきた。すると藍がやって来て美華ちゃん、琢磨君この喫茶店に2人でいるって珍しいね。
僕は最初に1人で来ているところに宮城が来て空いているのに向かいの席に座って色々と話していて次に狩野が来たという一連の流れを説明をしていた。
藍はなるほどね。何を話していたのか気になるから琢磨君、横失礼するね。
どうして俺の横なの?宮城の隣に座ればいいでしょ?
琢磨君照れているの?かわいい〜。それで美華ちゃん、琢磨君と何を話していたの?
美華は何か話そうって言ったら琢磨君が女の子と何を喋ればいいか分からないって聞かれてキョロキョロしないで目を見て話せばいいと思うよ。内容はテレビの話やどういう女の子が好きとか話せばいいって話していたよ。藍ちゃんはどう思う?
美華ちゃんと同じかな。何も気にしていない私たちでこんなしどろもどろしていたらホントに好きな咲綾さんと喋るってなったら何も話せなくなるよ。
藍のもとに店員さんがやってきてアイスオレを注文した。
美華はいいこと考えた。藍ちゃんも協力して欲しいなと思うけれどいいかな?
私で協力出来ることならば何でもするよ。それで何をしたらいいの?
私たち2人で琢磨君を女の子と喋れるようにしない?私たち会ったことないけれど咲綾さんと幸せになって欲しいしそれが琢磨君のためになるならそれでいいと思うけれどどうかな?
藍はいいと思うよ。琢磨君1つ聞いてもいい?
部活の時は普通に喋ってくれるのにどうして部活以外ではそうなるの?
どうして?部活だったらタイムがどうとか色々聞けるけれどプライベートで1人の女の子として見た時に何を喋ったらいいのか分からなくてさ……。
私のことちゃんと1人の女の子としてみてくれているの?嬉しい。なんか間違って好きになっちゃいそう。
でも俺には好きな人がいてさ……。
うん、分かっているよ。でも1人の女の子として見られるっていうことが嬉しくてつい。
こうして僕は宮城と狩野によって女の子に対して免疫をつけるためのトレーニングをすることになった。
スポーツ雑誌
僕は学校帰りに本屋に立ち寄った。陸上雑誌をめくっているとある人の特集がされていた。
「多摩川の韋駄天 岡山花南 小森女子大学」
岡山花南選手は高校生時代には小森女子高校で国体、全日本選手権など名のある大会で数々の記録を残して複数の大学から声がかかり、系列の小森女子大学に進学した。
インタビュー記事を見て僕は驚いた。
常に追われる立場でどうやってモチベーションを保っているのか。
この問いに対して岡山選手は追われる立場だからこそ相手に負けたくない、仮に1位になったとしても自分の記録を抜くことを考えています。全国のスプリンターの目標となれるように私も精進していきたいです。
この記事を見て岡山花南選手のようになりたい。叶うならば自分の走りを見てもらい教えてもらえる日が来たらいいなと思っていた。そのためには全国大会で優勝するくらいの実力をつけなければ会う資格もない。この日から僕は岡山花南選手を目標に走ることを誓った。
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