第221話 設定資料集。異世界チート知識で領地経営しましょうの世界 貨幣価値および交換レート編
初めに。
このお話は、本編ではありません。
皆様こんにちは。
加藤良介でございます。
平素より拙著「異世界チート知識で領地経営しましょう」にお付き合いいただき、誠にありがとうございます。
今回は、読者の方からのリクエストに応えまして、本作における貨幣の価値及び交換レートについて書いていきたいと思います。
作中ではなんとなくで流しておりましたが、金勘定が重要な本作において、避けては通れない設定です。今回は、経済の基本中の基本である通貨とその価値について、ざっくりと解説していきます。
いや、前々からちゃんとした基準を作らんといかんとは思っておったのですが、検討に検討を重ねた結果、先送りにしておりました。
ですが、読者さんからのリクエストもあったことですし、ここは逃げずに整合性の取れた基準を設定しようと思います。
ここで一つ、お詫びがございます。
この項を書くにあたり、本文に大幅な修正をいたしました。
具体的には、整合性の取れない各種物品の価格の見直しです。
ですので、皆様がお読みになられた頃の品物の価格と、現在の本作での価格は、大きく修正されている場合があります。
申し訳ございませんが、ご了承ください。<m(_ _)m>
それでは始まり始まり。
ロンダー王国は、金銀複本位制を採用し、貨幣経済が浸透しております。
王都エンデュミオン、オルレアーノでは、現代日本と同じように貨幣が流通しています。
ただ、ニースのような自給自足体制の村落では、物々交換も盛んにおこなわれています。なので村で暮らすだけでしたら、貨幣は必要ありません。麦などが代替貨幣として通用いたします。
貨幣の種類
・フィリオーネ金貨
ロンダー王国の基軸通貨。
表面に王国の紋章の鷲。裏面に発行した王の横顔が打刻されている。
主に高額取引や、格式を求められる支払いに用いられる。
品位 21金。
重さ 約7g (五百円玉と同じ重さ)
・ドゥカート金貨
王国東部及び、隣国のアッバス王国での基軸通貨。
抽象的な文様が打刻されている。
金貨なのに穴が開いている物が多数。利用者が紐で吊るすために、勝手に穴をあけた模様。価値に変わりはない。
フィリオーネ金貨よりも少額なので、普段使いが可能。
品位 23金 (ほぼ純金)
重さ 約4g (五円玉と同じ重さ)
基礎交換比率
フィリオーネ金貨1枚に対して、ドゥカード金貨1.75枚。
両通貨共に、金の含有量が安定している為、ほぼ固定の相場になります。
・アス銀貨。
王国内の物品取引における基軸通貨。
意匠はフィリオーネ金貨と同様。人件費、税金、運賃など比較的高額な取引で利用される。
品位 シルバー900
重さ 5g (百円玉と同じ重さ)
基礎交換比率
フィリオーネ金貨1枚に対して、アス銀貨35枚~40枚の間で変動。
ドゥカート金貨1枚に対して、アス銀貨20枚~23枚の間で変動。
現代の地球に比べると銀の採掘量が少ない為、金に対して高価格がついております。
2023/9/1時点の日本ですと、フィリオーネ金貨1枚に対して、アス銀貨は90枚ほど必要になるでしょうね。
・ディナル銀貨。
隣国、アッバス王国の銀貨。
アス銀貨とほぼ同等の価値の持つ。
王国の東部で流通している。レキテーヌ地方でもたまに見かける。
・デリス銅貨。
王国発行の銅貨。国内で最も普及している。
王国の紋章である鷲が刻印されている。
日々の商取引の基本。
品位 青銅 (十円玉と一緒)
重さ 5g
アス銀貨1枚に対して、デリス銅貨30枚~35枚。
・神聖デリス銅貨
教会が発行している銅貨。(作中では未登場)
でかい。重い。
表に神々の意匠が打刻されており、縁起物としての人気がある。
裏面には5の刻印。つまりこの硬貨は5デリスとして扱われる。価値は教会が保証。
品位 青銅
重さ 10g
教会に5デリス持っていくと、神聖デリス銅貨1枚と交換してくれます。
教会はデリス銅貨を2枚を溶かして、1枚の神聖デリス銅貨を造幣します。
するとあら不思議、手元には3枚のデリス銅貨が。製造過程に1デリス使ったとしても、まだ2枚。
儲かりまんなぁ。
汚い。さすが教会、汚い。
以前、贋金が横行したため、贋金対策として妙に意匠が繊細で華麗。
一般の市場でも流通するが、主に教会への寄進に使われる。
つまり、教会への人頭税の支払いは、神聖デリス銅貨のみとなります・・・汚い。
まぁ、免罪符やツボを売るよりかは幾分マシですかね。
・鐚(びた)銭 (作中内では欠けた銅貨と表現しました)
欠けたり劣化が著しい貨幣。もしくは贋金。
"びた一文の"鐚です。
王国での流通を禁止する法令が出ていますが、普通に流通しています。
額面の半値以下で流通。
神聖デリス銅貨と鐚銭の二つについては、採用するかは現状不明です。多分しない。
教会の換金スキームは極悪ですし、下手すると王国の経済に深刻なダメージを与える気がします。
また、鐚銭の話をすると、撰銭(えりぜに)の話に発展することが明白。とてもではありませんが手に負えません。出してもチョロッとだけでしょうね。
・エリックの基礎年収と収支
ニースの代官時代。
軍団兵の報酬。アス銀貨300枚
+
代官職の報酬。アス銀貨350枚
=
平民にしては高収入。
村で暮らす限り支出は少ない。親子三人の生活費と、馬や武器の維持費ぐらいです。
亡き父親の蓄財もあるので、意外にエリックはキャッシュを持っています。
ニースの領主時代。
ニースでの収益。アス銀貨で約6,000枚相当。
村人に課せられる税。蒲鉾、宿屋の収益。桟橋、水車などの各種利用料。
但し農作物などの物納が多い為、減損リスクが高い。(腐るとか、豊作、不作によっても市場価格が著しく変動します)
+
馬廻り衆としての報酬。フィリオーネ金貨10枚(アス銀貨350枚~400枚)
+
ギルドの役員報酬(未定)
=
まぁまぁのお金持ち。
百人長の報酬は、封土を授かった瞬間に自弁となります。つまりゼロです。
エリックは多くの家臣を抱えているため、人件費の支出が収入の半分以上を占めます。固定費が馬鹿にならない境遇です。
ギルドの収益が無ければ、貧乏騎士一直線ですね。
危ない危ない。
・江梨香の基礎年収と収支
一門からの年金。フィリオーネ金貨30枚。(アス銀貨で1050枚~1200枚相当)
+
第五軍団付き魔法使いとしての報酬。アス銀貨450枚。
+
砂糖ギルドの役員報酬(未定)
=
支払いは全てキャッシュ。文句なしに金持ち。
教会及び、モンテーニュの領主としての報酬は発生いたしません。
アルカディーナの称号は無報酬。モンテーニュ騎士領には課税していないためです。
この人は、生活費はエリックが出していますし、家臣もクロードウィグ一人だけですので、収入のほとんどが自由に使える変動費です。
羨まけしからん。
コルネリアも、江梨香とほぼ同じ年収になります。
つまり金持ち。
ただこの人は、家族への仕送りと、弟マールへの俸禄。そして魔道具の研究費にすべて突っ込んでいるので、手持ちはあまりありませんけど。
それでも一般市民よりかは持ってます。
・人件費の一例
王都の職人の日給。 アス銀貨1枚~3枚。
単純労働者 アス銀貨1枚以下。
軍団兵の年収。 アス銀貨250枚~350枚。
エミールやロラン、新しく家臣に加えた人たちの年収になります。
百人長の年収。 アス銀貨450枚。
バルテンへの報酬。この人への報酬は、将軍様から補助金が出ています。
・単位
重さ 1ホーン 5kg
1トリム 50g
100トリム 1ホーン
長さ 1フェルメ 1.2m
・フィリオーネ金貨で支払う物品とサービス一覧。
ディアマンテル(アリオンの雫) 3486枚。
日本円に無理やり換算すると、二千二百万円ぐらいですかね。
物価指数の根本が違うので、単純には比較できませんが。
その他のディアマンテルの総額。 1627枚。
日本円で一千万円ちょっとです。
エリックってば、懐に三千万円以上を忍ばせてきたのね。不用心ですな。
びびったマリウスや、護衛を手配した将軍の対応が普通。知らないって強い。
メッカローナ広場の一日の使用料。 500枚。
一日の使用料にしては、バカ高いですね。
別に照明施設とか巨大ビジョンがあるわけでもない。あるのは権威と格式。
うーん。高くなるのも仕方がありませんな。
なのに江梨香さんは、即日現金で全額納付。
普段から大金を見慣れている祭礼儀典長も、びっくりした事でしょう。
マリエンヌの弁護費用(最低値) 150枚。
北部戦役時に、ドーリア商会から調達した兵糧の代金。 92枚
小麦 700ホーン。 40枚。
ライ麦 1300ホーン。 52枚。
商会からはお友達価格(2割引き)で、提供されていると計算しています。
1ホーンは5kgになります。
江梨香はこれらの全てを、ジュリエットにプレゼントしました。
太っ腹と言うか、後先考えないというか。
この設定資料集作成に当たり、1ホーンを5kgに設定いたしました。
その結果ですが、当初、作中でエリックが侯爵に申告した兵糧の数を、下方修正することとなりました。ご了承ください。
ロジェ先生への弁護士料 15枚。
依頼金 2枚。 成功報酬 3枚。 江梨香の出したボーナス 10枚。
マリエンヌの待遇改善費(賄賂) 15枚。
ギルドの高級机(中古) 8枚。
フスがギルドにプレゼントしてくれた長机。
倉庫で埃をかぶっていた品ですが、高級品です。
・アス銀貨で支払う物品とサービスの一覧。
クロードウィグ(奴隷)の購入金額 140枚。
クロードウィグの販売価格を大幅に修正いたしました。
当初はアス銀貨で20枚程度の価格でしたが、フィリオーネ金貨を基軸に貨幣価値を設定したところ、販売価格の大幅な上昇となりました。
また、私が奴隷の価格を勘違いしていたことも要因の一つであります。
前回の設定資料集でも書きましたが、本作は古代ローマ帝国を世界観の中心において構築しております。
奴隷の販売価格も、ローマ帝国準拠に再設定することとなりました。
王都での一人当たりの年間食費 30枚~40枚。
王都での平均的な年間の家賃 40枚~50枚。
オルレアーノの砂糖店の家賃(年間) 30枚。
江梨香の仕立てた軍装 25枚。
ペタルダから購入した薬代(総額) 20枚。
王都での白砂糖1トリム(50g) 5枚。
船賃(フレジュス→エンデュミオン間) 4枚。
王都での書簡の費用(一通) 1枚。
ニースの砂糖1トリム(50g) 1枚。
・デリス銅貨で支払う物品とサービスの一覧。
ロッシュ1杯 3枚。安酒。ビールの親戚。
教会の人頭税 5枚。男も女も関係なく全員から徴収。
城門などの通行税 5枚。荷馬車のみ徴収。
メルキアの通行税 5枚。1人当たり
葡萄酒1杯 6枚。水で薄めて提供されます。
ライ麦12トリム(600g) 7枚。
干物の魚一尾 8枚。
江梨香の腕輪 8枚。安すぎ。
小麦粉12トリム(600g) 10枚。
蒲鉾一本 14枚。
塩漬けの魚一尾 20枚。
ニースの宿代(一泊一食付き) 22枚。
塩1トリム(50g) 23枚。半分以上が税金。
本作の大前提ですが、この世界の物品の値段は毎日のように変動いたします。
仕入れ価格や為替の変動。売り主の気分でも変わります。
完全定額制なのは、教会の人頭税と、ニースの砂糖だけとご理解ください。
以上が本作における貨幣価値と、交換レートになります。
本稿を書くにあたり、本文を読み返して修正いたしましたが、不十分と思われます。
不審な点、お気づきの点などございましたら、ご指摘いただけると助かります。確認の後に直ちに修正いたします。
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