番外編1 私


フォローが10になったりとか、PV100だったりとかの記念番外編です!


次は0ひとつ増えたら出来そうですね(遠い目)


 

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ノロマ、気遣いができないやつ、それが周りからの私の評価だった。

 昔から人に合わせるのが苦手だった。口調ものんびりとしているし、思ったことはすぐ言ってしまう。

 いじめまではいっていなかったけど、誰も私に触れなかった。話題にしなくなっていった。


「転勤?」


 それを聞いた私は少し期待をしていたのかもしれない。知らない所へ行ったら何か変わるのではないかと。友達も沢山できて、自分の事を理解してくれる人もいるのでは無いかと。

 でも違った。何も変わらなかった。

 いるけど誰も触れない、誰も話しかけて来ない。私は一人だった。


「相坂さんって本が好きなの?」


 そんな時にそう聞いてきたのは同じ文芸部の葉山君だった。

 他の人と同じように離れていくんだと思っていた、話すのが遅いとか、うざいとか言って……でも違った。


「ねえ、葉山君は私と話しててイラついたりしないの?」


「なんで?」


「だって話すの遅いし、あんまり相手の事考えないし」


「僕はそうは思わないけど……」


 彼は言った。


「ノロマっていうよりマイペースなんだと思うよ……悪い意味じゃなくて!確かに話すのが遅いとイライラする人もいるかもだけど、僕はそれも相坂さんの魅力だと思うよ」


 ノロマはマイペースで慌てないから良いんだと。


 気遣ってない訳じゃなくて、真っ直ぐなだけだと。


 本当に人付き合いのが悪くて、適当な私を励ましてくれた。


 その時から私は葉山君が好きになった。


 その日からは自分のペースを変える事をやめた。


 人の話には適当じゃなくて、本音で話すようにした。


 何か起こる事を期待するのをやめて、自分から行動を起こすようにした。


「楽しい?」


 それはなぜか葉山君がずっと聞いてきた質問だ。

 少し前までは楽しいと答えられなかったけど、今なら心の底からこう言える。


「楽しいよ」と。



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