第5話 テスト前
「テスト嫌だー」
「相坂さんがまた言ってるぞ」
「いつもの事だけどね」
高校生になってから数回目のテストだけど、毎回みゆは嫌だ嫌だと言っている。
「これは勉強会必須なんじゃない」
ニヤニヤと笑いながら山肌さんがそう言ってくる。
「ま、まあね。山肌さんと翔も一緒にどう?」
「俺はちょっと用事ができそうだからいいわ」
「私は邪魔したくないし」
だめだ。あれはからかいの体制だ。
「ねえゆう君、勉強せずに点数取れる方法ないー?」
「無いよ」
「そんなぁ」
「もし今回のテストで点数低かったら夏休み学校行かないといけないんだから、しっかり勉強しようよ」
「そんなに私と一緒にいたいのー?」
「そ、そうだけど……」
「……」
自分で聞いておいて照れるんだったらやめてほしい。
こっちも結構恥ずかしいから。
「でたぞ、いつものやつが」
「これだからこの二人はねぇ」
二人がやれやれといった顔をしている。
「勉強と言えばだけど、この学校って結構な進学校でしょ?みゆゆんも結構頭いいんじゃないの?」
みゆゆん?
「ゆう君とおんなじ高校行きたかったから頑張ったー」
「合格発表を見に行った時は嬉しかったよね」
「うんうん」
あの頃は勉強に必死でカップルらしい事が全く出来なかった。懐かしい。
「相坂さんはご飯中でも参考書読んでたからな」
「そりゃ凄いね。これが愛の力か」
「ゆう君への愛なら誰にも負けないよー」
「ぼ、僕も負けてないと思う……」
「「はぁー」」
「そ、それは置いといて、とりあえず今週……の土曜にしよう」
「その間は何だよ」
「いや、日曜日は予定入ってたなって」
そう言うと二人は察したような顔になる。
「楽しんでこいよ」
「みゆっちは頑張ってね」
「んー」
さっきから呼び方がちょくちょく変わるのは何なんだろう。
「みゆ、突然なんだけど聞いていい?」
「なにー?」
「楽しい?」
「楽しいよ」
中学の頃よくしていた質問に、みゆは笑ってそう答えた。
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