第2話 昼休み

「はい、お弁当」


「ありがと〜」


 いつものようにみゆのために作った弁当を渡す。逆のような気がする。

 女子としてどうかと思うけど、みゆは女子力が低いと言うか、掃除とか料理とが全くできないのだ。


「ゆう君の料理は美味しいからいつも楽しみにしてるよ」


「そう言ってもらえると嬉しいな」


 いつも美味しそうに食べてくれると、こっちも良いものを作ろうというやる気が湧いてくる。


「お二人さんは相変わらず仲良いな」


「まあね〜」


 苦笑いで話しかけて来たのは中学からの友達の佐山翔だ。

 彼は中学の頃からサッカーをやっていて、僕もたまに練習を手伝ったりしていた。あとイケメン。


「みゆと裕也君って中学からこんな感じだったの?」


 そう言って近づいて来たのは山肌愛子、高校から知り合った友達で、みゆの親友(自称)だ。


「中学の頃も人目を憚らずにイチャイチャしてたぞ。彼女がいない男子は血の涙を流してたな」


 懐かしむように翔が言う。


「そ、そんなにしてなかった……はず」


「だってゆう可愛いから」


「みゆ!?」


 みゆは思ったことを隠さずにストレートに言う。よく短所だと言われているけど、僕は長所だと思っている。


「で、でもさ。あの二人よりはマシだと思うんだ」


 そう言って指さしたのは、学校でも有名なカップルだ。

 教室のど真ん中でキスをし始めたり、抱き合ったりしていて、凄いバカップルだと思う。


「ゆうもあんな事したいの?」


「僕はもうちょっとゆっくりで良いかな……いずれはああいう事もしたいけど……」


 最後の方だけ小声にしたけど、しっかり聞き取っていたらしく、僕の後ろからもたれかかってくる。


「本当に可愛いなあ〜」


「そればっかりじゃん」


 二人から呆れた目線を向けられているが、気にしないことにしよう。


「あの二人よりましねぇ」


「ほんとに二人だけの空間を作るのが上手いよな」


 こんな感じで昼休みは過ぎていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る