第6話 俺、鍛冶職人に依頼する
ようやく着いた町にひと息付くこと無く新太にとって必要な場所へ向かった。
そこは、鉄の匂いや火の匂いがする町でひとつほどしかないであろう鍛冶場だ。
荷馬車を鍛冶場近くに止め、鍛冶職人である人物に声をかける。
「どうも、依頼良いですか?」
「あぁ? 若造が何の用だ?」
「いやですから、依頼を頼みたいんですけど?」
「依頼だぁ?」
「はい。今、乗ってきた荷馬車の中にいくつか武器を解体して貰いたいんです」
「解体……ねぇ?」
興味が出てきたのか、強面の鍛冶職人の男は、荷馬車に視線を向けた。
「まずは、それの一部を渡しますので、引き受けるかどうかは実際の武器を見てから考えるのはどうでしょう?」
「……そうだな。よし、持ってこい」
許可を貰った新太は、すぐに荷馬車へ戻り、武器を手に持ってくる。
「こいつは! かなりの上物じゃねぇか!」
「その上物を溶かして素材にして欲しいんです」
「溶かすだと!」
「もし、素材に変えて貰えるのならば、その何割かお譲りします」
「お前正気か? これほどの良い作品を崩すとは……いや、逆に新しく素材を加工して作る事も……」
何やら両腕を組んでブツブツ呟き始めた鍛冶職人の男は、悩んだ結果、了承する事にした。
「では、荷馬車にあるので」
「おうさ、俺も手伝おう」
そう言って荷馬車の中に入ると、中に居た人物に鍛冶職人の男は、驚いて荷馬車から落ちてしまう。
「どうした?」
「うぉ! びっくりした! まさか、獣人までお前さんが連れているとは」
「別に驚く事はないでしょう?」
「まぁそうだが。いいか、手綱はしっかり握っておけよ」
「分かってます。ほら、馬の方へ移れ」
手で払う動作をして馬が居る方へ移させる。
「はーい」
「とりあえず、これが現在の武器全てです」
「なるほどな。よし、荷馬車を近付けてくれるか?」
「ええ。了解です」
新太は荷車の方から荷馬車の方へ移動し、言われた通り鍛冶場がある方へ荷馬車を近付けた。
「後は、全部素材に変えるからな。時間は掛かるぞ」
「何日ほど掛かります?」
「そうだな。早くても二日って所か」
「二日……ですか」
「ま、特に用事が無いなら、あそこに宿があるし、その近くには市場もあるしな。出来上がるまでゆっくり待つといい」
「そうですね。ありがとう。それじゃあ、素材が出来る二日後に一度顔を出します」
「ああ。それまでには出来るよう努力するよ」
鍛冶職人の男と別れ、紹介して貰った宿の方に荷馬車を走らせて新太は向かう。
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