第5話

陽が沈み始め、夕刻となった頃に玄関扉が開いた大きな物音が屋敷内に響き渡ると同時に女性の慌てた声が近付いてきた。

「お願いですぅぅっ!ラルミーイ様はまだお戻りになっていませんかぁぁっ?ラルミーイさまぁ~いらしたらお返事をぉぉー!どなたかいらっしゃいませんかぁー?大変なんですぅ~よぉぉー!」

「もうぅぅ......っ騒がしいけど、何なの?」

「うっさいっよ!また面倒事を押し付けに来たよ、アイツってば」

ラルミーイさんとカーミフィナが口々に叫び声をあげる人物の愚痴を吐いた。

彼女達には、毎度のことのようで呆れているようだった。

広間の扉が開かれ、一人の女性が姿を見せた。

「あっ......ラルミーイ様、お戻りになられていたんですね。何故返事をなさらなかったんです?こちらとしてはラルミーイ様ご一行の助力がいるほどの大変なことが起こっていますので、どうかっ。どうかお助け願いますでしょうかぁっ!」

ソファで身体を沈めて不機嫌なラルミーイさんの前で何度も頭を下げるリクルートスーツに似た衣服を着た女性。

「疲れているので他のパーティーにお願いしてきてください。睡眠不足なので、ファセッリアさんのお力になれませんから」

「ラルミーイちゃんがそう言ってるんだから帰った帰ったぁっ!そう何度も何度も危険なめにあわされ、こっちは疲れるっつうのっ!」

「そこを何とかしていただけませんかっ。我々では、仕留められないほどのスーダァンノーヴァがヴェンルギア雪原の一帯に留まり続けているんですっ!奴らを仕留められる方々はラルミーイ様ご一行しか思い付かないんです、どうかっっ」

「......」

「......はぁっ。納得いかないってんだよ!そうだよね?ラルミーイちゃん」

ラルミーイさんは口をつぐみ続けており、カーミフィナは不満を爆発させている。

「......あっあのぅ、俺で良ければ引き受けますよ......良く分からないですけど」

「えっ?......良いの?ルーフィートくん」

「ええ、良いですよ。困っている方が居るんでしたら、何とかしたいですので」

「本当にありがとうございます!であらせられるルーフィート様が直々にとは......」

ってどういう......?」

俺が首を傾げて訊ねたことに対し、手を握りしめてきたファセッリアがふぇっ、と声をあげたまま固まってしまった。


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