第27話 協力

ランチタイムの後、俺が警察になったいきさつから、大まかに全容を伝えた。

食堂のテラスから指す暖かい陽気は眠気を誘うが、寝ている暇など無い。


「どうだ、話の全容や事の顛末てんまつは理解出来たか?」


多分、全部は無理だろうけど。少しでも状況理解は早い方がいい。


「話が大きすぎるんだよな。つーか、お前に妹なんて居たんだな。」


うん、ジェイルは多分、理解出来ていない。まぁ、戦ってくれれば良いけどな。ジェイルと剣誠は大きな戦力になる。

ジェイルの2丁拳銃は精度はさながら、速度も速い。中距離からの牽制に大いに役立つし、近距離戦でも、活躍する。

剣誠の<斬撃・閃>は天下一の切れ味を持ち、強度も実に堅剛だ。近距離戦では絶大な力を発揮し、剣誠自身の能力も非常に有用だ。


「一応、理解したけど、つまり、私たちが本拠地に攻め込むのを手伝えば良いんでしょ。」


ソフィアは理解できている。やっぱ女子は頼りになるな。まぁ、頭悪いのはジェイルくらいだけど。


「ああ、ソフィアにはソフィーのお父さんの協力を仰ぎたいあお     。だから、お父さんの協力要請を頼みたい。


「お父さんって事は、米軍に協力してもらうの?」

「まぁ、そうなるな。」


欲を言えば、米軍の一個中隊ぐらい欲しいかな。別に居なくても文句は言わないけど。


「まぁ、分かったわ。」


ソフィアが了解の意を示す。


「じゃ、剣誠はどうだ?」


1人ほったらかしていた剣誠に体を向ける。こいつ、テストの点数はそんなだけど、頭は良いから理解してそうだな。


「はい、現状では敵幹部があと4人。瞬一の妹は、本拠地である米国本部にいる可能性が高い。推測ではありますが、全員が米国本部にいる可能性が高い。また、日本支部戦と違い、ここ米国では銃規制が無いため、銃撃戦が起こりやすく死傷者も出やすい。しかし、相手を殺傷してはならないため、瞬一1人では少々骨が折れる。そこで、我々が助力として補填されるということですね。」


はい、その通りでございます。もう、何の補足も要らないくらい完璧です。


「ああ、ジェイルと剣誠は俺と一緒に攻め込んで、ソフィアは米軍の協力要請だな。詳しい作戦等は、米軍と一緒にするから、今はこんなもんで。」


「あと、最後に。」


瞬一は、姿勢を正して3人を見る。みんなは集中して聞いていて、視線もずらさずにこっちを見ていた。


「今回の騒乱、闘いは非常に危険だ。別に俺は強制的に助力を求めている訳では無いから、嫌だったら辞退してくれて良い。さらに、俺が求めているのはあくまでも助力だ。危険だったら逃げて良いし、敵を倒さなくても良い。」


ふぅっと息を吸う。


「それでも、俺について来てくれるか?」

「あたりまえだろ。ちょうどいい的になるし。」


ジェイルが即答して了解する。

敵を的にするとは、ジェイルは怖いですね。


「良いよ。別に私は戦わないし、お父さんは不死身だし。」


不死身アンデッドですか、怖いな。まぁ、協力を得られるのは良い事だけど。


「良いですよ。最近は相手が居なくて刀の腕も落ちていましたし。平和な日々はどうも退屈でしたので。」


あ、こいつも戦闘狂になりそう。要注意だ。

(剣誠を戦闘狂症候群として、危険度Cの人物に編入されました。)


「お前ら、ありがとな。」


居住まいを正して感謝を述べる。


「なんだよ、いきなり。照れるじゃねーか。」


驚いたような顔をした後、顔をうつむかせるジェイル。


「あ、ジェイルが恥ずかしがってる。」

「おい、やめろって。」


ん?なんか、この光景にデジャヴを感じるんだが。


「おい、帰るぞ。」

「あ、そう言えば、瞬一ってどこに泊まるの?」


確か、キャシーが俺の部屋がまだ残っているって言ってたな。


「俺が使っていた部屋がまだあるらしいから、そこを使おうかな。」


今だと、ベットしか無いけど。


「おし、じゃあ、今夜瞬一の部屋に突撃するか。」


早速ジェイルが俺の部屋に来ようとする。

止めなさい。あ、でも、シーツ取ってきて欲しいんだよな。管理棟まで行かなきゃいけないし、俺らの寮から管理棟って遠いんだよな。


「シーツ取ってきたら良いよ。」


シーツを交換条件に入室の許可をだす制度にした。


「シーツってどこにあるんだ?」

「確か管理棟に予備用のシーツがあったはずですが。」


ジェイルの疑問に剣誠が答える。てか、剣誠ってなんでも知っているな。


「じゃ、俺は先に帰って身支度しているから。」


3人と別れ、寮への旅路を進む。


・・・・ん?なんだこの感覚。


誰かに見られているような。こういう時は、焦らず、落ち着いて。


瞬一は、使いこなせない文明の利器・スマートフォンを取り出して、カメラモードにする。画面を反転させて見てみるが、人影が見当たらない。


「気のせいか。疲れてるのかもな。」


また、歩き出す瞬一。しかし・・・・


やっぱ誰か見ている!

ピリピリとうなじに視線が当たる感触がする。


ストーカーでは無いはずだ、流石に日本からは付いてこない。じゃあ、誰だ?

今度はしっかりと振り返り、後ろを確認する。

もちろん、夕焼けの傾いた橙黄色とうこうしょくに照らされている中には、人影すら見えない。

誰もいないはずなのだが、

なんだこの感覚。かのような違和感は。


結局、この違和感は分からないまま寮に着いてしまった。

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