第3章 日本支部編

第19話 事兆

◇ 蓋世の緊急集会


「これがドミニオンかと思われる者達が盗難した物品リストです。」


夏稀さんがデスクに一枚の紙を置く。


・イージスアショア1機 1億3000万円相当

・91式対戦車地雷25個 3000万円相当

・FIM-92スティンガーミサイル18本 2000万円相当


「全て陸軍第二駐屯地から略奪されています。」

「他にも、その他重火器、さらにはICBM(大陸間弾道ミサイル)らしきものがアメリカから不法輸入されています。」


アメリカの本部から仕入れたのか。


てか、何だって?戦争でもする気なのか?

と思うしかないほどの重火力装備だった。


「実感湧かないんですけど、ともかく敵が本気になっているって事ですか?」

「簡単に言うとそうですね。ちなみに、盗難及び不法輸入された物品はすべてここに持ち込まれています。」


夏樹さんが花梨の方を向くと、花梨はタブレット端末のマップを開いた。


「ここ。」


花梨が指した指先には、大きな建物に紅点が光っていた。

どこだここ?山間部か?

確かに、建物の周りには幾重にも等高線が表示されていた。


「ここは、日本国内ですか?」

「ええ、木曽山脈のとある山間部で、遭難事故などが多いため、人が立ち入らない場所らしいわ。」

「にしても巨大ですね。航空写真などで発見されなかったんですか?」

「1年中霧が濃いのと、この施設の大半は埋まっているので、視認されなかったんです。」


へー相手も考えているなぁ。てか、これがハウザーの言っていた日本支部か?


「そんなに厳重に隠されているとしたら、そこは本拠地なんですか?」

「さあ。分からないわ。」


まだ、そこらへんの情報は入手していないようだった。

俺としては、日本支部はどうでも良いんだが。多分、これを潰す事になるんだろう。そうなったら面倒だな、妹そこに居ないと思うし。


「そこの制圧は〈蓋世〉だけじゃ無理でしょ。面積と人員の関係的に。」

「ええ、だから今回は陸軍第二駐屯地の1個中隊にも援護を要請しました。」


マジっすか、ホントに戦争起きちゃうよ。てか、スケールが大きすぎて頭に入って来ないんだが。


「今後は陸軍さんとも、コミュニケーションをとらなきゃいけないので、話し合いとかが多くなります。」


あー面倒くさい。陸軍とかめっちゃ怖いじゃん。



◇ 陸軍さんとの話し合い

「じゃ行こうか。」


いつもと同じテンションの本田さんに少しだけ気が軽くなった。


「ああ、もう時間だな。」


ちなみに、今回は厳島いつくしまさんもいる。


「相手側はもう到着しているのですか。」


「さあ?もうすぐじゃない。」


俺らは第二駐屯地の待合室を出た。防音製の待合室と違って、廊下は喧騒に包まれていた。


「おいおい、ガキが迷子になってこっち来たぞ。」


第一中央室に入って、最初に投げられた言葉だった。


やっぱ怖いじゃん。でも、相手の実力も知らずに自分より下に見る奴は嫌いだ。

陸軍の下っ端さんの言葉が癇にかん  障り、目を眇めるすが     


「おいっ。」


奥の方から怒声が飛ぶ。しかし、下っ端さんは無視して続ける。


「迷子相談所はございませんよ~。」


さすがにムカついて来たので、拳でもめり込ませてやろうかと思った瞬間。


「客人に対して君の言動は礼というものが微塵みじんも感じられないのだが。」


ここで意外な人物が動いた。


「は?、、」

「すみません!厳島警察庁長官。」


隊長みたいな人が、下っ端さんの頭をねじ伏せて自分が謝った。

下っ端さんも厳島警察庁長官の名前が出た瞬間、硬直していたため自分の首か飛ぶことを予期したのだろう。


「私の教育不足のせいで、お見苦しい所を見せてしまいました。」


隊長さんは、部下の失態は上司の責任とでもいうかのような態度だった。

同じ隊長だけど、俺と大違いだな。


「少し、場を離れます。」


その後、下っ端さんは連行されていった。

2人が扉の向こうに行き、見えなくなってから少し経つと、激しい怒気のこもった叱責が飛んでいた。その轟然とした喧騒に誰もが静かになった。


「すみません。お待たせいたしました。」


数分後、隊長さんだけが帰ってきた。あの下っ端さんはどうなったのだろう?

想像はしない方が良さそうだ。


「さて、話し合いますか。」


本田さんが悠悠閑閑ゆうゆうかんかんとした態度で、場を正す。


「そうですね。お互いに情報交換や戦略等の共有が必要不可欠です。」

「まずは何かそっちの方で質問があるか?」

「その施設の面積はどのぐらいですか?」

「推測ですが、山中の分も含めて約100Km²ぐらいだと思われます。」


でっか、1つの市町村ぐらいあるぞ。

てか、良く隠せたなその大きさ。地形探査レーダーをジャミングしたのか?


「100Km²ですか、、、。広いですね。あと、敵方の軍備はどのぐらいですか?」

「そちらから盗難された物品以外に、ICBMらしきものが不法輸入されたと。」


これまで表情を崩さなかった隊長さんでも、流石に驚愕していた。

周りの雰囲気も騒然としていたのが、今は静寂に包まれている。


「まだ、ですが。」


一応本田さんが補足する。しかし、状況が変わるわけでもないので、場は依然として静止画のように硬直したままだった。唯一、隊長さんだけが黙々と沈思ちんししていた。


「その地点に到達するためには、どのルートが安全ですか?」


唐突に尋ねてくる。

本田さんは数秒間、思考を廻らせたあと返答した。


「上空からですかね。まぁ、位置情報の提供出来るバックアップ班が入ればの話ですけど。」


やはりそうなるよな。鑑みかんが   みれば分かることだ。陸から行けばマップがジャミングされて機能しないし、地形慣れもしていない。ここには海が無いから、残るは空ってことだな。でも、これも危険が伴う。


「輸送機で上空からですか。危険を孕みますね。」

「ただ奇策だからこそ、相手の虚をつけます。まぁ、ハイリスクハイリターンですね。」


その後も延々と長々と会議していた。

もうつまんなくて眠い。


「分かりました。今後も作戦を練り合いましょう。」


会議も終わり、片づけをしていたが眠気は覚める事なくとどまり続けている。


本田さんと隊長さんは握手していた。が、眠くてそれどころじゃなかった。


「同じ隊長としてよろしく。」


俺にも手が差し出されたため、握手する。そう言えば、名前を言ってた気がするが憶えていない。


「あ、はい。よろしくお願いします。」


眠い。が一応返せた。


その後、隊長さんたちと別れて、本田さんの車に乗り込む。




「おい。起きろよ。」


車に乗ったあと本田さんにそう言われたか、言われてないか、、、まどろんだ意識の中、ともかく寝た。



Zzz



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兵器の値段は適当なので、気にしないで下さい。

また、更新が遅くなってしまいすみませんでした。

早く先の話が読みたければ、「小説家になろう」様の方でも執筆させていただいておりますので、そちらをご確認下さい。


リンク参照 https://ncode.syosetu.com/n4594gh/


「カクヨム」様の方でも頑張らせていただきますのでお願いします。


                    Written by Pomumunn


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