第15話 混乱
「しかし、何で夏休み最終日なのかな~。」
「どうしたの。宿題終わってないの?」
「いや、宿題なら夏休み開始前に終わっている。」
「早っ。」
「ほら、そんな事言っている間に着いたぞ。」
◇
「どうも、国家公安委員会兼、警視庁特務課 課長の本田 忠信だ。」
「俊瑛高校1年3組の錦宮 アリサです。皆さん、どうぞよろしくお願いします。」
続けて、夏稀さん達も自己紹介をする。
柳さんは毎度の
「ねえねえ、どっちが本命なの?」
夏稀さんが面白そうに聞いてきた。
「別に両方ともそんな関係じゃないですよ。」
「そんなー。ドライだね君は。でも、」
妙にかしこまって。
「応援しているよ。」
にこりと笑ってそう言った。
その姿に(少しお姉さんっぽいな)と思ったのは言わないでおこう。
◇
「本田さん、本当に大丈夫なんですか。」
「まだ、言っているのかい。大丈夫だって。」
「でも、本来なら審査とかあるんでしょう?」
「花梨もアリサも、ただの高校生です。」
「君だってそうだろう。」
「俺には復讐と言う目的がありますから。」
グッと拳を握った。
「理由や目的が無ければダメなのかい?いや、違うだろう。」
「君はただ、巻き込みたくないだけなんだ。あの2人を。」
目線で夏稀さんとはしゃいでいる、アリサと花梨を指した。
「まぁ、そうっすね。本音はそんな感じですよ。」
「彼女らが、望んでしたことだ、つまりそれが彼女らの人生の1ページさ。だから、他人が踏み込むところではないよ。」
「確かに、言う通りですね。分かりました。」
「それに、実績を出せば認めてくれるさ。」
「そうっすね。でも、事件なんて無い方が良いですけど。」
「それもそうだね。」
◇
「じゃあ、またねー。アリサちゃんと花梨ちゃん。」
「ありがとうございました。夏稀さん、言葉さん。」
「柳さんと金剛さんは、怪我は良くなりましたか?」
「僕は、ぼちぼちってとこかな。まだ、痛いけど。」
「俺は良くなってきたぞ。」
「そうですか。お互いにこれからも頑張りましょうね。」
男女分かれて、言葉をかわす。
「「「じゃあ、さよなら。」」」
◇ 始業式
「えー、これより。
眠くなる時間が始まる。
「始めに、校長先生の話。」
呼ばれたのに、校長が来ない。先生達も少し慌てていた。
次の瞬間、ざわめきが起こる。
「けけっけけけ。」
ナイフを持った男が、校長を人質のように拘束していた。
「何何何!」 「な、何で、こんな事に。」 「おいおいおい、嘘だろ。冗談だろ。」
一瞬でパニック状態に
もはや先生達も冷静な対応が出来なくなっていた。
「なあ、アリサ。颯太と合流して避難誘導してくれ。花梨は〈蓋世〉に連絡してくれ。」
そう言うと、バンッと床を蹴った。
とても良く響き、空気が揺らいだように音が拡散した。
誰もが止まり、騒然としていた。
「おい、お前ら。アリサが避難誘導してくれるから、冷静になって下がれっ!」
一斉に、生徒が下がりだす。
あーあ、また目立ったじゃねーか。
「じゃあ、後は頼む。」
「待って瞬一はどうするの?」
「俺は、、、、あいつを倒す。」
◇
「けけっ。お前がグラゼルの馬鹿を
「おい。狂った野郎。」
「なんだよぉ。瞬一とかいうやつぅ。」
「もう、校長を離してくれ。死んでしまう。」
「それもそうかぁ。こいつ汗臭いしなぁ。」
ポイっと校長を投げる。
「で、狂った野郎。お前の名前はなんて言うんだ。ドミニオン8幹部か。」
「あーあ、グラゼルの馬鹿野郎が、言っちゃたのかぁ。まぁ、ご察しのとーりなんだなぁ。どーも、〈悪狂〉のハウザーでーすぅ。」
異様に曲がった、奇怪なナイフを両手に持って言った。
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