第15話 混乱

「しかし、何で夏休み最終日なのかな~。」

「どうしたの。宿題終わってないの?」

「いや、宿題なら夏休み開始前に終わっている。」

「早っ。」

「ほら、そんな事言っている間に着いたぞ。」


「どうも、国家公安委員会兼、警視庁特務課 課長の本田 忠信だ。」

「俊瑛高校1年3組の錦宮 アリサです。皆さん、どうぞよろしくお願いします。」


続けて、夏稀さん達も自己紹介をする。

柳さんは毎度の如くごとく忘れられた。


「ねえねえ、どっちが本命なの?」


夏稀さんが面白そうに聞いてきた。


「別に両方ともそんな関係じゃないですよ。」

「そんなー。ドライだね君は。でも、」


妙にかしこまって。


「応援しているよ。」


にこりと笑ってそう言った。

その姿に(少しお姉さんっぽいな)と思ったのは言わないでおこう。


「本田さん、本当に大丈夫なんですか。」

「まだ、言っているのかい。大丈夫だって。」

「でも、本来なら審査とかあるんでしょう?」

「花梨もアリサも、ただの高校生です。」

「君だってそうだろう。」

「俺には復讐と言う目的がありますから。」


グッと拳を握った。


「理由や目的が無ければダメなのかい?いや、違うだろう。」


間髪かんはつを容れずに、本田さんが言った。


「君はただ、巻き込みたくないだけなんだ。あの2人を。」


目線で夏稀さんとはしゃいでいる、アリサと花梨を指した。


「まぁ、そうっすね。本音はそんな感じですよ。」

「彼女らが、望んでしたことだ、つまりそれが彼女らの人生の1ページさ。だから、他人が踏み込むところではないよ。」

「確かに、言う通りですね。分かりました。」

「それに、実績を出せば認めてくれるさ。」

「そうっすね。でも、事件なんて無い方が良いですけど。」

「それもそうだね。」


「じゃあ、またねー。アリサちゃんと花梨ちゃん。」

「ありがとうございました。夏稀さん、言葉さん。」


「柳さんと金剛さんは、怪我は良くなりましたか?」

「僕は、ぼちぼちってとこかな。まだ、痛いけど。」

「俺は良くなってきたぞ。」

「そうですか。お互いにこれからも頑張りましょうね。」


男女分かれて、言葉をかわす。


「「「じゃあ、さよなら。」」」


◇ 始業式

「えー、これより。繚乱りょうらん14年度、第2学期 始業式を始めます。」


眠くなる時間が始まる。


「始めに、校長先生の話。」


呼ばれたのに、校長が来ない。先生達も少し慌てていた。

次の瞬間、ざわめきが起こる。


「けけっけけけ。」


ナイフを持った男が、校長を人質のように拘束していた。


「何何何!」 「な、何で、こんな事に。」 「おいおいおい、嘘だろ。冗談だろ。」


一瞬でパニック状態に陥るおちいる

もはや先生達も冷静な対応が出来なくなっていた。


「なあ、アリサ。颯太と合流して避難誘導してくれ。花梨は〈蓋世〉に連絡してくれ。」


そう言うと、バンッと床を蹴った。

とても良く響き、空気が揺らいだように音が拡散した。

誰もが止まり、騒然としていた。


「おい、お前ら。アリサが避難誘導してくれるから、冷静になって下がれっ!」


一斉に、生徒が下がりだす。

あーあ、また目立ったじゃねーか。


「じゃあ、後は頼む。」

「待って瞬一はどうするの?」

「俺は、、、、あいつを倒す。」


「けけっ。お前がグラゼルの馬鹿を斃したたお    奴か。」

「おい。狂った野郎。」

「なんだよぉ。瞬一とかいうやつぅ。」

「もう、校長を離してくれ。死んでしまう。」

「それもそうかぁ。こいつ汗臭いしなぁ。」


ポイっと校長を投げる。


「で、狂った野郎。お前の名前はなんて言うんだ。ドミニオン8幹部か。」

「あーあ、グラゼルの馬鹿野郎が、言っちゃたのかぁ。まぁ、ご察しのとーりなんだなぁ。どーも、〈悪狂〉のハウザーでーすぅ。」


異様に曲がった、奇怪なナイフを両手に持って言った。

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