第14話 自室

「ここを曲がったらマンションに着くぞ。」


「ねぇ、花梨。ここって、、」 「うん。超高級住宅街。」

「「瞬一ってお金持ち?」」


ひそひそと2人で話しているが瞬一は気づいていない様子だった。


「よし、着いたぞ。」


目の前にそびえ立っていたのは、予想通りの高級マンションだった。


「うわー高そう。」 「巨大。」


「どうした2人共、入らないの?」


マンションに驚いている2人を残して、エレベーターに乗ろうとする瞬一。


「あ、待ってよ。」 「む、待機。」


慌ててアリサと花梨も走り出す。


「ここって、何階まであるの?」


手すりに装飾が施されたエレベーターに乗りながら、アリサが聞いた。


「えーっと、確か、54階だったかな。そんな高くないぞ、広いけど。」

「へ、へー。そうなんだ。」


♪~~♪~♪~~♪~♬


軽快な音楽と共に、目的階の到着を知らせた。


「お、着いたか。」


「50階。」


エレベーターには、そう表示されていた。


「エレベーター出てすぐ右な。」


先行して行こうとする2人に言う。

あれ、そう言えば部屋片付けていたっけ。ヤバいな。


「待て待て。」


慌てて追いかける瞬一。




「3分だけ待て。片付けて来るから。」

「別に大丈夫よ。気にしないから。」

「こっちのプライバシーってもんがあるんだよ。」


そう言って、2人を部屋の前に残してダッシュで入る。

さすがにあのままだとマズい。早急に片付けねば。




まずは、散らかっている下着類や脱いだままのパジャマなどを洗濯機に突っ込む。筋トレ道具類は、押し入れに入れ、乱雑とした机の上は全て、袋に放り込んだ。あと、その他諸々もろもろやって。etcエトセトラ、、、


「ふぃー。ちかれたぜ。」


「ねえ、瞬一。まだ?」


休む暇も与えず、アリサが急かす。


「今行くから、待って。」


ピッとカードをドアに当てロックを解除する。


「お邪魔しまーす。」 「お邪魔します。」


なだれ込むように、2人が入って来た。

そんなに急がなくても良いだろ。


「うわーとても広い。」 「うん。確かに広い。」

「これって何LDK?」

「さあ、知らん。そう言うの興味無いから。」

「あはは、確かに瞬一ってそう言うの知らなそう。」

「4L2DKぐらいじゃない?」

「それにしても、あんまり物がないね。」


ああ、さっき片付けたからな。


「お茶でも要るか?」

「私、レモンティーで。」 「コーラ。」

「あ、そうですか。」


そう返事して、瞬一は奥に行った。



「う~ん。如何わしいいかがわしい物は無いわね。」

「いや。ここに隠しファイルが。」

「何やってんだ?お前ら。」


「あ、バレた。」


「てへっ」ってしても、許されません、アリサ。


「いやー健全な男子なら。あるんだけどな。」

「この隠しファイル。以上にセキュリティが高い。絶対に怪しい。」


入念に隠したデータがいとも簡単に見つかるとは。花梨、恐るべし。


「はいはい、花梨もそこまで。」


そう言って、花梨からmyノートパソコンを取り返す。


「く~。もうちょっとでこじ開けられたのに。」


あっぶねーな。もう少しで死ぬ所だった。


「ほい、ご注文の品。」


レモンティーとコーラを机の上に置く。


「あれ?本当にあるの。冗談で言ったのに。」

「ん、用意周到。」

「ああ、ストックが10くらいあるからな。」

「へー、そうなんだ。ちなみに、種類、本?」

「種類だけど。」

「あー凄いですね。」


「む。この部屋何?」


花梨がトレーニングルームを指差して尋ねてきた。


「そこはトレーニングルームだよ。筋トレとかする部屋。」

「毎日鍛えるの?」

「まぁ、朝5Km走って、その後ベンチプレスして、学校帰ってから80Kgのウェイトやるな。大抵は、そんなもんかな。」

「だから、あんなに強いのね。」


アリサがそう呟いた。

龍崎やデゼルと戦った時の事を指しているのだろう。


「? 何で、アリサが知っているの。」


首をかしげながら、俺に聞いてきた。

そう言えば、あの事件の事話すの忘れていた。そもそも、まだ花梨がこっちに来てなかったし。


「えっとな、要約して話すとドミニオンの下っ端に、アリサが襲われたんだ。で、俺が助けた。そんな感じだ。」

「え、ちょっと待って。」


ねえねえと花梨が、瞬一の袖を引く。


「だったら、〈蓋世〉の事アリサに言って良くない。」

「た、確かに。なぜ、気付かなかった。」


「ねぇ。なに2人で話しているの。」


不審に思ったアリサが尋ねてきた。


「ちょっとアリサ。これを見てくれ。」


そう言って、使う予定の無い警察手帳を取り出す。


「え、何これ。偽物なの?まさかの本物。」

「そう、そのまさか。」

「えっと、それで。何で警察なの?」

「要約して話すと、爺ちゃんの友達が警察庁長官だった。それで、なんか勧誘された。」

「私もそう。」


花梨も警察手帳を取り出す。


「ええー。花梨も警察なの?」

「ん。」


「で、〈蓋世〉って、部隊に入ってドミニオンを捜索している。」

「ドミニオン?あの時に居た?」

「そう、そして俺の妹に誘拐した奴ら。」

「結実ちゃんを誘拐?」

「そうだ。」


怒りを滲ませた声で返す。


「ならっ。私も入るよ。〈蓋世〉に。」


勢いよくそう言いきった。


「は。」 「え。」


瞬一と花梨、2人の声がハモる。


「死ぬかもしれないぞ。」

「それはみんなもそうでしょ。それに、私だって役に立ちたいの!」

「そんなに言うなら、本田さんに連絡してみるよ。」


「もしもし、本田さん。今、少しいいですか?」

「どうした?まあ、良いけど。」

「〈蓋世〉に新たにメンバーをいれたいのですが。」

「ん、良いけど。」

「そうっすよね。やっぱ、無理ですy、、、、えっ。良いんですか。」

「ああ、そう言わなかったか。」

「良いんですか。そんなに軽くて。」

「ああ、文句が出たなら公安委員会の権力で潰してやるよ。」

「うわー。警察の裏側が出た。怖っ。」

「じゃ、そう言うことで。」

「ほーい。」


「おーい。許可降りた。」

「え、早っ。良いの?」

「ああ、俺も驚きなんだけどな。」

「まあ、そう言うことで。もう暗くなって来たから、今日はお開きにするか。」

「えー、もうなの。」

「そうだね。」

「じゃ、また。〈蓋世〉から連絡があると思うから。」





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