第13話 来客
「以上で報告は終わり。みんなお疲れ様。」
夏稀さんが
しかし、男性陣の怪我は痛々しいままだった。金剛さんは肋骨にヒビが入り、柳さんは、全身の打撲と頭部の損傷(記憶障害は無かった)。さらに、瞬一は左腕の粉砕骨折及び、背中の打撲。制圧したとは言え、あまり気分の良いものでは無かった。
「あと、結実ちゃんの手掛かりについては捜索中よ。」
「そうですか。ありがとうございます。」
「じゃあ、このあとは特に活動が無いから、しっかりと休養してね。」
〈蓋世〉の活動報告を終了し、本庁を出た。
◇
「瞬一。大丈夫?」
「ああ、大丈夫だ。柳さんの方が重体だしな。」
「ん。無理しないで。」
「分かったよ。気を付けるから、ほら泣くなって。」
花梨の目には、大粒の涙が輝いていた。
「うん。気をつけて、約束だから。」
「了解。」
「これから瞬一はどうするの?」
落ち着いた花梨が聞いてきた。
「強くならなきゃいけないから、爺ちゃんの所に行って修行でもしてくるか。面倒くさいけど。」
「その腕じゃ無理でしょ。しっかりと休養して。」
「言われてみればそうだったな。のんびりとするか。」
◇
「そう言えば、瞬一の家行きたい。」
唐突に花梨が言い出す。
「ん、ああ。そんな約束していたな。行くんだったら、アリサも誘うか。」
「む、いいよ。瞬一が言うなら。」
しかめっ面をしながらも了承してくれた。
それにしても、アリサと花梨って仲悪かったっけ?
「実家じゃなくて、俺の住まいだな。マンションだけど。」
「うん。そっちがいい。」
実際、アリサは実家に来た事があるんだけどな。あの頃は壊れてたけど。
あんな事も今では思い出として、過去の話になっている。
「じゃ、ちょっと待ってくれ。」
「ん。」
◇
スマートフォンという文明の利器を取り出して、アリサに電話をかける。
「もしもし、アリサ。」
「もしもし。どうしたの?」
「ちょっと今暇か?」
「うん、大丈夫だよ。」
「今、花梨と一緒に居るんだが、なんか俺の家に行く事になってな、アリサも来るかって連絡してみたんだ。」
「え!家行っていいの?」
「うん。だから連絡したんだけど。」
「なら行くよ。どこに行けば良い?すぐ行くよ。」
「そんな急がなくて良いぞ。1日の長さは平等だ。」
「何それ?面白くないよ。」
そう言いながら笑っていないか、アリサ。
「じゃあ、学校近くの駅まで来てくれ。」
颯太との待ち合わせ場所にも使った場所にする。
「分かった。ちょっと待っててね。」
「こっちも時間かかるから、急がなくて良いからな。」
「はいはーい。」
通話を終えたら、すぐに指摘が飛んできた。
「1日の長さは、平等とは言えない。地球は球形であるため、日の出にもタイムラグが起こるし、自転と公転によって時差も生まれる。また、1日の長さは正確には24時間では無く、24時間と約59秒である。」
コンピューターモードの花梨先生による、雑学教室が展開されていた。
「はい、ありがとうございます。とても勉強になりました。」
ちなみに、1日が24時間じゃないのは、初耳だった。
「じゃ、俺らも駅に向かうぞ。」
◇
「おーい。瞬一。」
駅前広場に出ると、アリサが手を振って呼んでいた。
まったく、目立つからやめてほしいものだ。
「悪いなアリサ、待ったか?」
「ううん。今来たところ。」
テンプレの台詞を言うが、俺たちは恋人同士ではない。しかも、花梨居るし。
「あれ、瞬一どうしたの?」
アリサが俺の左腕を指して尋ねてくる。
「ああ、これか。爺ちゃんの
ちなみに、まだ〈蓋世〉の事はアリサに言わない事にした。これは、花梨とも話し合って決めたことだ。
「大丈夫?痛くない。」
心配そうに尋ねてくる。随分と親身になってくれているな。
あの時だってそう、、、
「ああ、もう治りかけているし。」
俺がそう言うと、後ろで
そりゃそうだ。折れてから1日も経ってないし。昔から治りが速いって言われてたな。
「なら。大丈夫ね。早く瞬一の家に行きましょ。」
「そうだな、ここで話すのも目を引くし。」
「瞬一は変な所にこだわるよね。」
「そうか?」
「確かに。」
続けて花梨も同意する。
「そんなにか?」
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1日の計算はうるう年が無かった場合の計算です。年に6時間余るそうです。
by ぽむむん
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