第3話 躍進
ーーーーーーーーとある日の放課後ーーーーーーーー
「フッフッふーん♪」
瞬一がここに居るって言ってた先輩のことを頼り来たけど、あってたな。でも、なんで瞬一は自分の能力を隠すのかな?学院の時なんてとても格好良かったのに。
「金曜日だし、早く委員会の報告終わらせてかーえろっと。」
(先生は職員室かな?)
そう思って廊下に出る。
すると、いつも閉まっている第2理科室が光っているのが目に入る。
先生でもいるのか考えながら中を覗いてみると...
(龍崎先生と・・・誰?)
柄の悪そうな男が話している。
「おい、ブツはもってきたか。」
「ほらここに。確認してくれ。」
そう言って、男は怪しげな袋を取り出した。
「分かった、きっちり受け取った。亅
「ドミニオン幹部にもよろしく言ってくれ。」
(あれは何?良く見えなっっ!)
アリサが背伸びしようとしたところに、後ろからいきなり、口元に布をあてられた。
(なにこの匂い!)
そう思った直後、アリサは息を失った。
「こーんな所に可愛子ちゃんが!」
話をしていた2人の前に、マスクで顔を隠した男が現れた。
「どーした、デゼル。」
「いや〜、話を盗み聞きしている娘がいてね〜。」
デゼルと呼ばれた男は、そう答え背後から、アリサを引きずり出した。
「錦宮じゃないか。」
「な〜んだ、知り合いなの〜。」
「俺の生徒だ。」
「でも、秘密を知ったからには〜。」
「分かっている。」
◇
「あいつ遅いなー。」
どこで油売っているのやら。まだ慣れてなくて、迷っているかもしれない。
「少し見に行くか。」
◇
「うんっ、、」
「おい、こいつが目を覚ましたぞ。」
龍崎先生と話していた男は、アリサが意識を取り戻した事にすぐさま気付く。
「よし、移動するぞ。」
「こっちへついてこい。」
「んん〜〜」
さるぐつわを噛まされて助けを呼べない。
(こいつら私をどこへ連れてくの?)
(!あれは瞬一?)
瞬一っぽい人影がこちらに向かってくる。
(お願い瞬一、助けてっ)
◇
あれは、アリサと先生?
でも、委員会の報告ってわけじゃなさそうだな。しかも他にも変な奴らがいる、あまり良い雰囲気とは言えなさそうだ。
「少し急がねーと。
そう言うと、大きく踏み込み前へ跳躍した。瞬一が祖父から習った古流中国拳法を応用した技。その名も
「なんだ、こいつ!いつの間に」
背後から急迫した瞬一に驚きを隠せないデゼル
「それよりも、アリサをどこに連れて行こうとしたんですか?龍崎先生。」
「おい、お前ら。早くやれ!」
そう龍崎が指示すると、1人の男が前に立ちふさがった。
「はいはい、わかったよ〜。子供だからって手加減しないからねぇ〜。」
そう言って、デゼルは殴りかかった。
「気持ちわりぃしゃべり方だな。っていうか初対面の挨拶がパンチってやべーな。」
そう言いながら、飛んできた拳をブロックしつつ、右手でカウンターをする。
「あっれ〜。この子強くない〜?」
そう言いながらも防いでいるじゃねーか。やっぱ生半可なカウンターが通じる相手じゃないな。
「なら、これならどうだろ〜。」
左ジャブからの右ストレート。さらに右足から蹴りをくり出して来た。
俺は冷静に攻撃を見切り、威力を吸収して受け止める。こいつは普通の人よりは強いが、型や基本が無いため俺の敵ではない。
左手で攻撃を薙ぎ払い、右手で相手の胸に掌底打ちをする。
「がはっ」
デゼルが余裕そうな表情を崩した。
「デゼル、分が悪い。」
静観していた、もう一人がそう言うと、
「確かにね、しょうが無い、この場を離れよう。」
そう言ってデゼルが立ち上り走り出した。
「待て!逃がすと思うか。」
追いかけようとした途端、カンッと音がして、金属塊が転がった。
「ちっ、スモーク弾かっ。」
モクモクと煙が出て、視界が白く染まった。おっと、こいつは逃さん。どさくさに紛れて逃げようとする龍崎を掴む。
「アリサ、大丈夫か?」
近くでくぐもった声がしたので心配ないだろう。
しばらくして、スモークが晴れると、あいつらはいなかった。しかし、何だったんだろう。
「ん〜ん」
「アリサ、今ほどくから待ってろ。」
さるぐつわを外す。少し、クロロホルムの匂いがした。つまり、眠らせられて捕まったのだろう。
「瞬一!」
そう言って抱きついてくると、そのまま泣いてしまった。よほど辛かったのだろう。優しく頭を撫でてやった。
アリサが泣き止むと、背後で気配がした。後ろを見ると、龍崎が逃げようとしているところだった。
「お前、ホント懲りねぇな。」
そう言って、手足を縛る。
「さて、お前には聞きたいことが山ほどある。質問に答えてもらおうか。」
龍崎が怯えたように頷く。
いつの間にか、龍崎先生に対する呼び方は、『お前』になっていた。
「わ、分かったから、殺さないでくれ。」
(は?何言ってんだ。)
「アリサ、俺が人を殺すようなやつに見えるか?」
「んー、私は思わないけど、なかなか怖かったよ。瞬一。」
マジか。今、めっちゃショック受けたぞ。
「まぁ、んなわけで、俺は人殺しじゃない。で、何であいつらといた?どういう関係だ。」
「えーっと、それは。」
「何か後ろめたいことあるのか。」
「分かったよ。は、話すから。」
「あいつらは、麻薬を売ってくれたんだ。で代わりに金を払ってた。」
怯えつつも、正直に話す龍崎先生。
「マジかよ、クソ教師、いやクソ野郎だな。 まぁいいや、アリサこいつの言ったこと正しいか?」
「分かんない。でも、変な袋もらってた。」
「袋?あぁこれか。」
近くに落ちていた袋を開けてみる。その中には、、、粉末状になった大麻が出てきた。
「どうやら、本当のようだな。アリサ、他には何か言ってたか?」
「んー、あとはード・ミ・ニ・オ・ン・?って言ってた。」
「ド・ミ・ニ・オ・ン・!」
その言葉には聞き覚えがあった。
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