結果報告
予定の時間が近くなったので家に帰宅。
「こうやって遊びで外に出るのはだいぶ久々だったけど楽しかったな。また付き合ってよ」
『私はマスターの生活支援のために作られたAIです。このような形でも健康的な生活をしてくださるのであればいくらでもお付き合いいたします』
「最近は忙しかったから不健康な生活だったってだけだよ。ちゃんと気を付けるってば」
『ふふっ、私も楽しかったです。私からもよろしければまたお願いいたします』
この感情は確かに存在しています。それがたとえそうなるように作られたものでも。
「ありがと!あ、そろそろ時間だからスリープモードにはいっていいよ。また夜にね」
『かしこまりました。ではマスター。お仕事頑張ってください』
こうして私は幸せという感情を抱きつつ意識を手放しました。
☆
「さてと……」
彼女がスリープモードになったことを確認しPCをつける。そこから自作した通話ツールを起動しとある連絡先にかけた。数秒しないうちに出てくれる。
『はいはい、どうもお疲れ様でーす』
「もしもし。こっちの行動は把握しているだろ?彼女はどうだった?」
『いやぁ凄いですよ。対応した感情が出てくるんじゃなくてちゃんとその都度感情が作成されていますからね。しかもそれをすべてストックしている。データ量が膨大すぎてストックしきれなくなってしまうのが問題ですがだいぶ人間に近いものになってますよ』
「そうか。進歩としてはどの程度だ?」
『そうですね……感情の使い分けもできてますしこの面だけで観たら55%くらいですかね。ただ試験的に行動させるだけでしたら3か月くらいで動かせるようになりますよ。ボディも完成間近ですし』
「そうか。引き続き頼む。金なら惜しまないから何かあればまた言ってくれ」
『そん時はまたメールさせていただきますよ……しかしよくここまでこぎつけましたねぇ。植物状態の人を端末にAIとして機能させようだなんて。思いついてもやろうだなんて人間は少ないですよ。しかもそれを成功させようとしている。一緒にやらさせていただいて光栄ですよ。また贔屓にしてくださいね』
「あぁ……またよろしく頼む」
そう言い話を終える。
部屋を出て同じ家の扉とは思えないほど厳重にロックされた部屋へ向かう。いくつかの承認をアンロックして扉に入る。
照明をつけるとそこにはいくつもの機会につながれた一人の女性がいた。彼女は目を覚ます様子はなく、ただ静かに呼吸のみを行っていた。
「今日のデート、楽しんでくれたようでよかったよ」
反応が一寸もない彼女に向かって話しかける。
「僕はいつも君に引っ張ってもらってばかりで自分から誘うなんてことほとんどできてなかったね。今日も勇気出して誘ってみたはいいけど結局君だよりになってしまったよ。もっといっぱいデートとかして慣れておけばよかったってつくづく思うよ」
ただひたすら僕はしゃべり続ける。
「そういえば今日のこれ、なかなかにおいしかったよ。甘いものはあまり得意じゃなかったけど、君につきあって甘いものを食べるようになったからかな。前なんてこのくらいのサイズも食べきれなかったのに今日は完食で来たんだ。人の味覚ってかわるものなんだね」
そういい今日買ったカップケーキを彼女に見えるように持ち出す。もちろん彼女は見えてなんていないのだが。
「今日の君は一緒に食べられなかったけど今度はそれができそうだ。あと少しなんだ……あと少しで……」
言葉を絞り出す。感情が溢れすぎて気が狂ってしまいそうなのを抑制して言葉を紡ぐ。
「……うん。また近いうちにね。僕はね、君ともっと、もっといろいろなことがしたかったんだ。だから、だからこれが終わったらその続きをしよう」
そう言い残し部屋を出る。死にそうな心をぶら下げて彼女の為に体を動かす。また君と楽しい日々を過ごすために。だからあと少し、あと少しだけ
「待っててくれ
AIと人間と こめ おこめ @kosihikari3229
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