第3話 黒い篭手
俺の心拍数は高鳴る一方だ。
ゴブリンの洞穴までくるのに走ってきた。
はぁ。鎧だとこんなにもしんどいなんて。
それよりも無装備で太刀打ちできるほどにゴブリンは甘くはない。
ここはしっかりとこの黒い篭手を使わないとな。
確か旅立つ前に神経を集中させて原型を創造しろと言われていた。
俺の場合は素人だから両瞼を閉じながらの方がいいらしかった。
早速だがやってみた。すると黒い剣が出現した。よし。これでよし。
宙に浮いているところを手で柄を掴んだ。うお!? 意外に重いな。
でも扱う分には軽いな。ちなみに俺は一度も剣を振ったことがない。
振ったと言えば斧くらいだ。はぁ。思い出したくもない記憶だな。
ふぅ。気持ちを切り変えるか。今の俺は森の茂みに身を寄せている。
ここからゴブリンを見つけることは出来ない。さすがに三匹だと中か。
と言うことで俺は洞穴に近付くことにした。大丈夫、大きな音さえなければ。
恐る恐る洞穴の中を見てみた。すると松明の臭いがした。火が点いている。
うーん。残念だが蜂蜜の匂いはしない。ただ単に松明が壁に掛けられている。
ここは洞穴だから浅い筈。すぐに入るとすぐに遭遇だな、これは。
さてとそろそろ覚悟を決めて入りますか。ここでじっとするはないな。
恐れることなく洞穴に入り込んだ。うーん。今のところは異常なし。
いや。待て。耳を澄ませると確かにゴブリンの宴みたいな声が聞こえてくる。
この最奥でどうやらゴブリンは宴をやっているらしい。蜂蜜のせいか。
はは。今になって思ってもなんだ? 蜂蜜って? でも受けた以上はだな。
残念だがここでも蜂蜜の香りは松明に消されている。気を改め直し先に進む。
ふぅ。ここから先が最奥だ。多分だが行き止まりの大きな空間だろう。
そう思い切り俺は勢いよく最奥に入り込んだ。やはり大きな空間が広がった。
随分と明るいな。あ。ゴブリンが宴に集中していて俺に気付いていない。
ゴブリンは小さな火を起こし楽しんでいるようだ。そこを悪いが邪魔する。
果たして俺はゴブリンを三匹も倒せるのだろうか。
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