ああ 私の兄弟のようであったなら

絢爛なりし 黄金と和紙の 観覧車

宙を回るる 風船の金魚

妙音振りまき 踊る鼓

胸乳の海を 泳ぎ渡らば

母のめぐみの ろ長調を

拾う耳翼じよくの 夢心地

隣り合う家族が いたのなら

きっと耳突く 泣き声も

聞こえることなく 一人勝ち


かあさまかあさま わたしのかあさま

愛くるしい私を 愛してください

柔らかな私の 心を守ってもらおう

か弱い私の 紅葉の手

守ってください 柔らかな頭蓋を


とうさまとうさま わたしのとうさま

かわいい私に 恋してください

和毛のような 髪を撫でてもらおう

か細い私の 潰れやすい背骨

わたしにください 丘陵のような その胸を


ねえさまねえさま わたしのねえさま

いとおしいその唇 わたしにください

私の笑顔を 呼び起こしてもらおう

花瓣かべんのような 掌で 白魚のような 指先で

歌って下さい 私の愛しさを


にいさまにいさま わたしのにいさま

優しい笑顔で 笑って下さい

壊れたおもちゃを 直してもらおう

ねじを回す 器用な指先で

作ってください 物語の欠片を


こっとんと しるくの海に

母が垂らした 白波に

父が与えた 大岩に

姉が歌った 御伽草子

兄が作った 欠片を使い


いつまでも私を 貴方たちの海の中で

ずっとずっと 育たない私で

我を通す 幼い貴族のままでいさせて

大きくならない 小さな小さな 私の手

握って愛して 離さないで

私を永遠に ここでいさせて


私は永遠の 子供の夢とろいめらい

不思議な琴の弦は 決して狂わない

永遠の幼子 愛さる天使

永久の貴婦人から生まれた 処女の奇跡

神の使わした 男の子の似姿 住まいは天の国



とこしへに私は 天のもの

穢れを知らぬ 罪の子ども

厠に行かず 乳を飲む子

父なる者らの 幻想すけるつぉ

ただ一つ私に 許されないのは 汚れること


あなたがたのために 幼子でいましょう

わたしのために 幼子でいましょう

母だけを 育む試練に追い落とそう

神は母だけを 救われる


神よデウス  祝福したまえベネディーカト 憐れなる我らオートネピフィリア

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