第19話 北風と太陽

母のところで働いてくれている職人さんが、ちょっと前までは、


仕事に行っては、お酒を飲んで数日休み、又、仕事に


いってはと繰り返していたのに、ここ最近、ずっと


仕事に行ってる。


「先週なんて、週6なのよ」って母が電話越しに


不思議がっていた。


普通は、働いてるのがあたり前なのに(笑)


そして、さっき、慌てて電話がかかってきた。


「分かったのよ、分かったの」


「?」こちらは、なんの事かと思っていると、


事件を解決した刑事のように話しだした。


要は、上の監督している人が変わったらしく、


そのおじさんを、とても認めて大切に扱ってくれることが


嬉しくて行っているらしいのだ。


その時、私の頭に、北風と太陽が思い浮かんだ。


母が、こんなんじゃ体を壊すとか、この先どうするんだと


ガミガミ心配していってた時は、全然、変わらなかったのに、


人としての価値を認めてもらって、大切にされるだけで


人は、こんなに変われるのだ。


私達は、とかく、正しさを伝えることがいいと思いがちだが、


それよりも、相手を認め、思う気持ちを伝えた方が、よっぽど


いいのだと思った。


私達の大切なおじさんが、大切に扱われているだけで、


嬉しいし、ありがたいねって話していた。


その監督も、まさか、目の前のおじさんだけじゃなくて、


見知らぬおばさん二人までも幸せにしているときづいたら、


驚くだろう。


見たことない人ですが、その監督に、ありがとうと伝えたい。


「あなたの思いや言葉が、いろんな人を幸せにしてますよ」


ってね。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る