第5話  手放し

自分の人生がこれでいいのか?と、去年くらいから疑問に持ち、


うっすらもやもやしていたのが、このコロナで、いよいよ


避けては通れない道のように、私の目の前に立ちはだかって


きた。


今までの人生、言われるがままに、なんとなく不安だから


勉強して、学校出て、タイミングよく結婚して、そのまま


いくもんだと思っていたが、途中で離婚し、子供達もいるから、


とりあえず、なんとか仕事し、このまま一生が終わるのか?


自分は、何のために生まれてきたのかな?


普通に結婚してそのまま終わると思ってたけど、離婚したら、


じゃあ、これは、悪い人生だったのか?


そんなことない。


3月に仕事を辞めた、この時期を逃したら、もう、変われる


チャンスは、ないと思ったから、変わりたいと思ったけど、


何をどうしていいか分からなかった。だけど、今までのままじゃ


だめだという声だけは、自分の内側からわき上がってきて、


ごまかす事ができなくなっていた。


自分の本当に望む人生を生きたいと思った。


仕事を辞めて気づいたことは、自分が何をしていいか分からない


という事だった。


自分の事なのに、42年間も自分をやってて、自分の事が


分かってなかった。


とりあえず、自分としては、仕事をしているから、好きなことが


できないと思っていたけど、そうじゃなかった。


時間は、たっぷりあるのに、何をしていいか分からないのだ。


だから、「不安」が襲ってくる。


心では、なにかしなくちゃいけない、早くしたい事みつけないと


いけないと思っているから。


いろんな人の本を読んだり、チェロを習おうかと思ったり、


自分が思ったことを書いてみたり、でも、心のどこかで


稼がなくちゃという思いがあるから、なんか、こんなことより


「すぐお金になる事をするべきなんじゃないの」っていう声も


聞こえてくるし、、、


とにかく、試行錯誤していた。


いろいろ調べていくうちに、本当にやりたいことがみつからない


のは、自分を愛せてない事が原因なんだという事に気づき、


自分を幸せにしていない固定観念を手放していこうとした。


そうすると、自分の中に、「能力がない」とか「無価値観」


それがあるから、将来に対する「不安」や「恐れ」があるという


事に気づけたし、だから、「お金が入ってこない」という


固定観念に繋がるんだと気づけた。


他にも「罪悪感」「後悔」「コンプレックスのある見た目」


とか、たくさんの思いがあった。


どうして、自分は、「能力がない」とか「無価値観」と感じる


固定観念があるのかな?と考えていると、学校で、みんなが認め


ている勉強とか、スポーツ、できたらすごい人なんだって


思われる物がないとだめって、言われて、教えられて


いたからなんだと思った。


この考え方が自分を幸せにしているならいいけど、していない


なら、手放そうと思った。


「私には必要ない」


「能力がない」って思っている自分を受け入れて、認めて、


愛してあげる。


「能力がない」って思ってる自分さえ愛してあげる。


やってみたら、気分が楽になった。


あらためて、自分が自分に対して「能力がない」って思ってた


事を認めると、すごく悲しくなってきた。


だって、本当は、自分が自分を守って「がんばれ」って


いったり「そのままでいいよ」って言ってあげなくちゃいけな


かったのに、周りの声を鵜呑みにして


「あなたは、能力ないのよ」って、ずっと自分が


自分にそういう事をいい続けてきたんだって思うと、


自分に対して「辛かったよね」「この長い間、ずっとそういう


思いをさせてごめんね」


って思いが溢れてきた。


手放しを続けて、自分の嫌な所も認めて愛せるようになると、


今まで自分の中にあった固定観念がはずれ、


「本当にみんなが認める物しか価値がないのかな?」


「みんなに認められる必要があるのかな?」


とか、「無いなら、価値を創ればばいいじゃん」とか、


いろいろな角度、視野から考えられるようになってきた。


最後は、別に、人から認められる価値がなくても、


自分で自分を愛せているから、そのままでもいいか、


それよりも、自分自身が、自分である事に


感謝して、人生を楽しむ方が大切だと思えてきた。


あと、自分を幸せにしない固定観念を手放していって思った


ことは、自分のこんな部分は嫌だって思って、一番辛い思いや、


苦しい思いをしているのは、自分自身だったのに、


それをみないふりして、嫌いって蓋してたんだということ。


それを、他人に愛されたり、癒してもらう事でごまかしてた


けど、結局は、自分自身が、自分を認めて愛してあげないと


いつまでも消えない。


このことに気づけたのは、私にとって、とても大きかった。


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