第4話すれ違いによる罪
「…………これで全部。でも、結局裕太に別れを告げられた時諦められなかった。受け入れるつもりだったのに。頭でしか受け入れてなかった」
「………そうか」
何だよそれ。
美歌がやったことは許されるものじゃない。
でも、全部が悪い訳じゃない。
そうさせたのは俺にもあるじゃないか。
デートの時に女の子らしく、アクセサリーやファッションに美歌はしゃいでいた。その時に一つのネックレスに目を惹かれていたのを良く覚えてる。
頑張れば買えなくもないと、翌日大学に行く前にキープしてもらった。
渡すのは美歌の誕生日。
でも買おうと思ったら、バイトの日時を増やすしかなかった。
多忙で会えないから、せめてメッセージは送ろうと夜に送っていた。
最初はまだよかった。
でも、授業との平行してで徐々に疲れがたまって家に着いた瞬間寝落ちするようになり、メッセージを送ることすら出来ずとなってしまった。
その時に美歌は幼馴染の男と関係を作ってしまった。
〝これは俺の責任でもある〟。
「美歌」
「うん」
名前を呼んだ瞬間、美歌は何もかも諦め受け入れる覚悟をもった表情を浮かべた。
「ごめん」
「な…んで、裕太が…謝るの」
「俺は美歌に辛い思いをさせた」
寂しい思い。不安による怖い思い、それによって浮気した後悔、罪悪感。色んな意味でさせてしまった。
一日だけでもバイトに休みを空けて会いに行けば、一文字だろうとメッセージを打ち、送っておけば。
もうどうにもならない事を今更考えてしまう。
それでも悔やまずにいられない。
「違うよ!私が信じられなかったから弱かったから!」
「美歌は弱くない!弱かったら、自分から妊娠したなんて言わないだろ」
浮気してるなんて、大抵の人は言おうとせず、隠してしまうだろう。
打ち明けて、そのあとどうなるか怖いから。
だから、それを打ち明ける事はとても勇気がいることだ。そして、美歌は打ち明けてくれた。
俺は強いと思う。
弱いのは俺だ。
「俺のほうが弱い。美歌が止めてくれなかったら、辛い気持ちから逃げたくて無視してたかもしれない。それに、美歌の思いも聞かずに別れようなんて言って傷付けた。ごめん」
頭を下げてもう一度謝罪をしてから、俺は話しを続ける。
「だから、悩みとか不安とかあったら、話してほしい」
「…それって…」
「俺は美歌が好きだ。浮気されて裏切られたと感じたけど、美歌が幸せになるならそれで良いって応援するつもりでいた。でも反面で未練がましく一緒にいたいとも思った」
今まで通りとはいかない。
この
「もう美歌を不安にさせたくない」
「今更だけど私…穢れてるよ」
ぎゅっと両手を胸の前で握り締め、上唇を噛む美歌。
「穢れてても俺は美歌がいい…美歌と一緒にいたいんだ!」
「…………ゆうた……わたしも…いっじょに……いだい…ゆうだど…う…ずっどいだいよぉ」
ぼろぼろとまた美歌は泣き始めた。
俺は席から立ち上がって美歌の方まで行き、頭をそっと抱いた。
「もう一度、ここからやり直そう。その為にまずはちゃんと話し合おう」
「…うん………ゆうだ…ありがどう」
「うん」
俺はもう、寂しい思いをさせない。
不安にもさせない。
美歌の側にいる。
絶対に守るんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます