第五章 終焉を告げる。

第37話 「女神様の気持ち1」

(夏樹花恋視点)

俊の事故からだいぶ経ちました。

俊ももう車椅子無しで歩けるようにもなり、少し惜しいですがお世話係はおしまいです。


自慢ではありませんが私の容姿は整っている方だと思います。ですが、必ずしもそれがいいことばかりだという訳ではありません。幸福の裏には常に不幸が付きまとう。その通りです。私にとってこの容姿は幸福では無いので、少し語弊があるかもしれませんが。今日も告白されました。それも知らない三年生の先輩からです。最早呆れました。告白されたと聞くと凄いと思うかもしれませんが、私の思う告白はそのような軽率な行為ではありません。


だって名前も知らない人からいきなり告白されたらどう思いますか? 普通、何故? という疑問が浮かぶと思います。


私はこう言いました。

「私のどこを好きになったんですか?」と。すると先輩は少し考えて「顔かな。」と当たり前のように言いました。もしここで気の利いたことを言っていても結果は同じですがお断りしました。


そういう所です。結局は本当の私を好きな人はいないんです。


私は中学生の頃いじめを受けて自殺しようとしました。そしたら俊が助けてくれました。そこから私の心を俊が独占してるんです。俊じゃなきゃ、ダメなんです。代わりなんて居ないんです。だから、だからこそ私は初めに言いました。「あ、でもまだ答えは出さなくていいですよ!だって、私のこと、何も知りませんよね? なので、もっと時間をかけて答えを出してください!」。


だってここですぐに答えを聞けば今まで自分に告白してきた人達と変わらないですから。それに、俊が私のことを覚えていないことは明白です。


あの時から随分経ちました。今では仲良くなれて、毎日のようにお話したり、お弁当を食べたり、この間はデートにも行きました。


だから私はもう一度俊に気持ちを伝えて、今度は答えをもらおう。そう思います。


でも抜け駆けは禁止です。これは二人にちゃんとお話しようと思います。




「愛海、七海さん。お話したいことがあるので、少しいいでしょうか。」

「うん。良いよ〜。」

「いいよ。」

二人とも快く了承してくれました。私は二人とも人通りの少ない場所へ移動して、私が思ってることを伝えました。すると、二人とも「じゃあ、私もする」と言いました。そこで、色々と考えた結果、告白はするけど、答えは貰わずに、最後にそれぞれが教室に別れて、俊に選んでもらおう。ということになりました。


私はそれでいいと了承しました。勿論他の二人もです。


できることなら私を。でも、俊が本当に好きで、後悔しない選択をして欲しいと思います。






告白するのは今週の土曜日。俊を遊びに誘って、その帰りにしたいと思います。


順番は私が初めに。その次に愛海が、最後は七海さん。この順番です。


神様。どうか、俊が幸せになれますように。

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