第36話 「お世話をしてあげますからね。は? 抜けがけ禁止だよ!?」
4章ラストでございます。話短いです。よろです。
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どうやら花恋さんが俺の車椅子を押してくれるらしい。ありがたい限りだ。
それはいいのだが、何故か空気が重い。特に七海と愛海から発せられるオーラ(?)みたいなやつが黒い。怖すぎる。美少女の怒った顔がこんなに怖いとは知らなかった。
「二人とも⋯⋯どうしたんだ?」
「「花恋(夏樹さん)? 分かってるよね?」」
「へ? なんのことでしょうか?」
「「とぼけるなぁ!」」
何に怒っているのだろう。でもあからさまに花恋さんがあさっての方向を向いているのでなにかやましいことでもあるのだろう。
「花恋さん? 何したの?」
「俊の世話は三人で一日交代って決めたの! 」
「お、おう⋯⋯。」
「愛海だって俊くんの世話をしたいし、七海ちゃんもしたいって言ってたから!」
こうもストレートに恥ずかしい事を言われると面はゆい。
俺は頬をかいてから「ありがとう。」と言った。
結局今日は花恋さんが、明日は七海が、明後日は愛海が俺の車椅子を押してくれるらしい。俺としては正直押してくれるだけでありがたいのだが、その他の世話、つまり荷物を持ってくれたりもしてくれるらしい。
本当に感謝してもしきれない。
俺はこの三人の中から一人だけをいずれ選ばないといけない。本心で言えば誰かを選んで誰かを選ばないのは嫌だが、そんな考えは甘えだ。そう。今までも花恋さんや愛海が言ってくれたから甘えていただけ。もうあの頃とは違う。俺は花恋がただ美少女だということ以外にも沢山知っている。意外と負けず嫌いの所。凄く優しくてでも自分にはとことん厳しい所。
愛海だってそうだ。初めは副会長だし堅苦しい人なのかと思っていたけど、実はちょっと抜けていたり、でもやっぱり根は真面目でやる時はやる。一緒にいて楽しいと思わせてくれる。
七海は言わずもがな。幼い頃から一緒な分、俺の事をわかってくれているので的確な補助をしてくれる。少しいざこざがあったもののやはり俺は七海といる時は楽しい。
これからは自分と向き合ってしっかり考えないといけない。
俺は自分の本心に問いかけ、深く、正解のない。そんな海に潜っていた。
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