第23話 「天使様とプール2」
「愛海⋯⋯。勘弁して下さい⋯⋯。俺、限界」
「ちょ、俊くん!? 大丈夫?」
俺はもう、この世でこれ以上精神にくるものは無いのではないかと言うくらいに疲労していた。
なぜこうなったのかというと時間は三十分程遡る。
★★★
結局お互いの水着を選ぼうということになった俺たちはまずは愛海の水着を選ぶことにした。そして、いざ、女性用の水着コーナーへ突撃! と意気込んで行ったはいいものの⋯⋯
そこにいるのは当たり前だが女性ばかり。男性がいてもカップルで付き添いとか。絶対に俺達もカップルに見られている。
さらに俺の疲れを倍にしたのはそこからだった。
そう。愛海からの「これどう?」「試着してくるね?」そして、俺が似合ってると言うと恥じらいながらの「ありがとう。」だ。それが何回も何回も続いたら流石に疲れるだろう。周りからの視線も生ぬるいし⋯⋯。
★★★
こういうことがあり、俺は疲労困憊だ。
「俊くん? なんか、ぐったりしてるけど⋯⋯大丈夫?」
「あぁ。大丈夫だ。」
まぁ、できるなら「お前のせいだ!」と声を大にして言いたいところだが、俺もジェントルマンなのでやめておこう。もしこんな所でそんなことをしてしまえば間違いなく白い目で見られるに決まっている。
なので先程は弱音を吐いてしまったがそれを我慢してなんとか笑顔を作る。すると何故か愛海までニコッと笑顔になった。
あぁ、結局愛海の買った水着だが、真っ白のビキニで、プールでは何か上から羽織るらしい。
次は俺の水着を買いに行くのだが、正直言って俺は水着なんて履けたらいいと思っているので、そんなに悩まないだろう。
「俊くんをオシャレにコーデするぞ! 名付けて俊くん水着オシャレ化大作戦!」
どうやら俺は盛大にフラグを建ててしまったらしい⋯⋯。まぁ、愛海が選ぶのに間違いはないだろうし⋯⋯ここはどう足掻いても譲ってはくれないだろうから⋯⋯仕方なく着飾られるか⋯⋯。
「愛海⋯⋯。勘弁して下さい⋯⋯。俺、限界」
俺は開始早々にして吐いてしまった弱音と全く同じことを吐いてしまった。
だって仕方ない。愛海が「これは?」とか、「わ〜! かっこいい。にあってる。写真撮ろ!」とか、「えへへー。愛海のタイプ〜。」とか言ってもう、遊ばれてるとしか思えない、今度は疲れもあるし、恐ろしい。何がって? 周りの視線だよ! おひとり様で水着を買いに来ている男子や男子同士で買いに来てる奴ら。その他諸々からの嫉妬の視線や恨みが混じった視線に耐えるのに疲れた。
なので俺はギブアップした。
結局俺の水着は白と水色のグラデーションの入った水着で、上下で三千円程だった。
まぁ、デザインはかっこいいので良かったとは思うが⋯⋯如何せん疲れた。帰って寝よう。
俺はそう強く、もうかつてないほど強く決心してお家へ帰った。
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