第15話 「とある少女の過去。2」

昔むかしある所に一人の少女がいました。

その少女はいじめられ、自殺しようとした所、一人の男の子に助けてもらい、恋をしました。


 男の子は少女のためだけに自らの手を汚し、停学処分となってしまいました。


 男の子の処分中、クラスでは男の子の噂が絶えませんでした。少女は何もすることが出来ませんでした。


また、あんな思いをするのは嫌だったから。

せっかくいじめが無くなったから。

だから少女は何も出来ませんでした。


そして処分期間が終わり、いよいよ男の子が登校しました。


少女は男の子を見るなり、謝ろうと思い、走って近づきました。

そして、「ごめんなさい。」と、深々と頭を下げました。すると男の子は訳の分からないと言った目で少女を見ました。

少女はどうしたのかと思い、尋ねました。

すると男の子はしばらくの沈黙の後にこう言いました。

「君⋯⋯誰だ?」と。


少女は怖くなりました。それと同時に悲しくもなりました。なんで? と、誰に言っても仕方の無い文句を口にしました。


男の子は続けました。

「もし、会ったことがあるんならごめんなさい。俺、どうやら一ヶ月ほど前の記憶を全て失ったみたいなんだ。親に事情を聞いても答えてくれないし、分からないことが多すぎて。だから、名前だけ聞いてもいいかな?」


少女は男の子に心から感謝しました。それに、心から申し訳なく思いました。


だから少女は「ごめんなさい。」と、何回も何回も繰り返しました。


男の子は「謝らなくていいよ。俺は人に謝られるのが好きじゃないんだ。俺がしたくてしたことを謝られても何も嬉しくない。」そういった後、「俺が君に何をしたのかは知らないけどね。」と冗談めかして言いました。


少女は我慢していた涙が一気に溢れ出ました。そして、少女は言いました。


「私の名前は、夏樹花恋なつきかれんです。季節の夏に樹木の樹。名前は花に恋すると書いて花恋です。よろしくお願いします! 俊くん!」


「あぁ。花恋さん⋯⋯か。よろしくな。」


こうして始まりました。

二人の夢が。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る