第3話
警察官「逆探知の結果なのですが・・・」
佐々木「東京駅かうーむ、これは位置情報を偽装しているな。今回のおとり捜査は失敗だったな。」
警察官「佐々木警部が大根役者だったから、すぐに気づかれたんですよ。」
佐々木警部「なにおー」
~ 社内 ~
渡が手伝いをしている会社の名は『JBCコンサルティング』、主に仮想通貨の取引所を運営している。運営している仮想通貨はその匿名性や利便性から特に裏社会での取引や資金洗浄等で利用されている。
ただ匿名性は高いといっても、利用者の本名や住所だけでなく、現在の居場所までも別のメンバーが調査済みであるため、当取引所としての信用は高く、最近は裏社会でない人も利用をしている。
ブーブー
渡はスマホの電話に出た。
渡「・・・はい。JBCコンサルティングです。」
渡は先ほどの件もあり、少し慎重に電話に出た。まぁ特に意味はないのだが。
電話の相手「すみません。私の娘が悪い人達に捕まって、身代金を請求されているんです。」
渡「それは気の毒ですね。警察には相談されましたか?」
電話の相手「はい。ですが、警察もわからない入金先を指定されて、この番号に電話を掛けろと言われたから掛けたのですが・・・」
渡「送金先の口座番号わかりますか?」
電話の相手「はい。」
渡「では送金用にあなたの仮口座を手配しますので、そこに振り込んでください。仮口座から送金先への送付は弊社で実施します。現在のレートですと、1コイン107万円になります。」
入金が完了したようなので、その旨を送金先の口座の主に伝えた。
電話の相手から、再度連絡はなかったので、穏便に片付いたものと思われる。まぁ我々が関与することではないのだけれども。
これが日常である。
ちなみに今回の電話の相手は、財閥系の役員で、娘さんは元モデル。上流社会を生きると敵を作りやすいということだ。
そして誘拐したと思われる送信先の口座は、大手の動画配信サイトを運営する会社であった。まぁここから先はご想像にお任せする。
~ 休日 ~
組織に加入して、初めての休日をいただいた。
研修期間を含め約50日間、毎日12時間以上働かされていた・・・ではなく手伝いをしていた (・・・いわゆるブラック企業である)。
休日には外出が許されるが、渡の心臓のあたりにはチップが埋め込まれているらしく、チップ内のGPSで常に渡の位置情報は特定されており、少しでも逃げようとすれば、爆発し、心臓に穴が開くことになる。
お金はまだないので、公園のベンチでゆったりとしていた。
高校時代の友人が近くにいるのを見かけた。
見たところ、すでに子供がおり、一緒に遊んでいる雰囲気だったので、さすがに声をかけるのはやめた。
渡「俺は大学を卒業して、新卒で入った会社もすぐにやめ、詐欺師なんかして、いつの間にか、裏社会でシステム管理者をやってる・・・」
渡は心の中で、自分勝手だった自分が、昔から人を騙すことが好きで、常に人を騙しながら生きていたことについて、振り返っていた。
・・・渡が改心することはないのだろうが。
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