メリア
第31話。出会い
時は流れ50年
飛影と椿はメリアという国にいた。アイステンペストに関してはスノウが死ぬまでということで椿を住ませてもらい、飛影がモンスターを討伐したり、戦争仕掛けてきた国を亡ぼしたりと色々と暇つぶしをしながら色々なことを椿と学んでいた
そしてスノウが老衰で死んでしまった時に飛影達は旅立った
メリアは自然も多く、ご飯も旨い
そして王であるセツネという人物が強いという噂を聞いて飛影に連れられるままに椿も含めて城の屋根に寝そべっていた
時代は戦争が多発しており世界中が戦乱の時代であった
「あ~だる~」
メリア国の王
先代の王が戦死し僅か二十歳の王がいた
机の上に寝転がって退屈そうに月夜を見ている
王の名前は名字はメリア 名前はセツネ
メリア・セツネはメリア1の魔法使いである
メリア国は代々王は魔法が生まれながらに使える
その魔法は強力でそこらの魔法使いとは桁が違う
セツネも一騎で戦局を覆せると言われている程だ
短髪ショートヘアー 身長は170cm 歳は20歳で無駄な脂肪はついていなく。身体も引き締まっている
だらしなさそうな表情でなければ、顔の造形も整っていて格好いいとも綺麗とも言えるまさしく美形である
「あぁ?誰だ?」
極小ながら気配を感じた瀬恒は外を見ながら面倒くさそうに近くに置いてある槍を手にする
今は戦争中で暗殺もある
だからセツネも身体から武器を離すことはない
だるそうに机から転がり落ち槍を構える
その瞬間だるそうな顔が引き締まり武人の表情になった
(敵は一人…素人に毛が生えた程度か…)
戦闘用に心を入れ替え窓の外に隠れている侵入者を警戒する
普段はバカ王やダル王やサボリ王と言われているセツネだが戦いに関してはその言葉を出 せないほどの人物へと変貌する
「あらまぁ…バレるとは思わなかった」
少し驚きながら余裕の表情で飛影が月の光を背景に姿を現す
完全に気配を消していたつもりの飛影
「あれ?もしかして私のせい?」
少女が微笑みながら少年におんぶされ登場する
「あぁそうだ。残念ながらそっちの少年の方の気配はなかった」
槍で警戒しながら少年を睨む
まだ気配を消しているのか対峙していても気配が感じられない
「あ~やっぱり私かぁ」
少年少女は勝手にセツネの寝室に侵入する 少女の方は軽く落ち込んでいる
「んで?なんだ?殺しに来たのか?」
気配が薄すぎる少年と、気配を隠してはいたが察知できる程度の少女
今戦争している敵国に暗殺部隊がいると噂されていたのをセツネは知っているため
(新人と熟練者だな…って言っても警戒しても気配感じないって…確実に格上だな…そんな強い奴いるって情報無かったんだが…)
少女を新人 少年を熟練者だと認識する
歳が16歳程度 自分より年下に見えてもセツネは油断しない
若いから弱いわけではない
魔法使いや魔法使いモドキ(遺産持ち)が珍しくないこの戦乱の時代において弱いやつが弱いのだ
「あぁ?なんで俺が面倒くさいことしなきゃいけねぇんだ?」
やる気も殺気もない少年
セツネが武器を構えているが攻撃する気はないらしくその場に座り始めた
「ちょ…!!自由すぎでしょ!!失礼だから立ちなさい!!」
少女が少年を立たせようとするが全く動いていない
(新人の教育か?舐められたもんだ)
少年が動かないのは新人に経験を積ませるためと判断する
「来ないならこっちから行くぞ!!」
『どこに?』
魔力を解放し、反則級の上位と言える魔力量を身体強化に回し少女に突撃しようとした際に二人からの敵意も殺意も感じない疑問を聞いて頭からずっこける
「…暗殺しに来たんじゃないのか?」
額を抑えヨロヨロと立ち上がるセツネ
ずっこけたのが原因で死ぬのは恥ずかしい なので気合を入れる
いまいちよくわからないセツネに少年は溜め息を吐く
「だからさっき答えただろ?なんでそんなことしなきゃいけねぇんだ?って」
「…深読みしすぎたミスった許せ」
あははと大きく笑う少年 少女に叩かれてようやくもとに戻る
「うん、お前面白い」
ニッコリと笑顔で国王であるセツネを指差しそう評価する
飛影は今までの50年間で面白いと感じたことは無かった。アイステンペストにいたが、自身が面白いと感じるものもおらず戦いなどに興味があった
そんな飛影の感覚にセツネはヒットした
「自己紹介しようよ」
このままじゃ埒があかないと判断した少女は話を強引に本筋に持っていく
「そうだな。メリア国の国王のメリア・セツネだ。魔法使いでもある。歳は20歳だ」
国王と聞いて少女は軽く驚いているが少年は気にせずふかふかなソファーに寝転がっている
「椿です。歳は66歳で魔法なんか使えません」
「は?」
見かけはセツネよりも幼い
なのに歳は三倍はある しかし王としての観察眼に優れる目から見ても椿の目に嘘はない
「飛影だ。歳は69歳で魔法使いってか魔王だ」
「は!?」
この時代ですら誰でも知っている
魔法使いの王 魔法使いの中で最強の称号 最強の証明である
椿と飛影の歳の差は椿のわがままによるものである
寄生者として生まれたのは飛影が五歳の時
本来なら五歳差であるが、椿が納得いかなくて結局三歳差になった
「魔王ってあの魔王だよな?」
「ん~多分あの魔王ってか気配消したままじゃわからんか?」
飛影が魔力を解放する
「な!!」
視認しても気配がなかった飛影 なぜ今まで気付かなかったのだとセツネは驚愕する
メリア国の最強の魔法使い
その存在がどれだけちっぽけだったのかが素肌で感じ取れた
「よろしくな、セツネ」
「よろしく頼む」
「お願いします」
三人が自己紹介を済ませ頭を下げるのは椿だけ
「そういえば」
「ん?なんだ?」
入ってきた時と同じように窓から出ようとしていた飛影が振り返る
「これでお前と俺は友達って判断でいいのか?」
少し不安そうな表情
だがそれがわかるのは椿だけである
普通の笑顔であった
「当たり前だろ?」
即答
セツネも飛影とは魔王だということに関しては考えず、打算無しに面白そうだと思っていたのため、微笑み返す
「そうか…じゃあしばらくはこの国にいるかな」
頬を掻いて少し照れくさい飛影 それは当然で飛影にとって友達というのはセツネが最初であった
また逆にセツネも友達は飛影が初めてである
「いいよ~だけどご飯が美味しいところ希望~」
脳天気なのか空気を読んだのか椿は笑いながら回答する
「次はどこから来るんだ?」
「面白そうなとこから」
窓から来た飛影と椿
セツネ的には門から来ることを期待していたのだが飛影のよくわからない返事
「楽しみにしてるよ」
笑うセツネは次の日飛影が天井を破壊して現れるのことを今は知らない
椿はそれが予想できたのか苦笑いしていた
「そういえばセツネ」
とろい椿を背負い窓から飛び降りようとしといた飛影が振り返る
「なんだ?」
面白いやつだと思いながらセツネは寝る準備のために机へと座る
「なんで男の格好してるんだ?」
「…」
口が勝手に開き閉じれなかった 唖然としているセツネ
メリア国の国王 メリア・セツネ
歳は二十歳であり、性別は女だ。そのことを知っているのは側近だけ
今は戦乱の時代
女が国王というだけで戦争をふっかけられる
そのためにセツネは男装していた
もともと美形であるため中性的な外見だったから誤魔化しもきいていた
だが僅か20分にも満たない時間しか会っていない飛影に見抜かれていた
驚愕で言葉が発せない
「…なんで?」
唯一振り絞って言葉にできた一言
「見りゃわかるだろ」
何気ない一言
その言葉にセツネは大爆笑していた
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飛影と椿は城から出た後に宿を探しに歩いていた
「椿!!どうだ!!?俺にも友達ができたぞ!!?」
かなり興奮気味な飛影
「できただけでしょ…大切なのはここからだよ」
友達に関しては先輩な椿
友達はできただけでなく、過ごしてこその意味があることを理解している
「おっしゃ!!見てろよ!?」
自信満々な飛影と少し不安そうな椿はメリアで一番高い宿に躊躇なく入る
この50年の間でかなり金銭感覚がぶち壊れていた
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