☆『エメラルドの魔術師』朱鈴

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 第3回気になるどープロジェクト 評価シート



1 作品タイトル『エメラルドの魔術師』

作者名:朱鈴


2 作品のリンクはこちら↓

 

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054894505639


3 尾崎が作品を最初に読んだ日: 


 2020年 8月 30日 


4 メモ(感じたこと、作品内容など):


① 今回は特に要望がなかったので、いつもどおりにやりました。結果的に、トップの3要素と序章を読むだけで終わってしまいました…。


② (良かった点)


(1) ジレンマ


 あらすじの後半だけでも、この物語のやるせない感じが伝わりました。衝突の予感!

   


(2) 絶望感と血なまぐささ


 初っ端(序章)から救いや緩みのまったくない、絶望的展開。これについては良し悪しだと思いますが「振り切ろう!」というような意思が伝わってきます。主人公を甘やかさないのは、エンタメとして大事なことですね。



(3) 悪役


 この男……ぶっ殺す! という気持ちにさせるような、ちゃんとした悪役だと思います。

  


③ (全体を通して気になる点・主な指摘事項)


(1) カクヨムの掴みの3要素が弱め


 特にタイトルとキャッチコピーが弱めだなあと感じました。主人公のエメラルド色の瞳についてや、魔術師が登場すること、男(だよね?)の友情表現あり、その破滅(ちょっと強いワード)があるのも伝わるのですが、気にならないかなあと思ってしまいました。



(2) 内容が入ってこない?


 私だけかもしれません、と最初にお断りしておきます。


 序章を読んでいて感じたのですが、どうも『自然と頭の中に入ってこない』という現象が私の身に起きていました。ちゃんと読めば内容はわかるのだけど、気を抜くと何が書いてあるのかイマイチ認識できておらず、少し前のブロックをふたたび読み直す……ということが、覚えているだけでも2回ありました。


 原因がわかっているところと、いまいちはっきりしないところがあります。動画ではそのうちのひとつを解説していますが、もうひとつはこちらに記述します。


(3) その原因とは?


 上記原因のひとつはわりとはっきりしているのですが、もうひとつはどうしてなのかわからなくて、私の体調さえ疑ったほどです。なので自信を持って「これが原因だ!」とは言えないので、ひとつの仮説と捉えてください。他の読者さんから教えてもらえることを願います。


 まずひとつは、描写の重ね方が適切でない。


 これはしばしば見られます。動画ではおもにこちらについて話していて、特に冒頭がそれに該当すると感じたので、時間をかけて説明してます。描写を重ねること自体がシリアスな雰囲気を醸してはいるのですが、逆に邪魔にもなっているというか、うまく機能していないと感じる箇所があります。


 例えば兵士が『揃いの兜の房飾りを揺らし』ている描写ですが、一見すると画としてはイメージできるので、シーンを映像として見せるためには良い配慮だと思います。


 でもこの状況下で最も読者に伝えたい重要なことは、兵士たちが剣や斧を振るって村人を斬殺していることだと思うんですよ。


 だからその行為をしている時のついでとして『房飾り』が『揺れる』のであれば、ちょうどいい演出になる可能性はあるけれど、現状兵士が故意に房飾りを揺らして遊んでいるような意味にも捉えられ、「いやいやそんなわけないよな」と思いつつも、イメージの選択肢がひとつ余計にできてしまい、スムーズに情報を処理できず脳内におりが溜まっていく感じになるんですよね。


 いわば部屋が華やぐと思って飼ったきれいな熱帯魚が、意外と大量のフンをする種類だったため、ちょいちょい汚らしく見える、という感じでしょうか。


 1プラスになる代わりに1マイナスになってしまう描写であれば、差し引き0なので無くてもよいということになるし、脳内から片づける手間もかかるので、下手をするとマイナスが強くなってしまう場合もあると心得ておくとよいかも。


 もうひとつの理由(仮説)は『あいまいさ』だと思います。


 3人称で書き進めていく時の罠に引っかかってる感じですね。例えば、


引用

『強力な魔術師である彼女の魔術を破ることのできる者は、そうそういないのだ。少なくとも、彼は見たことがなかった。』


 主人公が見たことないなら、それがひとつの真実でよいと思うんです。それなのに『そうそういない』が間に挟まることで、私はひとつの情報を受け取るためにいったん遠回りをしなければなりませんでした。


 もしかしたら大魔術師である祖母のレベルがどれくらいなのか、作者さんの中でもまだ曖昧なのかもしれませんね。


 どうせ亡くなってしまうのだから……と考えると、「それもそうだよなぁ」と納得はできますけど、読んでいて少なからず負担に感じたし、違和感はありました。主人公の中では──あるいは村人達の中では『彼女がこの世界で一番の魔術師だ』という認識の方がスムーズだと思うんですよね。


「うちの〇〇様は世界一の大魔術師じゃけえ、帝国の犬なんぞ全員返り討ちにしてくれるじゃろう」


 などと村人が喋り、そう信じよう、信じようとしている中で、主人公だけが胸騒ぎを感じている……というような対比があった方が、緊迫感が出るんじゃないかなあと思いました。参考までに。


 こうやって見ると『地下室で息をひそめている状況』だからかもしれませんが、こんなに人がいるのに台詞がほとんど使われてないですね。


 それも読み進めにくい理由のひとつかも。思いつきの付け足しですみませんが、もしピンとくるようなら、改善をお勧めします。



(4) 内容としてあんまり…


 あくまで『私は』という話ですが、本作のテーマにはあまり興味が湧かなかったですね……。ほんとすみません。


 作者さんがどうしたいか、この物語をどうして書くのか、作者さんにとって本作の位置づけは何なのか、にも寄ると思いますので、以下はお節介です。


 楽しみで書いているとか、ライフワークだとか、一定のクオリティの小説を書けるという証明のためだとか、そういう目的ならば、この状況から最適な形に磨き上げていくので良いのでしょうが…。


 もしも「本作を大人気作に……!」という願望を持っている場合は、もう少しひねりが無いと望み薄に思えます。第1回、2回の気になるどーではあまり言ってこなかったのですが、ひねりは大事だなーと第3回の書評をしながら感じていたので、いまは敢えて言います。


 トリプルと4回転ジャンプじゃ扱いが違うじゃないですか。作品作りも同じだと思います。


 評価シートも長くなっちゃいましたね。第1回のころを思い出します。


 動画でもそれなりに語っていますが、語り切れなかった感じがするので、たくさん書いてしまいました。


 それではこのあたりで切り上げます。

 

 

☆もっと詳細が知りたい方は、こちらのyoutube動画をご覧ください。

 口下手の尾崎ゆうじが一生懸命細かく解説しています。(だらだらしてるので倍速再生推奨!)

 

 動画のリンク↓  

 https://youtu.be/QrYpKbM4CG4

 


 では、採点に移ります!



5 この作品の『 続きが気になる度 』は……

 

 …


 ……


 …………


 【30%】です!


 序章のラストでは次話に引っ張るような記述になっていて、通常だと「気になるなー」と思うところなのでしょうが、どうもその前に読むためのエネルギーを使ってしまったように感じます。


 重たい内容ですが、それを良い雰囲気で伝えられているわけでもなくて、どうも掴まれないし引っ張られないし…という残念な印象です。


 なんだかこういう評価になってしまうのが、すごく申し訳ないな…という気持ちにさせられる作品でした。



6 読者のみなさまへ:


 → 釈然としない感じですみません。どろどろしたドラマとかが好きな方に関しては、ちょっと覗いてみてほしいです。それでもしも私と違う印象をうけたなら、ぜひ教えてほしいです。今回はどうも悪い方にバイアスがかかっているような気がして、自分でもやや不安なので、よければご協力を!



 以上、最後まで目を通していただきありがとうございます!

 気になった方は、ぜひ↓のリンクからこの作品を読んでみてくださいね!


https://kakuyomu.jp/works/1177354054894505639


 では、次の作品紹介をお楽しみに!


 尾崎ゆうじでした!

 

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