☆『第2回気になるどー 特別フル読み選出作』
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第2回気になるどープロジェクト 評価シート──フル読みバージョン──
第2回気になるどープロジェクト完遂記念のオマケ企画として、前回同様に10作品の参加作品の中から1作品だけチョイスして『勝手にフル読みして感想を正直に述べちゃおう』と思います。
(注)……フル読みとは、キリの良い部分(10万字前後)か、あるいは『気になり続ける限り読む』ことを指します。通読することを確約するものではなく、途中で続きが気にならなくなったらそこで中断する場合もあります。
もちろん「頼んでねーよ」という作者さんは、お手数ではありますけど当ページコメントか近況ノートにある連絡ノートにてお知らせください。気づき次第すぐ消します。
では、今回フル読みに選ばれた作品はこちらです!
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1 作品タイトル『殿下、あなたが捨てた女が本物の聖女です』
作者名:狭山ひびき
2 作品のリンクはこちら↓
https://kakuyomu.jp/works/1177354054897668407
3 尾崎が作品を最初に読んだ日:
2020年 8月 22日 → フル 2020年 8月 24日
4 メモ(感じたこと、作品内容など):
① (フル読みに選んだ理由)
第2回の最後に読んだ作品です。
自分が読み慣れないジャンルだということもあったし、文章の訂正なども少なく、一定の話数も揃っていたので選びました。
あと、前回の評価の際に気になっていた点があるので、果たして今回のフル読みでどうなるのかな、という興味がありました。
② (良かった点)
(1) ざまあ
こちらは言わずもがなで、前回も評価したとおりです。私はあまり読まないですが、ざまあ掴みはちゃんとできていますし、そのあとでもざまあ的な展開があり、そちらもなかなか高揚感があります。
最初のざまあは多少あっさりめで、物足りなくはありますが、後のそれはちゃんとしています。
(2) 各章できちんと起承転結してる
ちゃんと読者のことを考えて作られています。まず各章の最初で謎などの仕掛けをつくり、そこから展開して盛りあげ所をつくり、最後にきちんと落とす、という基本形ができていました。
勘違いしてほしくないのは、基本形ができていたというだけでなく、ちゃんと読者が気にするだろう情報の回収だとか、理由づけだとかをきちんとしつつ、興味を持ってもらえるように工夫しているところが素晴らしい。
起承転結ができてりゃいいって問題じゃないですよね。努力と技術が垣間見えます。
(3) 引っ張り
ほとんどの話に、ちゃんと引っ張りどころを作っている。素晴らしい。
第1章の『人生は~~』だけは、引っ張れていない話がけっこうありますが……そのほかは基本的に引っ張られます。
本音を言うと第1章の途中でやめようかと思ったのですが、そういった各話の引っ張りが効いて、なんとかまだ先を読もうと思えました。企画とはいえ、やはりそういう興味を引く要素が無いと辛いですからね。
その問題点については、後述&動画で説明しています。
③ (全体を通して気になる点・主な指摘事項)
気になる点や指摘事項はいくつかあったのですが、全体的には極めて少ないのではないかと思います。
ただその指摘した点が、けっこう物語の根幹に近い部分ではあるので、まともに私の言葉を受けて改善しようと思ったらかなり骨が折れるとこ思います。ただそこが改善されたら、おそらくもっと伸びる作品じゃないかなと感じています(テーマがどれくらい新鮮なのかにもよりますが。女性向けのラブコメ市場がいまいちわかっていないので、そこは判断がつきません。申し訳ない)
動画でもういっぱい説明しています。細かく刻んで撮影したのですが、結果的に2時間を超えてしまいました。
倍速にしても1時間なので、作者さん以外にはあまりおすすめしません。熟読したので、かけた時間はトータルで10時間くらいだったのかなと思います。
(1) 王子が婚約破棄した理由とその言動
のちに王子が聖女にこだわる理由と、加えてアイリーンにこだわる理由が明確になってくるのですが、それまでは本当に嫌な感じでもやもやします。
それはおそらくフォローが足りないから。王子ざまあだと思っていたのに、作品のストーリーの都合で王子が操られているように見えてしまいました。
ざまあだった王子が、妙に何の説明もなく擁護されているように読める……という気持ち悪さがあるんです。
難しい展開なのでしょうがないですが、それを選んだのは作者さんの責任です。王子が、彼や彼を取り巻く人間一人ひとりの喋る言葉に注意し、必要なタイミングで早めにきちんと読者へ事情を説明し、そのうえで何か事情があるんだな……と早めに匂わせ(5話のそれでは不十分かつ失敗しています)、いろいろと引っ張るために隠しつつもキャラ設定を同時に紹介するような技法を駆使し……と、読者へ不満を与えないようなんとか作り上げてほしいものです。
良い作品が書けると面倒なことが増える、ということですね。成長の機会だと捉えてほしいです。
あともう少しのところだと思います。頑張って。
(2) ざまあのその先へ
普通のざまあ作品だと思ったら意外な展開が……というのがこの作品のストーリーの核なのですが。
その結果、「これって、普通の令嬢ラブコメじゃね?」という印象を与えないよう常に緊張感を持って進めなければならない状況です。僕は2章『糾弾』以降は新鮮に読み続けることができましたが、女性読者にとってはどうでしょうか。
できるかぎり新鮮かつ刺激的で、時にこの作品の売り文句であるざまあ要素を取り入れられる展開を作りながら進まないと、すぐにダレてしまいますから、気を付けた方がよいかと。
(3) ストーリーに係わる設定が…。
詳しくは動画で説明しています。聖女の価値に関する設定のひとつが、ストーリーによってころころ変わっていて、でもそれを統一したら今度はキャラクターの反応も変わってしまう……というポイントがあります。
考えるのが非常に億劫な問題です。
しかし放置しておくと、第1章の『人生は~~』の途中で予定調和っぽいイメージがついて、読みたくなくなっちゃうおそれがあります。私が途中でやめようかなと思ったところも、このあたりが原因なので、私は大事な部分だと考えています。
(4) 第1章が退屈
メインのざまあが終わって次の展開へ──というデリケートな位置で、これといった事件の予兆もなく、ざまあになるような展開もないし、王子は矛盾の多い行動を取るし、ぬるいなあと感じてしまいました。
(この時点の私にはそう感じられました。特に1章14話あたりまでがネック。王子の行動理由がある程度明確になってきてようやくその意味が理解でき、まあまあ許容範囲に収まるのですが、それまで王子は中途半端な気持ち悪い奴でしかないと感じました)
あとは動画で詳しく説明していますので、長丁場ではありますが、ご視聴ください。
☆もっと詳細が知りたい方は、こちらのyoutube動画をご覧ください。
口下手の尾崎ゆうじが一生懸命細かく解説しています。(だらだらしてるので倍速再生推奨!)
フルなので長いです! 作者さんのための特別動画と言ってよいでしょう!
動画のリンク↓
https://youtu.be/KIrMCDdm0SM
では、採点に移ります!
5 この作品の『総合おすすめ度』は……
…
……
…………
【70%】です!
現時点で絶対的自信を持って「おすすめ!」と言えないところが残念ですが、気になるポイントがなんとか改善されたら、私からは90~100くらいでお勧めできるかなと思っています。
特に読みやすさは武器ですし、三章『白とふわふわ』の展開などは、けっこうハマりました。
あとは、私にとっては面白くても、メインの対象読者としている方々がどんなふうに受け取るかはまた別の話ですので、その時はその時で、作者さんの思う通りにやっていくのが良いでしょう。
トータルでどうなるのか、今後が気になりますね!
6 読者のみなさまへ:
→ 1章ではけっこう見逃せないような気になる点が出てくるかもしれませんが、その辺はなんとかなるkamo
、という方は面白いと思いますよ。2章以降はなかなか引っ張り続けてくれるので、よくできた物語ですし、実力のある作者さんだと感じます。
ざまあのその先が見たいなあと望んでいる方は読んでみてはいかがでしょう。
以上、最後まで目を通していただきありがとうございます!
気になった方は、ぜひ↓のリンクからこの作品を読んでみてくださいね!
https://kakuyomu.jp/works/1177354054897668407
では、次の作品紹介をお楽しみに!
尾崎ゆうじでした!
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