★『殿下、あなたが捨てた女が本物の聖女です』狭山ひびき
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第2回気になるどープロジェクト 評価シート
1 作品タイトル『殿下、あなたが捨てた女が本物の聖女です』
作者名:狭山ひびき
2 作品のリンクはこちら↓
https://kakuyomu.jp/works/1177354054897668407
3 尾崎が作品を最初に読んだ日:
2020年 8月 22日
4 メモ(感じたこと、作品内容など):
① 今回は特に要望が無かったので、いつもどおりに読んでいきました。
あんまり指摘する点が無く、指摘動画は短めになりました。
② (良かった点)
(1) 軽やかだぜ
とにかく文章が軽やかで読みやすいですね。全然つっかえることなく読み進めました。リーダビリティ最高。
(2) キャラクターへの共感
主人公のアイリーンに対して最初からちゃんと共感できるような構成になっているのが良いですね。冒頭は舞台設定(というか設定説明)からのスタートになりますが、本作に関してはタイトル→あらすじからの、読者が一番求めているものが『それ』なので、ちゃんと興味を持って読むことができました。
けっ! な主人公が持つ共感の力は偉大ですね。
(3) 動機付けの適格さ
主に主人公が行動(反応)を起こす時の動機付けがしっかりしていて、あいまいさが無くて良いですね。
「なるほどなるほど」とスムーズに読んでいけたのは、文体の軽やかさだけではないということ。読者が(僕が)求めるタイミングを外さずに、きちんと行動の理由を紹介することで、不自然なところがなく引っ張って行ってくれます。
例えば王子の婚約破棄(乗り換え)もそうだし、リーナの鼻につく態度もそうだし、そういう「けっ」となっても許されるところをちゃんと作り上げているのが素敵。
見習わないとですね。
(4) 風景や時代描写
いつもならば、それがいったいいつのどんな時代で、どんな常識があって……のような「舞台の土台をきちんと紹介せい!」と思うのですが、本作の場合は特にこれといった風景や衣装などの描写が無い(改めて見ると本当に無い)にも係わらず、そこに一切目が向かずに読み進めることができました。
これはひとえに、『必要な情報を無駄なく提示』できていることと、『王子や令嬢』といった日本人特有の『王子といえばこんな感じ』みたいなイメージを利用しているからできる芸当だなあと思いました。
ファンタジー世界でこんなに説明がない物語も珍しい(と私は考えたけど、普段読まないだけで先達はけっこういるのかな?)ですね。
王子や令嬢と聞いて、現ウィリアム王子だとかその他のセレブはイメージしないですもんね。これは盲点でした。
とはいえ、それに甘んじているわけでないのが本作です。きちんと簡単に、余計な描写なく、宝珠や王子、ファーマンなどの描写が必要最低限になされていて、ちゃんと読者のイメージを作っています。いいですね。
③ (全体を通して気になる点・主な指摘事項)
(1) 王子の動機
あとで紹介されるのかなあ…? と疑問に思っているのですが、王子が『リーナに乗り換えた理由』なら紹介されているのですが、どうして『聖女だと確定する前に婚約までしたのか』がよくわからないんですよね。
……と、ずっと考えていたら、なんとなくその理由に思い至り、言語化もできたので、もしよければ参考にしてどこかに入れてもらえたら、私のようなひねくれ読者の「んー?」という違和感を消し去ることができるかなと思います。どうぞご自由に判断してください。
要するに、
儀式が行われるまでは誰が聖女になるかわからない=みんなそれまでは(まあ、それからもだけど)自由恋愛をすることも多い=よって聖女となる可能性の高い女性が先に誰かのものになってしまう前に、あらかじめ唾を付けておく=それが王子の婚約という行為だ。
ということなんですよね。昨今自由になってきた恋愛観や結婚観にあてられているせいか、私も常識が無くなってきている(ことフィクションに関しては特に)気がするので、あえてこのように紹介してくれたら納得できるかなあと思います。
(2) ざまあ、の演出が少しあっさりすぎる?
詳しくは動画で説明していますが、最初のざまあがあっさり過ぎる感じがしました。やりすぎるとアイリーンが嫌な女になっちゃうのですが、私はもう少しやっちゃいなでもいいかなと思いました。
思わず心の中で高笑いしたりとか、リーナの嫉妬の目が痛いけど今はそれがぞくぞくと歓喜に感じられるとか、なんか、もう少し感情を強めてもいいかなと思います。
エンターテイメントを楽しむっていうのは、つまるところそういう感情の高ぶりを味わうことじゃないですか。だから高められるところは高めても良いと思います。その高揚感をまた味わうために、私たちはその続きを読み進めていくんですよね、きっと(私はド素人な妻にそれを教わりました)。
ストーリーはすべて語りつくされた、と言われているにも係わらず、今も何百何千という作品が生まれ、同時に私たち消費者がそれを求めるのは、そういう理由じゃないですか。だから共感しにくい過去の作品よりも、今の作品を手に取りやすいわけですよね。
本作に話を戻すと、のちのちの展開がどうなのかにもよりますが、王子ざまあ、リーナざまあの感情は、本作のスパイスなので、うまく引っ張れるよう敵役をしっかり敵役にして、アイリーンの被害者感を出し続けてあげるのが吉かなと思います。
(3) あらすじと、後の展開
結局プロローグを6つ読んだのですが、ざまあの後がどうなるのかが、本作の本当のストーリーですよね。
となると、あらすじにざまあの後の展開というか、聖女認定されたアイリーンが何を目的にどうなっていくのかがちょっとでも紹介されると、さらに期待感を高められるのかなと思いました。(要は、この作品の勝負はプロローグ6の後、ということになるんですよね)
というわけで、そんなに大きな指摘事項も無かったのですが、あとは動画で。
☆もっと詳細が知りたい方は、こちらのyoutube動画をご覧ください。
口下手の尾崎ゆうじが一生懸命細かく解説しています。(だらだらしてるので倍速再生推奨!)
動画のリンク↓ (※今日はなんだかバックのノイズが大きいんですよね…聞きづらかったらすみません)
https://youtu.be/uhYWMIhCMQA
では、採点に移ります!
5 この作品の『 続きが気になる度 』は……
…
……
…………
【95%】です!
ほぼ100%扱いだと思っていいです。結局プロローグ6まで普通に興味を持って読んでしまったので、妥当かなあとは思います。
ただし結局は上記のとおり、その後が肝心の作品であることと、そもそも私が女性向けの作品に新鮮バイアスがあること(読み慣れていないので、どれも新鮮に感じる)から、どーんと100%を出すことは控えました。
真価が問われるのはここからだぞ!
6 読者のみなさまへ:
→ おすすめだと思います。特に女性読者の皆さまは、プロローグの後の展開を確認し、本作の真価を問うてくださいまし!
男性読者は注意! 一人称の女性主人公の視点で進むので、主人公と男性のラブシーンがあった場合はモロに来ます。エンタメの中で最も主観性の強い形式ですからね……そのダメージについては前もってお知らせしておきます。
私はTLやBL漫画も読めますが……漫画はどんなに感情移入しても客観的ですからね。これは盲点でした。
以上、最後まで目を通していただきありがとうございます!
気になった方は、ぜひ↓のリンクからこの作品を読んでみてくださいね!
https://kakuyomu.jp/works/1177354054897668407
では、次の作品紹介をお楽しみに!
尾崎ゆうじでした!
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