『異世界裏稼業 ウルチシェンス・ドミヌス(2)「季節はずれの肝試し」』烏川 ハル
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第1回気になるどープロジェクト応募作品
1 作品タイトル『異世界裏稼業 ウルチシェンス・ドミヌス(2)「季節はずれの肝試し」』
作者名:烏川 ハル
2 作品のリンクはこちら↓
https://kakuyomu.jp/works/1177354054889540724
3 尾崎が作品を読んだ日:
2020年 7月 24日
4 メモ(感じたこと、作品内容など):
今回の作者さんは同じシリーズの2部と4部を同時に応募いただいてます。それぞれの比較もできて楽しみですね。
① タイトルについては、良くもあり、悪くもあり……という印象でした。
『異世界』というワードって、メジャーでもアングラでもいっぱいついていて、「またか……」となりますけど(私も異世界もの書きましたし)、それでもなんか目を引きますよね。これは男のさがなのかな。女性はそうでもなさそうだけど。
で、その『異世界』に『裏家業』が付いて、異世界で裏家業か……とイメージは膨らんだ気がします。そういう意味では良いタイトル。
でも、『ウルチシェンス・ドミヌス』がうまく読めないうえに、結局「主人公かだれかの名前かー」と思ったので、それ自体には力があんまりないことは覚えておいてほしい。
個人的には『ドミヌス』だけはちょっと目を引く。なんでだろう。聞いたことがあるような響きだからかな。耳に残る。
で、さらに2作目ということで、そっちのタイトルも一緒に付いてます。『季節はずれの肝試し』はなかなか面白い。
ただ、それらを俯瞰してぱっと読者視点で見ると、ごちゃっとして良さが埋まっちゃってる気がする。
個人的にはウルチシェンスが要らないように感じたけど、うーん、お任せ。
次にキャッチコピー。良いですね。被害者的な感じが、なんか読みたくなる。
ではあらすじへ。
面白そうな感じだけどなあ。若干、異世界から呼び出される少年が浮いてる気がするけど、本文はどうなんだろう。あと『ウルチ~~』って結局何なんだろう。
『ウルチ~~』はともかく、あらすじで本文を読みたくなりました。
② では第1話。
なるほど。ネットでのコンクール応募の際に、こうやってあらすじを用意するのか。勉強になるな。
初見読者としては、なんか圧迫感があるなあ。
でも作者さんから、そこは読み飛ばしてほしいと言われているので、気にせず第1話から!
まずは世界全体の説明から。そんなに掴める内容かといえばそうじゃないけど、文量も短いし、まだ「裏家業ってどんなんかな」の方が勝ってる。
ゲルエイ、ニ十歳くらいにも見える童顔の女、か。なんか中途半端なイメージだなあ。実際のところは何歳なんだろう。もしストーリー上メインヒロインになるなら、十代に見える童顔か、正式に二十歳前後か、あるいはちゃんと大人の女性か、というはっきりした位置づけが欲しいかなあ。
なんか、あやふやさというか、迷いを感じた。いろんな受け取り方ができるように間口を広げたのか、それとも実際に「大人だけど若く見える」、を表現したかったのか。
どちらにせよ、あまり成功しているようには感じなかった。対象読者が求めてる表現じゃないのでは? という印象。
(特にネット小説やラノベ読者のメインだと考えられる十代の男性読者(のはずなんだけど)は、自分たちが十代ということもあり、ヒロインも十代の方が受け入れられる傾向がある。というのは覚えておいた方がいいかも。なげかわしいね)
特にこれといって年上のお姉さん設定でいこうというのでなければ、単純に若い女性として描写した方が、読者にとっては嬉しいかな。
「ゲルエイだけでどんだけ掘り下げんだよ」と思われるかもしれない。いや、確かにそうなんだけど。
若い女性を表すだけなら他にもたくさん表現の仕方があるのに、なんでこういう表現なのかなあと不思議に思ったのです。そして、あえてそうするメリットが感じられないというか。
後で「本当は見た目以上に何百年も生きてるのよ」みたいな、引っくり返す設定があったとしても、だったらなおさらこの表現は違うかなあと思う。むしろ若い女を全面に出して、それで引っくり返すからこそ物語は面白いんじゃないかな。
いちおう、参考にしてください。
あと、
引用
『ゲルエイとしては、特に問いたげな目をしたつもりはない。それでもこう返すレグなのだから、彼は真面目な男なのだろう、とゲルエイは感じる。』
この文章ですが、なんか違和感だなあと感じたので、可能であれば修正してほしい。作者さんは文章をちゃんと書ける人だと思うので、見てわかると思います。
その後、本文を読み続けました。いろんな人たちの視点から一つのテーマを語って進んでいくようなイメージの物語なのですね。ブギーポップとか、デュラララ!とかそんな感じかな。
③ ピペタ視点でのラヴィは可愛いですね。シンプルな鈍感元気っ子みたいで。
それはともかく、徐々に物語内の問題が浮上していく感じはわかるのですが、私はどうも全体的にダラダラした印象を受けました。
設定や世界観を積み上げていくのもいいんですけど、どうも本当の軸となる『息子たちの様子が変』『呪い』という話の方が埋もれていって、なかなか前に進まないなと不満を感じました。
騎士団のシーンが終わる頃には、『裏家業に関する興味<退屈』という状態になっていました。
第1話としては良くないですね。
モノクとニュース屋のやり取りは、わりと良いかも。すっきりしているけど、それぞれのキャラも立ってるし、モノクに共感しやすい。
次にゲルエイの視点に戻るのだけど、客としてレグが再来。
読者としてはさっきレグには会ったばかりという印象なんだけど、まるでレグが初登場かのような印象を受ける書き方になってる。
だったらゲルエイの方から「商売の方はいいのかい?」とか質問して、それにレグがあーだこーだ応じる方が、まだ自然だと思った。
その後、ケンの視点になりますね。
突拍子もない感じを受けたのは置いといて。あらすじに『前作未読でも、この作品単独で楽しんでいただける仕様です』と書いてあったので、ストーリー上は楽しめるのかもしれないけど、『独立した一つの作品』として捉えられるかといえば、この描写では不十分かなあ。
ケンがいきなり彼らと同じ異世界裏家業の従事者である、という情報がいきなりぶっこまれて、さらにピぺタやゲルエイの裏家業についてもこの時点では語られていなかったので、初見読者がこの2作目から読んだ時には驚きます。(おそらく作者さんの意図しないサプライズ)
まあ、あらすじに書いてあったから、「みんな裏家業メンバーだよね」ということはわかるといえばわかるんだけど……本作から読んだ読者に対しては配慮してないように感じる。
シリーズものとして、1作目から読んでね、ということであればそれでいいけど。どうしたいのかな。
あと、全体を通して一つ感じたのは、確か『剣と魔法のファンタジー世界』だとあらすじにあったのに、呪いや占いは特殊で、オカルトという扱い、という点に疑問を感じた。
魔法のある世界だと思って読み進めていたら、世界全体に呪いがオカルトだという共通認識があったら、気になる。
私は完全に本作から読み始めたので、1作目を読んでいたら違うのかもしれないけれど『呪いや占いはオカルトの類だけど魔法はオカルトじゃない』という世界観は、なんとか工夫して説明してほしい。
一応第1話を全部読んだのだけど、続きが気になって読んだかといえば違う。企画として、何が良くて何が気に食わないのかな……と探すつもりで読んだ。
文章はしっかりしていたので、そういう点で止まることはなかった。
でもけっこう第1話が長いイメージだった。
というわけで、時間もだいぶたっているので、そろそろ採点に入ります。
5 この作品の続きが気になる度は……
…
……
…………
【45%】です!
悩ましかったので、40と50の間を取りました。書き方が常識的で読み安かったのですが、それとは対照に内容は引っ張られなくて残念。
キャッチコピーとあらすじで「お?」と興味をそそられて本文に入るのですが、だんだんと失速していくイメージです。
「気持ち悪いから、試しに1作目から読もうかな」という心持ちにはなりましたが、このまま続きを読みたいとは感じませんでした。
全体の文章構成とか、何がストーリーの軸なのかを意識しながら、そっちを前面に押し出してほしいかなあ。
面白そうな感じがするだけに、勝手にがっかりしてます。
6 読者のみなさまへ:
→うーん。
1作目から順を追って読んでみれば、本作も面白く読めるかも。私も時間を見て、1作目読もうかなあと思っています。
以上、最後まで目を通していただきありがとうございます!
気になった方は、ぜひこの作品のリンクをコピーして読んでみてくださいね!
https://kakuyomu.jp/works/1177354054889540724
では、次の作品紹介をお楽しみに!
尾崎ゆうじでした!
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