『刻旅行 ~世界を越えて家族探し~』ともはっと

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第1回気になるどープロジェクト応募作品


1 作品タイトル『刻旅行 ~世界を越えて家族探し~』

  作者名:ともはっと


2 作品のリンクはこちら↓

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054887032434


3 尾崎が作品を読んだ日: 


 2020年 7月 24日


4 メモ(感じたこと、作品内容など):


 最近は★の数などが先に目に入るようになってきました。


 けっこうな人気作ですね。期待です。


 (評価後半、ちょっとした無駄話があって、文章量が増えました。すみません)



① タイトルは、惹かれるかといえば微妙かな。「どんな話かな」とは思うけど「どんな話なんだろう、読みたいな」という気持ちにはなんないかも。


 キャッチコピーは、なるほど。パラレルワールド系なのに『刻旅行』なのか。なんでだろう。読めばわかるかな。


 結構キャッチコピーいいですね。並行世界~恋したり、まではなんかそこまで刺さらないかなあと真面目に読んでたのですが、最後の1ワードでつい笑いました。大成功。誰が目覚めるのかな……気になる。


 あらすじは、後半にいろいろお知らせが載ってますね。それはまあ作家さんの事情なので抜きにして。


 前半の作品紹介はすごく良いですね。過不足なくて、わかりやすい。パラレルワールドかつ時間軸も変わるから『刻旅行』なのか。


 キャッチコピーも含め、トータルで掴みはオーケーだと思う。少なくとも私は第1話を読みたくなった。



② 第1話を読もうと思いましたが、まずは『??章』のプロローグから始まるみたいですね。ではそちらから。


 最初、意図してやってると思うけど、『赤赤赤』と続くので、ちょっと違和感。最後の『木々を赤く染め』の赤は抜いても読者に通じるので、いかがか。


 翼の無い飛行機の描写ウケるなあ。上手い。


 悲惨な描写から始まる冒頭と、主人公のちょっととぼけた感じがうまく表現できていて、上手いなあと感心しました。掴まれてます。


 ※途中まで読んで思ったけど、燃えてるのに『燃えるような赤』って冒頭に書くのは、リアリティという面ではおかしいような……まあ、読ませたもん勝ちといえば、それまでだけど。



引用

『大切な人達も後部に開いた穴から空へと飛んで行ったのは鮮明に覚えている。』


 ごめんなさい。この主人公ならあえてそういう表現をしそうな気がするのですが、念のための指摘です。


 たぶんみんな普通の人間だと思うので、『穴から空へ飛んで行った』と書くと、もうちょっと考慮して書いてほしいなと思う。できれば『放り出された』とか、「吹っ飛んでいった」とか、ちょっと変えることをおすすめする。


 うーん『だからこそ~~~もう心が折れているのだろう』という一連の心理描写なんだけど、何が伝えたいのかいまいちわからない。


 ここは主人公の性格を表す描写で、同時にどうして他の生存者を助けに行こうとしないのか、のような説明を併せて行おうとしているのがわかるんだけど……。あっちに揺れ、こっちに揺れして思考が定まらない。


 読者としてここを読んだ時にどう思うかを、せっかくなのでお教えしよう。例のごとく【】で私の思いを書きます。


引用

『 大切な人達も後部に開いた穴から空へと飛んで行ったのは鮮明に覚えている【父と義母のことかな】。


 だからこそ、目の前の飛行機が墜落しようが無事であろうが【いや、もう墜落してるから。その言い方はおかしい】、俺以外に生存者がいようがいなかろうが【いようがいまいがどうでもいい、と続くのかな。でもそうしたら、父と義母が生存してるかどうかもどうでもいいってこと? どうなってんだ?】。そこに大切な人がいなかったからそこまで飛行機に対して感慨深くもなれないし、生存者を探したいとも思わない【ごちゃっとしてるな。大切な人がいない→だから残された飛行機本体には興味ないってことかな】。


 探して生存者がいたとしても、その人と一緒に協力してこの場から逃げようとか、助け合ってこの場を切り抜けようとか、そんなことを考えることもしない。【考えることもしないと言いながらまるっと列挙してるけどね】


 いや、考えたところで無駄だろうと俺は思っている。【うーん、ようするにそういう行動をする気が無いって話か】


 助ける気力も沸いてこないのだから、もう心が折れているのだろう【助ける気力が湧かないんだ。心が折れてる、だから無理……ということね】』 


 というわけで、一文一文にいろんな解釈の余地があって、「うーん、こういう意味?」と首を傾げている。


 もう少し整理してほしい。主人公の『無理なものは無理』という気持ちは読者にもわかるから、そこまで正義感に苦しまなくても大丈夫。


 その後も読んでるけど、なんか主人公の心理描写が、読者の考えている『一番想像しやすい思考の流れ』から外れたように感じる箇所が多くて、敢えてそうしているのか、それともただの間違いなのかが掴めない。


 あえてやっているのだとしたら言葉足らずで、「どっちなのよ?」という気持ちになる。たとえば、


引用

『もし家族が一人でも生き残っていてくれたのであれば、この墜落した飛行機の残骸を恨むこともできたのだろうか。』


 という一文もそうなんだけど、なんか言う必要性がないというか。無駄に混乱させられる。


 上記のように、私がここまで読んで想像していた感じだと、主人公は「すでに家族が全員死んでいる」と結論づけているように読めたから、それの補足説明としてもわざわざ付け足す必要はないと思う。


 それに『墜落した飛行機の残骸を恨む』という箇所も、結局家族が生き残っていても『恨む』だけなのだったらいずれ死ぬわけだから、やっぱり諦観していることには変わらないので、「じゃあ、この一文は何のために書いてあるのか?」 と疑問に思った。


 何を伝えたいのか整理してほしい。そしてもう少し早く『義妹の存在と、それを助けられなかったことを悔やむ主人公』という箇所を紹介してほしい。


 いまの状況は、がっかり→無理→助かったかも→でも死んでる→後悔→でも死んでる→手を掴んでれば→でも死んでる……という感じで前に進まず、その場でどたばた踊ってるイメージ。


 そもそも主人公が誰かを助けられるような状態(怪我とか)でないのなら、ああだこうだと考える必要がない。無理なのは無理。読者はそれで納得する。


 「地面に叩きつけられて、動けねえ」→「でも家族が……」→「無理だ、やっぱり動かない」と諦めても、読者は責めないし、主人公の悔しい気持ちや捨て鉢な態度に、共感できると思う。


 ほんの短い文章なのに、しっかり読めば読むほど、「もっとシンプルでいいから、ちゃんと前に進んでほしい」という感想になってしまう。


 プロローグ中盤の要素を挙げてみよう。


 ・家族と俺は離れ離れに放り出された。

 ・家族が全員機外に放り出されたのは、すでに視認できている。

 ・(おそらく)彼らは生きていないだろう。(なんか文章を読むかぎりでは「もう死んだな」と確信してる感じだったから、だとすればそう確信した描写も欲しい)

 ・家族が全員死んだとなれば、あとは飛行機に誰か生存者がいたとしても、俺には関係ない。

 ・まして探し出して、助け出して、この状況を打開しようなんて気力もわかない。

 ・なぜならもう心が折れたのだと思う。

 ・妹だけは助けたかった。

 ・あの時手を放さなければ、あわよくば……。

 ・やっぱりまだ生きてるかもしれないから、探してみようか?

 ・と思ったけど無理だわ。俺××なかった。

 ・いろんな選択肢があったんだよな……でもこんな未来、わかりっこない。

 ・暗闇へ


 私が思う必要な情報は、このくらい。もしもっと必要なものがあれば追加してほしいが、必要な情報以外のものを列挙しすぎると混乱を招く。


 結果、本当なら面白そうな物語だなあと思うのだろうだけど、いち読者として読んでいると


 「掴まれる部分<わかりにくい部分」


 という状態でプロローグを終えた。こんな感じだったら第1話は読まないかなあと思った。


 読者としてはここでストップしました。


③ でも企画ということと、人気な理由をきちんと見たかったので、第1話もざっと読むことにした。


 01-01という箇所ですね。


 うーむ、という感じか。主人公がユニークだなあと思うし、たぶん共感できる人も多いんだろうけど。どうしても荒いなあと思ってしまう。


 ちょっとプロローグで指摘しすぎて01-01の感想を細かく載せる時間は無いですが、魅力はあるので、ちゃんとそれを読者に伝えられているか丁寧にチェックしてほしい。


 読みながら読者は何を考えてるのか、その勘どころというか一端を、この企画で感じてもらえたらいいと思っています。


 そうすれば、いまよりもっとファンが増えるんじゃないかな。ストーリーはきっと改善しなくていいと思うけど、たとえば「その会話が何を伝えたいことなのか」とか、「さっき説明したことを、また数行後に説明してくどくなってないか」とか。


 無視できるといえばできるのかもしれないけど……楽しんで読書できているか、物語に入り込めているかといえば、否です。


 やはり今の時代は、役割分担してチームで創作する時代になるのかなあ……と、本作を読んでなんとなくしみじみ思いました。


 いまのところ、本当に面白くなるだろう箇所に進む手前で、ストップせざるを得ませんでした。とても残念な結果だと思います。


 では、採点に入ります。


5 この作品の続きが気になる度は……

 

 …


 ……


 …………


 【50%】です!


 私の尊敬する人物の一人が、「社長業は改善業だ」と話していました。作家も同じだと思います。読者の求めているものを掴めていないならそういう改善が必要でしょうし、作品の魅力がないなら魅力あるものになるよう改善が必要でしょうし、うまく伝えられないなら効果的に伝えるための改善が必要でしょうし。


 その方は同時に「最初からすべてうまくいくと思うな、そんなの舐めてる」とも言っていました。作品だって、総じて改善点だらけだという認識で、どんどん読者の反応を見ながら改善するのが正解だと、私も考えるようになりました。


 作者さんがこの作品を書く目的は何でしょうか。それをよく考えたうえで、私の言うことに耳を傾けるか、改善すべきか否か、選択するとよいでしょう。



6 読者のみなさまへ:


 →魅力はあります! 何話かでも読んでから判断してほしいです。事故からの、タイムリープおよびパラレルワールド移行で運命を変えていくような話です。(あらすじの知識ですが)興味がある方は、ぜひぜひ。


 以上、最後まで目を通していただきありがとうございます!

 気になった方は、ぜひこの作品のリンクをコピーして読んでみてくださいね!


https://kakuyomu.jp/works/1177354054887032434


 では、次の作品紹介をお楽しみに!


 尾崎ゆうじでした!

 

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