☆『悪噂善真①』ふうと
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第1回気になるどープロジェクト応募作品
1 作品タイトル『悪噂善真①』
作者名:ふうと
2 作品のリンクはこちら↓
https://kakuyomu.jp/works/1177354054897106108
3 尾崎が作品を読んだ日:
2020年 7月 21日
4 メモ(感じたこと、作品内容など):
それではさっそく始めましょう。
① まずタイトル『悪噂善真』ってどう読むんだろう? しっかり読むと、悪い噂、善い真、ということだろうか。私が読者として目を通したならば、わざわざ並んでいる四字熟語をしっかり見て、意味を解読しようとは思わないかな。
これがもしもストーリー上すごく大事な言葉になるなら別だけど、読者の心を掴もうという時には不利でしかない。逆に、全部フランス語とか、ドイツ語とかでも同じ。読めないものは、普通読者は頑張ろうとしない。
カクヨム(なろう、どっちだろう)で、意味不明な文字列のタイトルで、主人公が異世界に転生して言語が通じないから言葉を覚える、というストーリーの物語もありますが、あれはそういう意味ですごいなあと感心します。
ではキャッチコピー。
引用
『噂話が絶えなくなってきた今……』
ちょっとよくわからない。「今、なんなのか」「今、何があるのか」が読者しては重要。タイトルも含めて、どういう話かわからないし、想像もつかなくて、完全にスルーしそう。まずこの時点で読者としては読まないかなあ。
次にあらすじ。どうしよう、引用すればいいのかな。
引用
『世界は人間だけのものではない。
自然がつくるものを人間が壊せるなら、人間がつくるものもいずれ、人間によって壊せる。
私達はそれを止めるべきなのか否か』
これは完全に、『ちょうど悪い』あらすじですね。
世界は人間だけのものではない。その通り。
人間がつくるものもいずれ、人間によって壊せる。その通り。
私達はそれを止めるべきなのか否か。その通り!
……で??
という感じになってしまう。ちゃんと自分の書いた小説を紹介し、それが読者の目に留まるかどうか、興味を持ってもらえるかどうか、真剣に考えてほしい。
いち読者としては、絶対にこの先を読みたいと思わないなあ。
② では①の部分は抜きにして、企画として次に進みましょう。
本作はプロローグから始まるようなので、そちらから。
「このプロローグ、どうしよう……」
という気持ちになった。『恐怖が起きる』って言葉の使い方は普通はしないから、直すなら『高校を中心に起きた恐ろしい出来事』とかかな?
うーん……あなたは何を伝えたいんだ? つまりこれは怪談的な、七不思議的な物語なのかな。
続く第1話を少し読んだら、どうやらそういう『学校の怪談』のような物語らしい。だとしたらプロローグの意味もなんとなく想像がつく。
読者のためを思うなら、読者に読んでほしいと思うなら、このプロローグをあらすじやキャッチコピーに移動して、プロローグは無くしちゃっていいと思う。どうかな。
それで、文章が短いからといってナメない。
そこで何を伝えたいのかをきちんと整理し、どうすれば適格に、正確に伝えられるか考える。
さらにもっと難しくて面倒なことを言うと、何が狙いでその文章を書くのか、を自覚してほしい。
例えばこのプロローグなら、きっと作品全体の説明をしつつ、その雰囲気を伝えたいのだと思ったが、合ってるかな。
仮にそうだとすれば、まず情報を整理しよう。
・これはとある高校を中心に起きた恐怖の物語(恐ろしい出来事)である。
・人々はその噂の真偽については触れない(確かめようとしない)。
・人々は自分の欲求の赴くまま、娯楽のように(悪い)噂を流す。
・その噂には段々と尾ひれがつき、さらに恐ろしいものとなる。
・そしてそれはそのまま世に出回る。
・(他の者の気持ち、というのがどんなものかわかんないけど。多分ネガティブな気持ちなんだろう)
噂を流す時は、それによって他者がどんな気持ちになるかを考えていない。
・そういう考えのない人間はおろかだ。
・一方で、そんな噂に惑わされることのない強い心を持つ人間もいる。
・この世にはどちらの人間が多いのだろうか。
・君はどちらの側の人間だ?
これを丁寧にまとめていこう、と言いたいところだけど……やっぱり何を伝えたいのかわからなかったので、もう一度上記の箇条書きをコピペして、今度は各文末の【】の中に、上記の情報を順に読んだときの私の気持ちを書き記してみる。
つまり作者さんが書いた文章によって、そのとき読者が何を思ったか、を表している。参考にしてほしい。
・これはとある高校を中心に起きた恐怖の物語(恐ろしい出来事)である。【ほう】
・人々はその噂の真偽については触れない(確かめようとしない)。【いきなり飛んだ感じがするけど。高校で恐怖の出来事に関する噂が広まって、その真相がどうなのかは誰も確かめないって意味かな】
・人々は自分の欲求の赴くまま、娯楽のように(悪い)噂を流す。【まあ、あるよね、そういうこと】
・その噂には段々と尾ひれがつき、さらに恐ろしいものとなる。【まあ、そういうこともあるよね】
・そしてそれはそのまま世に出回る。【出ちゃったのかぁ】
・(他の者の気持ち、というのがどんなものかわかんないけど。多分ネガティブな気持ちなんだろうと想像)
噂を流す時は、それによって他者がどんな気持ちになるかを考えていない。【まあ、そういう人も多いかもな】
・そういう考えのない人間はおろかだ。【まあ、そうかもね。浅はかというか。でも、同じ人間でも、そういう愚かな行為をしちゃうことってあるし、一概には言えないんじゃないかなぁ】
・一方で、そんな噂に惑わされることのない強い心を持つ人間もいる。【いきなり今度は受け取り手の話?】
・この世にはどちらの人間が多いのだろうか。【いやー、そんなこと言われても知らんわ。作者さんの独り言? というか、比較対象が違うんじゃない? 愚かな人間か、それとも他者の気持ちを考え噂を流さない人か、っていう比較ならまだわかるけどさ】
・君はどちらの側の人間だ? 【どっちかといえば後者ではあるけど、なんで質問すんの? それが何だっつーの?(イラっ)】
あなたの期待した反応になっているだろうか。もし違うのなら、上記の中に並べるべきでない文章があるか、あるいはもうちょっと足した方が良いところはないか、考えてみよう。
そもそも読者にどんな反応をしてほしかったか、ノートにまとめよう。
期待した反応を得られるにはどうしたらいいか、改善を重ねよう。
メモをしていてなんとなく感じたことは、『世にも奇妙な物語』のタモリ氏が演じるオープニングの雰囲気をイメージしているのかな、ということ。
ああいうミステリアスでちょっぴり怖いイメージは私も好きですし、怪談モノの作品では定番のオープニングですね。あれに近い形で、少女漫画の『絶叫学園』もありますね。参考にいかがでしょう。
気をつけてほしいのは、現状だと作者さん個人が読者に語りかけ、そして個人的な価値観を押し付けようとしているように感じること。これをやってしまうと、読者がイラっとします。
反発を買うと、通常はもう作品を読んでもらえません。
大切なことなので覚えといてください。他者から価値観を押し付けられることを人は嫌います。たとえそれが社会的にほぼ正しいとされていることでも、です。
それでも押しつけたい価値観があるなら構いませんが、大体の読者は「他人を傷つけるような噂を流すのって、まあ倫理的には良くないよね」程度の価値観は持っているはずなので、それをわざわざ押しつけるような真似はしなくていいと思う。
『世にも奇妙な物語』のDVDを借りてみるとわかりますが、まずあの作品の場合は、タモリ氏が『物語の案内人』のような役柄の人物として登場します。
案内人のタモリ氏は、どんな価値観も許容し、傍観しているような、まるで死神のような、ミステリアスな雰囲気を醸しています。だからおそらく上記と同様の質問をテレビの前の視聴者に投げかけたとしても、「タモリに価値観を押し付けられた」という感覚にはならないのでしょう。
加えて彼は大体の視聴者より年長者である確率が高く、また芸能界でも大御所と呼ばれる一人であるため、押しつけられてもイラっとするよりは、何か教えてもらったような感覚になるかもしれません。
さらにテレビの場合はすぐに物語が始まってしまうので「押しつけられた! ムカつく!」なんて自覚する間もなく、ストーリーを追うことになり、そのうち忘れます。
ということを考慮すると、じゃあこの作品はどうしたらいいのか、という提案がひとつ見えてきます。
案内人的なキャラクターを立てればいい。
それだけでだいぶ変わります。少なくとも、価値観の押しつけで読者をイラっとさせる可能性は減るでしょう。
……。
③ プロローグだけでだいぶかかってしまった。いちおう第1話をざっと読んでみよう。
まず冒頭、『―学校の理科準備室にある』という箇所が『1学校』と書いているのだと思ったので、訂正した方がよいかな。通常はこちらの『…』3点リーダー(だっけ?)のように『──』ダッシュは2文字分ならべる。
私が使う時は、『けいせん(罫線)』と打ち込んでます。『ダッシュ』だと--こんな感じで隙間が空くことが多くて、面倒ですがそうやって毎回打ち込んでます。他の作者さんたちがどうしているかは、わかりません。
で、いろいろ文章に違和感のある箇所は多々あったのだけど、
第1話自体はきちんと怪談の体を成していた。緊張感のある場面もあったり、逆に主人公である女子高生の女の子のキャラクターに緊張感がそれほどなくて、思わず笑った。
なんというか、ピュアな作品だなあと感じた。
もうちょっとところどころの描写を丁寧に──たとえば複数のキャラクターが同時に集まっているときは、誰が誰に対して喋っているのかが読者にわかるようにしてほしいとか、そういう要望はあるけれど。
全体的に、だいぶ使い古された『学校の怪談とそれを解決(?)していく』ような形の作品に、新しい視点を加えたような、なかなか面白い内容になっている。
キーパーソンは主人公の女子高生。なので、いずれ何かの機会に大きなリライトをすることになったとしても、そこは絶対にはずさないようにね。
既存の作品で、こんな展開の(主人公の)怪談モノってあるのかな。磨けばわりと好まれる作品になりそうだから、ちょっと頑張って繰り返し改善を試みてほしいです。
では、長くなってしまいました。採点に入ります。
5 この作品の続きが気になる度は……
…
……
…………
【35%】です!
物語自体は面白い発想だとおもったのですが、いかんせん掴みとしては最悪だったので、20%と50%の間を取りました。
作品を読みつつメモをとっているうちに、作者さんが高校一年生であることに気づきました。(もしかしたら今は二年生?)
そんなの関係なくガツガツと指摘しましたが、少し表現は柔らかくしたつもりです。
よくその年代で小説を書いてアップしようと思ったなあと、感心します。中学生や高校生デビューの作家さんって本当にすごいなあと思います。
いろんなものに惑わされず、創作に時間をかけられる時間というのはすごく貴重なので、たくさん本を読み、たくさん書いてほしいですね。
6 読者のみなさまへ:
→いまのところお勧めとは言い難い。でも心優しい読者の方は、ぜひいろいろスルーして、若き作者さんが書いた第1話を読んでみてください。まあ、第1話もいろいろスルーしてほしいところはあるけれど、途中でつい笑ってしまうと思いますから、ちょっと読んでみてください。
もしかすると、この変な魅力にハマるかも? 少なくとも主人公は良い味だしてるんですよー。
もし、良かった! と思う方は、私の方にもコメントくださいね。うれしい気持ちになります。
以上、最後まで目を通していただきありがとうございます!
気になった方は、ぜひこの作品のリンクをコピーして読んでみてくださいね!
https://kakuyomu.jp/works/1177354054897106108
では、次の作品紹介をお楽しみに!
噂を信じちゃいけないよ!
尾崎ゆうじでした!
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