『アルビノで日差しに弱いお嬢様の私が真炎龍《ヴェーラフラモドラコ》の雛を拾ったんですがこの子と一緒に世界一周はできると思いますか?』辺寝栄無(ペンネーム)

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第1回気になるどープロジェクト応募作品


1 作品タイトル『アルビノで日差しに弱いお嬢様の私が真炎龍ヴェーラフラモドラコの雛を拾ったんですがこの子と一緒に世界一周はできると思いますか?』

  作者名:辺寝栄無(ペンネーム)


2 作品のリンクはこちら↓

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054906730127


3 尾崎が作品を読んだ日: 


 2020年 7月 14日


4 メモ(感じたこと、作品内容など):


 ※番外、まずは作者目線で。非常に同情したくなるカクヨムの仕様に悩まされるパターン。カクヨムさんは、なんとかしてタイトルとキャッチコピーとあらすじ欄にもルビが振れるようにしてくれないかなぁ…。結構もどかしいんだよね、作者も、読者もさ。


①さて、上記は運営側に要望を出すとして、↑の件も含めタイトルが割増な感じ。ごちゃっとしている。キャッチコピーの方にいくつか移す、あるいは削った方がいいかも。


 ぱっとタイトルを読んだ時の率直な感想は、下のとおり。


アルビノ「そうなんだ」


日差しに弱いお嬢様「そっか、アルビノだしね、ふーん」


真炎龍「何それ、どんな龍なん?(ちょっと気になる)」


龍の雛を拾う「ほうほう(気になる)」


この子と一緒に世界一周はできると思いますか?「真炎龍がどんなかわかんないけど、龍ならふつう飛ぶよね。だったら…できるんじゃない?(完結)」


というものでした。タイトルだけに関しては、『真炎龍』でなく『龍』だけで充分理解でいい

し、『できると思いますか?』と聞かれたら、読者は上のような回答を思い浮かべ、同時に、読まなくても読了した感覚にすらなる。


 つまり、難易度が低いように思えてしまうのに、達成できるかどうかが物語の軸なんだなー、という認識がその時点ですでに働くので、読む理由がなくなる。


 過去に私が衝撃を受けたのは『これはゾンビですか?』というライトノベルのタイトル。


 それを例に上げると、読者の返答は「いや、絶対ちげーし」のような突っ込みをしたあとで、「…それ、いったい何の話してんの?」と本書に手を伸ばす可能性があります。現に当作品は、知る人ぞ知るベストセラーになりました。


 この例はイロモノなので、じゃあ別の例を。読者が想像しやすい感じにしてみます。


「田舎のヤンキーが家庭教師のトライに3ヶ月間の熱血指導を受けたんだけど、東大に合格できると思いますか?」


 だとすれば、読者は大体「いや、たぶん無理っしょ」という返答をしますよね。


 だけどそのすぐ後に、


「でも合格しないと、大切な彼女がやくざに売られちゃうんだって…」という動機づけを加えられたら、「え、ちょっと待って、それってどうなるの…」という興味に繋がります。


 ヤンキーを応援したいという興味なのか、あるいはヤンキーざまあ、という興味なのかは別として、どちらにせよ作品に対する興味は湧きます。


 ただし本作のタイトルでそれを上手く表現できるかはわかりません。


 私がこの作品の本文を読む限りでは、少女の龍を思う気持ちとかは共感できるし、内容は興味が湧くので、ここで議論するのはあくまで看板に何を掲げて読者の気を引くか、という話に絞られます。


 代替案はいくつか浮かびますが、どうするかは作者さんに委ねます。


② あらすじはスムーズに本文へ誘う。でも一点だけ。


以下引用。


『彼女の夢はいつか家を出て世界を回りそのことを書き留めた本を出すこと。
$$しかし父や母がそんなことを許すはずもなく━━』


 $$マークは私が付けました。この部分で、アルビノを知らない読者は、ん??と思うので、そこで余計な負荷を生まれたことをお知らせします。


 これはタイトルも含む本作の『掴み全体』を通して言えることで、読者によってアルビノに対する認識は一定でない』ということを理解したほうがよい。


 読者によっては知らない場合さえある。もしかしたら対象読者層の3割くらいは初耳かもしれない。


 アルビノとはなんぞ? 色素薄いひとだよね? だからなんぞ? みたいな感想を抱く読者も一定数いるだろう。


 なので、あらすじの$$の箇所に関しては、「父と母が許さない」と表現したほうが無難だと思う。


 『許すはずもなく』と書いてあると、少女の家庭の事情をすでに読者が知っている前提で話が進んでいる感じがする。主人公の女の子の夢が「世界中の男全員と寝たい」だったら、「父と母が許すはずもない」と書かれても「だよね笑」と読者は共感するが、アルビノ=世界一周できないという認識は、読者によっては思い描けないので、そこは適切じゃないと思った。


 なんというか、おそらく作者さんは文章がさくさく浮かぶタイプなのだろう。でも、その後で文章を精査することはあまり無さそう。


 全部日本語の文章としては成立している。


 けどそのさらっと残した一言が、読者にとっては蛇に足が付いているような違和感を抱くこともある。それが積み重なると、作品から離れたくなる。離れてほしくなければ、しぶとくリライトするしかないと思う。



③ 第1話を読んだ。


 タイトルやあらすじなどの文句を裏切るような緊迫感のある書き出しで、引き込まれた。

 

 主人公の意識が遠のき、次の場面に至るまでは、少しだけ首を捻る箇所はあったものの、それに目を瞑ってもいいと思える引力があった。


 まさに掴んで引っ張られた。


 で、余計なお世話だけど、一応首を捻った箇所を伝えたい。


 本文引用

『ちょっとでも早く走れるように最後の気力を振り絞り必死で体を動かす。だがその瞬間、ドクリと心臓が大きく跳ねるような感覚がした。体中からじわりと脂汗がにじんだ』


 この文章、上手いし、あまり他所で見ない言葉の並べ方で、個性も感じるのですが、この主人公がアルビノだ、という前提条件が、今度はちょっと余計な突っ込みを読者にちらつかせる。


 アルビノをよく知らないけど、タイトルやあらすじを読むかぎりでは、この作品の主人公は体が弱いっぽい。


 その主人公が、足の速そうな獣人に追われ、切迫した状況にある。全力で息も絶え絶えで走っている。


 アルビノという情報がなければ、文章は上手いし、ドラゴンの雛も守りたいしで、素直に引き込まれるのだが。


 何を言いたいかはわかると思う。


 この作品の前情報だけを頼りに読むと、


「この主人公って、獣人に追われたら、普通は持久力で即刻負けそうじゃね?」


 と思う読者は多いはず。


 だから、作者さんにはもっと主人公のフォローをしてほしい。要所要所でうまく紹介しておいてほしい。


 アルビノの彼女を父と母は心配しすぎるきらいがあるものの、実は私、体力だけは自信あるのよね!


 とか、


 体力に自信ない、けど自分でも不思議なほど走れている。なんで? ああ、エスペラがいるから…みたいなフォローのこと。


 あるいはもっと全速力で走る描写をリライトして、読者が受ける「ダッシュで長い距離を逃げてるかのような印象」を、作者さんのイメージどおりに修正、操作してほしい。


 1話目は非常にうまく掴みができているだけあって、とても惜しいなあと思う。


 2話も含めて、作品全体でアルビノという設定の取り扱い方を考える必要がありそう。


 作者さん自身が、アルビノのどこからどこまでを設定に使うかが定まってないかんじ。


 今のところ、私の感覚では、日本において、というか世界的にもアルビノの人は少数。彼らは特徴的な見た目で、どうしてそうなるのかと過去に調べたから私は知識があるだけで、詳しくは知らない。大多数がそうだと思う。


 白血病ですらまだまだ一般的ではなく、詳しく説明できるくらい知識がある人はそこまでいないだろう。


 ましてアルビノは病気とも身体障害とも言い難い。私も今はあえてググらずに、記憶にある情報をもとにして書いているので、間違った認識で語っているのかもしれないが、アルビノ=生まれつきの体質だと思っている。


 読者にググってとは言えないので、作者さんがうまく説明するしかない。


 ああ、気づけばまたコメントが長くなってしまった。


 とにかく「主人公はアルビノだ」というのはタイトルで想像つくけど、何がどこまでできるのか、という情報をどこかで徐々にでも読者に紹介していこう、という意識が必要。



 2話目では時系列が戻るのか、それともそれとも? と読者を焦らす展開になっているが、その前半辺りで、すこし少女の境遇やスペックを紹介してほしい。


 そういう必要な情報を随所でもらえないと、不満が募る。2話目は安全な室内での出来事が描かれている場面だから、なおさらだ。


 世話係とのやり取りや汗うんぬんの心配する彼女の気持ちもわからないではないが、その間にでも、少女の明確な制約を提示するなどしてほしい。それが読者への気遣い。


 1話目の逃走劇の結末はどうなったの?? と引っ張られてきた読者が、そのやり取りに飽きて離れてしまう前に。


 現に私は、2話目までひっぱられながらも、世話係とのやり取りがしつこいと思い、その先を読まずに評価へはいった。


 例えるなら、「せっかく接客が良いのに袋づめとかお金の扱いとかの要領が悪くて無駄にイラッとさせてしまう年配のコンビニ定員」のような印象だった。


 もっと工夫してほしい。

 書き出しも、作品の雰囲気も気になる要素を持ってる。龍かわいいっぽいし。

 でも、いまはそれを阻害する要素が多い。


 あと、1話目が文字化けしてる?と思った。ブラウザのせいかと思い、Safariでもマイクロソフトedgeでも試したが同じだったので、作者の意図かと思い、一応翻訳アプリにかけた。


 それっぽい中国語の訳ができたけど、どういう意図があるのか。なんか、別にって感じ。


 カクヨム上で見ると、それが1話目かどうかすらわからなくて、読み飛ばすところだった。


 そういうところを、本当に必要な演出かどうか、精査すべき。


 もしわからないならば、また私にまた依頼するといい。


 タイトル直したけどどうよ?とか。


 とりあえず今は、このタイミングで採点に入ります。



5 この作品の続きが気になる度は……

 

 …


 ……


 …………


 【50%】です!


基準に照らすと、50%の典型例になりました。リライトには一定の時間を要すると思いますが、この作品を書くことに情熱があるなら、やってほしい。面白い作品になりそうな予感あり。



6 読者のみなさまへ:


 →うまく表現できませんが、引っ張る力は強めです。ドラゴン系や、動物相棒系(魔女宅のジジみたいな…)そういうファンタジー要素にキュンとくる方は、ツボを押されると思います。読んでみて。1話目の少女の心の動き、うめーって思うから。


 なので読者さんはリライトを待つか、あるいは2話目以降も読んでみて、ぜひ「尾崎の評価は間違ってたぞ!」と教えてください!


 以上、最後まで目を通していただきありがとうございます!


 気になった方は、ぜひこの作品のリンクをコピーして読んでみてくださいね!

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054906730127


 では、次の作品紹介をお楽しみに!


 尾崎ゆうじでした!


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