茅原美優 



「今からクラスでの係と委員会を決めます。前回やったもの以外から選んで下さい。ではまず……」



続々と決まっていく係、委員会。こういうのは大概楽そうな係や委員会に人が集まるものだ。かくいう俺も、出来るなら楽な係や委員会がいいと思っている派だ。


というより面倒な係を選んでしまった場合、相方の人にもよるけど、俺に仕事を押し付けていくのだ。過去に


「ただでさえお前なんかと一緒の係に入ってやったんだ。せめて俺の役に立てや」


と言われ、週一の仕事が週二になったのは今でも忘れていない。


だから俺は今回これだと思うものを一つ決めている。


「じゃあ次、図書委員会」


ココだ!


俺は即座に手を挙げた。


「他はいない? じゃあ男子は神無月君で決定で、女子は……ええっと……」


まぁ当然こうなるとは思った。


図書委員会はニヶ月に一回の図書室で本の整理や貸し出しの記録と、オススメの本紹介を書くことだけで、他は特にやることのない委員会。加えて何日に誰が仕事をするのかは委員会初日の日に決められ、押し付けたら図書室の司書さん、先生にバレる。


だから必然的に俺が手を挙げれば一緒に仕事したくない人間は手を挙げない。募集が2人なので、仮に三人以上手を挙げればジャンケンで勝った人に決まる為俺を追い出すことも可能だが、


何故なら図書委員会よりも楽な係や委員会が3つほど存在しているからだ。


まだそのうちの2つが残っているというのに、俺と一緒の委員会になるかもしれないというリスクを冒す奴はいない。


………あれ、何故か目から涙が。


昨日家で1時間委員会決めの事を考えていた記憶が呼び起こされる。


「……じゃあ私」


「女子は茅原さんね。オッケー。じゃあ次……」





「はい。じゃあ委員会を終わります。お疲れ様でした」


昼休み、図書委員会のミーティングも終わり、次の授業の準備のために教室に戻ろうとすると、


「神無月君」


「茅原さん。どうかした?」


「あ、いや。その、よろしくね」


「うん。こちらこそ、宜しくお願いします」


珍しいこともあるもんだな。基本クラスメイトに話しかけられることなんてないのに、しかもただこれから宜しくとだけなんて。


まぁいいか。とにかく今の所学校生活はうまくいってるし、


(この力のことについても)


あれから他の何人かの生徒にも俺の力について説明を求められた。その際俺は、


「元々特殊な魔力で、探知されにくかっただけで、実は魔力を持っているんだ」


というように説明をした。炎を浴びて無事だったのも、魔術によって身体強化を施していたからだということにした。


嘘をつくのはあまり気分の良いことではなかったが、これが一番事を穏便に収める手段なのだから仕方がないだろう。

そもそも力を隠す事を辞めたのであって、力の正体を明かすとは言っていないのだ。


まぁお陰で少しだけクラスでの雰囲気がマシになったので、個人的にはまんぞくしている。

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