番外 山河令(2021年2月 ドラマ)
今回は、ドラマを紹介。
2021年2月末より、中国の配信サイト優酷で公開され、瞬く間に爆発的ヒットとなってしまった作品、本来、45話の予定だったが、諸事情で撮影が遅れて予算が不足したため、全36話となった。そのため終盤は、ひどく駆け足である。それでも、十分面白い。youtubeでも公開されている。
尚、英語他字幕はついているが、日本語字幕はない状態である。
実は、あまりに続きが気になったので、優酷の会員となり、三月末までに課金して完走してしまった。
何というか、映像のインパクトが大きかった。比較的低予算ながら、美麗なイラストを思わせるシーンが多々ある。ワイヤーワークを用いたアクションシーンも、ダイナミックさとグラフィックとしての魅力を合わせ持っている。
更に出演者が演技派の、美男美女美少女揃い(二次元超え)主演二人にいたっては並外れた美形の上、演者本人を感じさせずに、魅力的なキャラクターを演じている(二人とも、この作品でトップスターの仲間入りを果たした)
ドラマの原案は、中国の人気作家Priestの小説「天涯客」である。
「魔道祖師」や「天宝伏妖録」と同じく、ネット小説サイト「晋江文学城」の作品。彼女の作品としては、やや古いものになる。
原案と書いたのは、本編や設定を同じ作者の他の作品から借りてきたり、武侠作品へのオマージュがあったり、かなり大胆にアレンジしてあるためだ。
小説はメディアミックス展開があり、「魔道祖師」や「天宝伏妖録」と同じ猫耳FMでオーディオドラマ化されている。そちらの方は原作に忠実。
ジャンルとしては、中国のいわゆる武侠ものに当たる。
舞台となる江湖という概念は、説明が難しいが、西部劇で言うところの西部の概念に近いかも知れない。それぞれの地域にそこを縄張り的に仕切る派閥があり、互いに争ったり、同盟したりして、均衡を保っている世界だ。
武侠ものの場合は、この派閥が各武術の流派に相当する、といったところか。
主人公は暗殺集団「
彼は若くして、高名な武門、四季山庄の主主となり、志を胸に88人の同門と共に、皇族の一人である晋王の下に参じた。
しかし、待っていたのは権力の走狗として、謀略と暗殺に満ちた日々だった。仲間たちが次々と倒れ、脱隊を望んだ最後の一人に自ら手を下した後、自身の体にも同様の刑(ただし余命三年の猶予)を施した上で逐電し、自由の身となった。
物乞いに身をやつし、放浪の日々を送っていたある日、一族を皆殺しにされた少年、
やがて彼らは、あらゆる武術の秘伝を収めた武器庫の鍵、
この周子舒が非常に魅力的なキャラクターで、ドラマの初めの方では人生捨てている感があったのが、温客行や張成嶺との出会いを通じて、変化して行く。
武術の達人で聡明で、強気で頑固で厳しいかと思いきや、優しさや温かさや、相手の全て受け止めて包み込んでしまえるような器の大きさを持ち合わせた人物なのに、どこか儚い。
対する温客行も複雑な感情の葛藤を抱えた魅力的な人物である。
ちなみに原作はBLである。ドラマ化する際に陳情令のように、BL的要素を抜いて……と言いたいところだが、はっきりBLである。
「愛してる」と、告白したり、キスしたり他、直接的なシーンはないにもかかわらず、遠まわしに漢詩や故事に託したり、表情や仕草で伝えてくる感情の波が凄まじい。
大きすぎて、恋愛のレベルを遥かに越えている。だとしたら何なのだろう。説明がつかない。soulmateと言うものか。
海外については、各国から引き合いがあり、現在、アメリカのAmazonで配信されている。日本でも展開がある予定だが、詳細は不明。
衣裳や小物のデザインセンスも非常に良い。温客行の衣裳は洒落ていて、周子舒の渋めで落ち着いた美の衣裳と対照をなしている。
そちらに興味のある人にもお勧め。
周子舒役の俳優さんが、芸能界追放になった。出演作品もほぼ封印。酷すぎる。狙って陥れたのだろう。人のすることじゃない。中国のこういうところは、どうしても好きになれない。 The mills of god glind slowly, but remember, someday you shall pay rewards.
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