参 上から目線を反省

 日本に入って来る中国アニメについて、前々から不思議に思っていたことがある。

 映像、ストーリー含めてクオリティの高い作品を持っているのに、どうして放送しないのだろう? ほぼ、どれも微妙な内容で、一部の人間優越感を満足させるものばかりだ。


 先日テレビ東京のモーニングサテライトで、中国アニメに関する報道があり、後日youtube で公開されたが、付けられたコメントは酷かった。海外の人々が目にしたら、呆れて幻滅することだろう。正直恥ずかしい。今時、日本語を理解できる人は、いくらでもいるのだ。特にアニメ関係では。


 話を戻して、向こうの作品が中々入って来ない理由を幾つか考えた。一つはマッチングミス。中国側、日本側の一方、または双方が勘違いして、日本風に合わせれば売れると考えている。その結果、中途半端で、微妙にずれた作品が入って来ている。どちらかと言うと、日本の側に目利きがいなさそうだ。


 次に収益上の問題。現在の日本アニメだと、出資段階で、放送局や映像、音楽、出版など、商品化に絡む企業を募り、それぞれが必要な作品の権利を得る形になる。

(参考 https://gamebiz.jp/「深夜アニメの製作資金は約3億円…儲ける仕組みや製作委員会の構造とは 今こそ知っておきたいアニメビジネスの特徴を取材」2016年06月17日)

 既に完成している作品に対しては、この方式での権利取得は取りづらいだろう。商品ライセンスをどうするかも問題となりそうだ。

 ブルーレイディスクやグッズ販売で採算が取れるものか、企業側も手を出しづらいだろう。


 また、日本の地上波テレビ枠は日本の作品で飽和状態のため、共同製作でもない限り、入り込むのは難しい。


 最も有望なのは、インターネットなどの配信事業者が購入することだ。向こうの状況も鑑みて親和性が高く、もっとも有望そうだが、これも企業の判断次第だ。


 ここで大事なことに気づいた。

 今までの話は相手側に輸出する意志があることを前提としたものだ。もし、そうでなかったらどうだろう。


 現在、中国で国産の人気アニメはテレビなどでは、放送されない。インターネット配信が主流で、人気作品は課金して見る仕組みとなっている。一部のものは数億ビューを軽く超えてしまう。また、メディアミックス展開、アパレル、化粧品、公式グッズ、コラボカフェ、食品企業や旅行会社との提携など大成功を収めた作品もある。収益は十二分に上がっている筈だ。


 そんな優良商品を、わざわざ制約が多く、縮小市場で利益が望めるかもわからない国に輸出などするだろうか?

 熱心な買い手なら他にいくらでもるし、テンセントのような大手は海外向け配信サイトを持ち、英語字幕付きで配信している。わざわざ手間をかけて日本に売る必要はないのだ。


 全くもって恥ずかしいことに、こちらも上から目線の発想だった。

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