壱 百妖譜(2020年4月 第一季全12話)

 霊医桃夭れいいとうよう(外見は若い女性。いい加減で薄情に思えるが、いざとなると頼りになり、情に厚い)が旅をしながら妖たちの病を治していく物語。妖たちの病は彼らの心から来るもので、桃夭はそれを解き明かしていく。

 中国の中世当たりを舞台にしたファンタジー。bilibili動画にて配信。ネット小説が原作。唐宋伝奇の世界。


 妖が人に向ける温かな眼差し、人が妖に向ける想い。長い時を生き、変わらぬ妖たちと、短い時を生き、変わりゆく人との束の間の交錯とすれ違いを、静かに情感豊かに描く。(切ない話が多い)


 桃夭と共に旅をするのが、見習い僧の少年と小狐。後に蛇精の青年が加わる。結構イケメンだが、この人?怒ると結構怖い。


 最初のエピソードは小狐の話。ある少年に助けられた小狐。少年の願いは苦しんでいる人々を救うこと。全ての命は等しく大事なのだ、と少年は言った。

「おまえが人間だったら、一緒に旅ができるのに」

 その言葉を聞いた小狐は、いつか彼と旅することを夢見て、長い年月をかけて人間に化ける術を得る。だが、ようやく探し当てた少年は人の命を何とも思わない冷酷な将軍になり果てていた。

 やがて将軍は皇帝により粛正されそうになる。狐は別人のようになった彼を、それでも命を捨てて守ろうとするのだった。


 その後、貧しい母子と金を吐く鳥、人狼の青年を救った娘の謎、人間の少年と水の精の友情、盲目の少年のささやかな夢を守ろうとする、小さな竜の話……と続く。


 今回は一季が終わったところ。まだまだ解き明かされない謎があり、続きが見たい。


 動きや表情は、派手なアクションはないが丁寧に描かれている。背景美術も、凄絶さはないけれど美しい。佳作。


 しかし、中国主体だと結構いい作品作れるのに、日中合作の出来がいまいちになるのは何故だろう。双方のマーケティングミス?


追記: 2021年10月8日深夜2時よりCSホームドラマチャンネルにて放送開始。個人的には、少年と池(沼)の精の話が一番好き。

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