お昼①
「はぁ〜」
「まだ今週始まったばっかなのに疲れてんな〜和樹」
俺が椅子に座ってため息を着くと大智から声をかけられた。
「いや、色々あってな」
本当は昨日琴音が全然帰ろうとしなくて結局夜まで居てだる絡みされてた、なんて大智の前で言えるわけないんだよな〜
「そうか」
って言うかもう大智の事手伝えないし琴音は絶対に付き合わないって言ってるしどうすればいいんだよ、なんかいい作戦はないのか?大智が琴音を諦める様にするか琴音を大智に惚れさせるかはたまた違う作戦を考えるか、·····ん〜
「そう言えば琴音ちゃんと一緒に帰ってる時に結構仲良くなったぞ!」
「お〜!それは良かったな」
喜び方がまるで小学生だな、○○くんと仲良くなったよ!みたいな感じで言われても、琴音は特にそんな事言ってなかったし、こんな話クラスの女子が聞いてたらどう思うんだろうか、
「そう言えば和樹って琴音ちゃんと誕生日とかって知っ」
「大智くん···その、今週の土曜日って空いてる···かな?」
と、大智が俺に何かを聞こうとしているとクラスの女子から急に休日の予定を聞かれる。まぁこう言うのはいつもの事なんだけど、どうしてこんな女子にモテるやつが俺なんかと仲良くしてるってまるで奇跡だな。
「土曜日は空いてるけどどしたの?」
どしたのってお前!女子が休日の予定を聞いてるんだから大体わかるだろ!この鈍感が!
「·····その、や、やっぱなんでもないです!」
そう言って女子生徒は顔を赤くして自分の席に戻って行った。あと少し勇気を出せばいいだけなのに、まぁそれが難しいんだろうけど。
「なんか言おうとしてたよな?」
「まぁそうだな」
「俺ちょっと聞いてくるは」
そう言って大智は、さっき顔を赤くさせてた女子の所に歩いて行ってしまった。あ、話し相手が、俺が暇をしていると
ピコンッ
とスマホの通知がなった。大体誰からかは想像が着く。スマホを開くと俺の予想は当たっていた。琴音からRINEで
『先輩!お昼になったら中庭来てください!先輩の妻より』
と、RINEが来ていた。こんな短い文章なのにツッコミどころ満載なんだが、RINEだと長くなりそうだし直接会って言うか。とりあえず俺は
『わかった』
と打ってメールを終わらせる。琴音と学校でRINEするとろくな事がないからな〜中学の時の苦いというか恥ずかしい思い出が、昔の事を思い出していると
キーンコーンカーンコーン
と学校の鐘がなった。すると教室内を歩き回っていた人達が自分の席に戻って行き扉が開き担任の先生が入ってきて出席確認が始まった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「先輩!約束通りに来てくれましたね!私は信じてましたよ!」
俺は琴音に言われた通りに昼に中庭に行った。大智にどこ行くのか聞かれた時はマジで焦ったんだぞ!?
いつも教室で昼食を摂ってるから、言い訳が大変で大変で
「で、なんだよ」
「えへへ〜先輩!私お弁当を作ってきたんですよ!」
「おーそうかー」
「むぅ、なんでそんなに興味無さそうなんですか!」
琴音は頬を膨らませている。そりゃそうだろなんで琴音の弁当作ってきましたって話に興味が出ると思ったんだよ。
「いや、普通興味無いだろ」
「なかなか酷いですね、まぁそう言うと思ってましたけど·····ってそこはいいんですよ」
琴音は後ろに隠していた琴音のよりも少し大きめなもうひとつの弁当を俺の方に差し出してきた。
「なんだよ」
「先輩高校ではお弁当じゃないんですよね?」
「まぁそうだな」
中学の時はくるみねぇに作って貰ってたけど高校に入って一人暮らし始めたからな〜
「そこで私が愛しの先輩のために作って来てあげましたよ!」
「愛しのとか言うな」
「そんな細かいことはいいじゃないですか」
いや、全然細かくないと思うんだけど、高校生で愛しのとか使ってるって多分琴音くらいだと思うんだけど
「さぁさぁ開けてみてください!」
琴音に強引に押し切られてしまった。こうなったらもう聞かないし言っても無駄だな。
諦めて弁当を開けると白米の上に海苔で大好きです♡と切って乗せられてるし色んなものがハートの形になってるし、なんだこれ。俺は落ち着くために一旦蓋を閉めた。
「琴音、これは」
「私特製ラブラブ弁当です♡」
「はぁ」
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