お出掛け(電車編)

◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


「琴音ちゃん大丈夫?」


「だ、大丈夫です」


う〜ホントは全然大丈夫じゃない〜。休みの日だからか人が多くてぎゅうぎゅうになっている。私達は幸いにも3人とも近くにいる。ふと先輩の方を見ると先輩が今にも倒れそうなくらいに疲れていた。大智さん!心配するなら先輩の方を!


いや、でも本当にきつい。もうすぐ駅に着くけどこれは目的の駅じゃない。目的の駅までまだ1駅ある。駅に着き電車が止まると降りる人が一斉に電車から降りていき降りる人がいなくなると次に乗り込んでくる人も沢山来た。


でもそのおかげで先輩が私の目の前に来た!大地さんは離れてしまって人の壁で見えない。大智さんが居ない今!攻めるチャンスです!ありがとう皆さん!

さすがに大智さんの前で先輩に変な事すると先輩に嫌われそうですし.....


電車の扉が締まり電車が動き始めた。

発進する時の揺れで先輩が私の方に倒れてきて俗に言う壁ドンの体制になっている。


「悪い琴音スペースがなくて.....少し待ってくれ」


「だ、だ、だ、大丈夫ですよぉ!?」


恥ずかしいぃぃぃ!私こんな幸せ者でいいんですか!?大好きな先輩に!ヤバいですよこれ!?いつもじゃ絶対こんな事ないから出来るだけ今のうちに堪能しときましょう!って言っても恥ずかしすぎるぅぅ

と、とりあえず抱きついても大丈夫ですよね!?

だってこの状況で恋する乙女が抱きつかないわけないですよね!?私が先輩に抱きつこうとすると


(ガタンッ!)


電車が大きく揺れて先輩が私に覆い被さるようになった。ひゃわぁぁぁ!!!せ、せ、先輩が近すぎます!


「すまん琴音少し我慢してくれ」


「ひゃひゃい!」


ヤバい!ヤバい!ホントに私幸せすぎて倒れそうですぅぅぅ!!!顔、絶対赤いしもうなんか恥ずかしいのと嬉しいのがごっちゃになって、あわわわわわわ///


◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


この体制はマズい!こんなとこ大智に見られたら終わりだ!早急に離れないといけない!·····けど、人が多すぎて身動きが取れない。この体制めちゃくちゃ恥ずかしいんだけど!?とりあえず近くに大智は、いなさそうだな。良かった、って言うかなんでこういう時の琴音は静かにしてるんだよ.....


いつもみたいに弄ってもらった方が気が紛れるんだが、今の琴音は顔を赤く染めて黙りしている。こういう時の琴音は凄く可愛く見えてしまう。


いや!決して惚れたとかではないぞ!?ただ可愛いって思っただけだから!俺は自分にそう言い聞かせた。いつもこうしてれば.....いや、琴音はいつもの方がいいな、ずっとこんな感じじゃ俺の頭がおかしくなりそうだ。ホントは俺のこの位置に大智が居れば完璧だったのに.....


(右側の扉が開きます)


やっと駅に着いた!さっきの数分がめちゃくちゃ長く感じた。俺と琴音は扉側に居たからすぐ出られたが大智は、中心の方にいたので少し降りてくるのに時間がかかった。大智は電車から降りてくるや否や俺と琴音の異変に気づいて


「なんで2人とも顔赤いんだ?」


「え〜と人混みで少し暑くなってしまって、えへへっ」


流石の琴音もここで本当の事は伏せた。


「俺もそんな感じだ」


俺は適当な嘘が思いつかなかったから琴音に同意するように答えた。


「そういう事か琴音ちゃん大丈夫?」


「は、はい、大丈夫です」


「そっか、なら良かった!」


大智は、琴音が大丈夫と言ったのを聞いてホッとした様子だった。流石だな大智は、


「は、早く行きましょ!」


俺達は改札を通り外に出た。この駅は遊園地の前にあるので外に出たら目の前に遊園地がある。3人でチケットを買い遊園地の門をくぐって中に入った。

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