ワイシャツ事件&カップ麺

「·····お、おい琴音·····何してるんだ?」


寝ぼけて見間違えてると思いたい!·····けどこれは現実だ。どうして琴音は俺のワイシャツを着ているんだ...


「こ、こ、こ、これは!そ、そうですよ!先輩にもし好きな人が居たとします!もしですよ!」


琴音は顔を赤くし必死に説明しようとしてくる。


「まぁ居たとして?」


俺は琴音の話をとりあえず聞くことにした。


「で!好きな人のジャージとかって着たいと思いますよね!?」


俺は好きな人がいた事がないから分からないが中学の頃クラスではよく聞いたな〜琴音と同じくらいモテてた同級生のこのジャージを着たいって言う話。俺はその話を聞いてマジでドン引きした思い出がある。なんで人の服を着たいと思うんだよ...


「まぁ思うんじゃないか?知らんけど」


「ですよね!?で、私は先輩が好き。なので着るのは当然ですよね!」


「·····当然なのか?」


あれ?これって俺がおかしいの?もしかして好きな人の服を着るのは普通なの?え、え、わかんないんだけど...琴音が正しいの?


「当然です!」


「これが普通?」


「はい!普通です!」


琴音は自信に満ちた顔をしていた。やっぱりこれが普通.....


「んなわけあるか!」


俺を騙そうとしやがって!危うく騙されるところだった.....寝起きだったから気づくのが少し遅れてしまった。


「さすがに無理か〜」


琴音はため息混じりにそう言った。無理に決まってるだろ!俺が1回でも騙されたことがあるか!


「で、なんで俺の服着てるんだ」


「だから好きな人の服を着たくなるじゃないですか〜」


ホントにそれが理由なの?だとしたらホントに怖いんだけど。なにを企んでるのこの後輩.....あれ?どうしよう冷や汗かいてきた。


「まぁこの服は脱ぐとして」


琴音はブカブカのワイシャツを脱ぎハンガーに戻した。


「先輩起きるの早かったですね」


「まぁな」


眠ることは出来た。ただすごく浅い眠りだった。人を家に入れている状態で眠るのは気が引けた。っと言うのもあるが1番は琴音を俺の家でフリーにする事が何よりも心配だった。そういう不安からか、早く目覚めてしまった。今回の件で俺は、学んだ。琴音を家でフリーにさせない。


ピコンッ


と、スマホがなった。RINEが来た音だ。スマホを開くと大智からだった。


『10時駅了解!』


なんの事だ?あぁ待ち合わせの事か、でも時間言ったっけ?·····まぁいいか。別に返信する必要が無いと思ったので、俺は既読だけ付けてスマホを閉じた。


「先輩お腹すきました〜」


今の時刻は8時ジャスト朝食を取るにはちょうどいい時間だ。


「カップ麺ならあるぞ」


俺は基本食材を買って料理をすることがないのでカップ麺が結構家にある。


「食べたいです!」


「じゃあお湯やるか」


俺はキッチンに行きポットに水を入れスイッチを入れた。こんなんでお湯が出来るなんてホントにいい機械だな〜


「琴音ここから選んでくれ」


俺はカップ麺が入っている袋を琴音に渡した。


「沢山ありますね」


「好きなの選んでいいぞ」


琴音は目を輝かせてカップ麺を選んでいた。琴音はあまりこういうのは食べないのだろう。琴音の気に入るものがあったようで


「先輩これいただきます!」


琴音が選んだのはカップの焼きそばだった。


「わかった。俺のも適当に選んでくれ」


俺はなんでも良かったので琴音に選んでもらうことにした。


「適当になんて選べませんね!」


そう言って琴音は真剣に選んでいた。そんな真剣に選ばなくてもいいのに、まぁありがたいけど。


「先輩は、これで!」


琴音が選んだのは醤油ラーメンだった。きっと適当に選んだんだろうけど俺は少しビビっている。醤油味は俺が一番好きな味だからだ。ま、まぁ偶然だろう。


「ありがとう」


「えへへ〜♡」


お湯が沸いたのでカップ麺に注ぎ3分間待ち、カップ麺が完成した。琴音は、カップ焼きそばを作ったことがなさそうだったので、焼きそばのお湯を捨てる作業をさせると火傷しそうだったからそれは俺がやった。


「「いただきます」」


琴音は凄く美味しそうに焼きそばを食べていた。

久しぶりだな〜カップ麺食べるの、最近ずっと琴音に料理を作ってもらってたから少し味気なく感じてしまう。俺はこの時はまだ知らなかった、もう琴音に胃袋を掴まれていると言う事を.....


朝食を食べ終え時刻は9時20分俺は出掛けるために着替えるために部屋に入ろうとすると


「先輩!ちゃんと着替えられるか見届けてあげます!」


そう言って琴音は俺の後に続いて部屋に入ろうとしてきた。何が「見届けてあげます!」だよ!


「部屋の前で待ってろ」


「嫌です!」


俺は琴音の隙をつき素早く部屋に入り鍵を掛けた。


「む〜まぁわかってましたけど!」


「わかってたならするな!」


なんでこうなる事がわかってたのにやろうと思ったんだよ.....


俺は母親から送られて来た洋服に着替えた。やっぱり母親って偉大だな〜これからはより一層感謝しよ。スマホを開き時刻を見ると9時40分家から駅までは10分程で着くから大丈夫か、俺は着替えを終え部屋から出た。

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