お出掛けのお誘い(作戦)

琴音は茹で上がったうどんをそこの深いお皿に入れ同時に作っていたスープもお皿に入れた。その上に卵と刻みネギを乗せた月見うどんが完成した。それをテーブルの上に並べた。


「いただきます」


「はい!いただきます!」


ただのうどんがどうしてこんなに美味しそうに見えるのか、まるで魔法だな。

俺はうどんを箸でつかみ口に運んだ。


「やっぱ美味しいな」


「くふふっ♡ありがとうございます!」


普通にスーパーで売っているただのうどんだよ!?なのにどうしてお店で出てくるうどんより美味しく感じるんだ·····

俺と琴音は無言でうどんをすすって黙々と食べていた。食べ終わったお皿を洗っていると


「先輩!洗い物しますよ?」


琴音が食べるのを一度止めてこっちを見ていた。


「いや、俺何もしてないからこれくらいやらせてくれ」


洗い物まで琴音にやってもらったら俺はただ食材を無料で貰って料理まで作ってもらっているのに何もしない最低な人間になってしまう。しばらくして琴音が食べ終わったお皿を運んできたのでそれを洗いソファーに腰をかけて、スマホでRINEを開いて大智にあるメッセージを送ろうとした。そのメッセージの内容は·····文字を打っていると後ろから抱きしめるように腕を回された。


「なんだよ琴音」


「先輩が無防備だったのでつい♡」


「離せ」


「先輩何見てるんですか?」


琴音は俺の言葉をスルーしてスマホの画面を覗き込もうとして来た。


「おい人のスマホを勝手に見るな」


「別にいいじゃないですか〜私たち゛恋人゛なんですし!」


「恋人じゃない!」


いつ俺と琴音が恋人になったんだよ。しかもなんでそんな恥ずかしげもなく言えるんだ。だが作戦を仕掛けるなら今だな。


「琴音、明日休みだけど暇か?」


そう!作戦というのは琴音と大智をくっつけるための作戦である!俺は授業中ずっと考えていた。だが作戦をするにもまず2人が仲良くならないと何も出来ない。なので明日3人で出掛けて琴音と大智を仲良くさせる!それが俺の考えた作戦だ。


「明日ですか?暇ですけど」


「って!先輩それってデートのお誘いですか!?」


驚いて少しソファーから離れてあわあわとしていた。


「いや違う暇なら大智も誘って3人で出掛けようかと思ってな」


「先輩と2人きりじゃないんですか!」


琴音は言葉こそ不機嫌そうだったが顔が少しニヤけていて凄く楽しみにしているのがわかる。


「で、明日どこ行きたい?」


場所はどこでもいいのだ、ただ2人を仲良くさせしてしまえばそれでいい!


「ん〜やっぱ無難に遊園地ですかね!」


「わかった。大智に伝えておく。」


遊園地とか久しぶりに行くな〜小学生以来か?中学の時はそういう所に行かなかったからな。


「えへへっ♡先輩とお出掛け〜」


琴音は頬に手を当てて今にもふやけそうな顔をしていた。なんで出かけるぐらいでそんなにテンションが上がるのか...


「今からそんなテンション高くしなくても」


「好きな人とお出かけできるんですよ!?テンション上がるに決まってるじゃないですか!」


これは不意打ちすぎる///こんな急に好きな人とか言われたらさすがに嬉しくなってしまう。

俺の顔が赤くなってるのが琴音にもわかったのか


「あれれ?もしかして照れてるんですか?くふふっ♡」


今の琴音は悪魔のようだ。俺の少しの異変に気づきそれをいじってくる。まさに悪魔そのものだ。

小悪魔系ヒロインと言うジャンルがあるのは知っていたがそんな可愛いものでは無い。恥ずかしすぎるぞこれ!?


「認める、認めるからやめろ!」


このままいじられ続けられるぐらいならいっそ認めてしまった方が楽だろう。だが琴音は予想外の反応をしていた。


「·····え、本当に照れてたんですか///凄い嬉しいんですけど///」


琴音は最初は少しキョトンとしていたが、凄く嬉しそうにしていた。だがそれを顔に出さないように必死に堪えている姿が少し可愛らしかった。

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