後輩は策士だった
「はぁ〜やっと帰れる」
まだちゃんとした授業は始まっていないので午前中の間に帰れるのだが凄く疲れた。早く家に帰って寝たい。
ピコンッ
スマホの通知が来たので見てみると琴音からだった。
『先輩助けてください!体育館裏に男の人に連れていかれてます!』
俺はその文章を見てすぐに教室から出て体育館裏に向かった。何やってんだよ琴音のやつ!連れていかれてるってなんだ、暴力とか振るわれてないよな·····もしかして変な事されてたり·····嫌な想像が膨らんでしまう。体育館裏に着き琴音が居るであろう場所に飛び出すと.....
「俺と付き合ってください!」
男子生徒が琴音に告白していた。俺はすかさず物陰に隠れた。だが琴音にはバレてしまったようで
「せ〜んぱい!何隠れてるんですか〜?」
隠れていた俺の方に来た。顔をニマニマさせながらなぜか嬉しそうにしていた。
「お、おい!どういう事だ!」
「え?そのままの意味ですよ?」
そのまま?俺は琴音から来たRINEを思い返した。
『先輩助けてください!体育館裏に男の人に連れていかれてます!』
これってもしかして告白の事か!?体育館裏に連れていかれていると言うのは告白のために体育館裏に行っているという事か、だがなんで助けて?
まぁ今はそれどころではない。
「おい琴音。いま告白されてた途中だろ!?」
さっきから男子生徒が状況を理解出来ていない様子だ。まぁそりゃそうか
「あ〜じゃあちょっと行ってきますね!」
琴音は男子生徒の前に戻った。
「え、え〜ともう1回言います。俺と付き合ってください!」
男子生徒は頭を下げ手を突き出していた。
琴音はどうするのか...なんて考えなくてもわかるな。
「好きな人がいるのでごめんなさい」
琴音も男子生徒同様頭を下げていた。告白される側も大変だな〜自分も謝らないといけないなんて俺なら申し訳なくて逃げてしまいそうだ。
「好きな人ってそこに居る人ですか?」
男子生徒は俺の方を見て指を指さしていた。
俺を巻き込むんじゃない!俺はただ琴音に騙されてきただけだ!
「そうですけど」
「あんな人より俺の方が琴音さんを幸せにする自信があります!なのでお試しでも!」
おい!あんな人とはなんだ!確かに俺はパッとしないけど。だが琴音は男子生徒が言った言葉を聞いて凄く怒った様なオーラを出していた。
「すいません。私の好きな人を馬鹿にしないで貰えますか!?あと普通に名前呼びしないでください普通に引きます。」
さっきとは打って変わってめちゃくちゃ怖い。さっきまでハイテンションだっだろ!男子生徒の後ろに吹雪吹いてるぞ.....男子生徒は膝から崩れ落ちてしまった。それを見向きもしないで琴音は俺のいる方に歩いてきた。
「さぁ先輩帰りましょ!」
さっきまでの怖さは、なくなりいつも通りのハイテンションな琴音に戻っていた。琴音中学の時はもっとやんわり断ってたような...いつの間にそんな怖くなってしまったんだ。
「あ、あぁそうだな」
俺と琴音は昇降口で靴を履き替え少し距離を取りながら朝来た道を戻るようにして歩いた。俺は人が少ない道に出たので気になっていた話を切り出した。
「お、おい琴音さっきのRINEって...」
「いや〜告白に呼び出されたので先輩助けてもらおうと思ったんですけど先輩隠れちゃうから!」
何が助けてもらおうと思った、だよ!琴音1人で余裕だっただろ!
「あんな呼び出し方はもうやめろ。めちゃくちゃ心配したんだぞ!」
琴音はその言葉を聞くと凄く顔を赤く染めて
「もう先輩はこれだから大好き♡」
何かゴニョニョと口を動かして何かを言っていたんだろうけど、俺には聞こえなかった。歳だからじゃないぞ!確かに琴音よりかは歳をとっているけどまだ高2だぞ!
「あ、あと告白されてる時に俺の事好きって言ったよな」
「はい!言いましたけど!」
さっきまで顔を赤くしていたのにすっかり元に戻りいつも通りのハイテンションお化けに戻った。
「そういう事を言うな」
俺は軽く琴音の頭にチョップをかました。
「む〜別にいいじゃないですか!好きなんだから!」
琴音は頬っぺをプクッとフグのように膨らました。·····こうやって目の前で言われると少し恥ずかしい。本当に何考えてんだかこの後輩は、まぁ無事で良かった。こんな事絶対に口に出しては言わないけどな
「先輩!早くお昼食べましょ!」
「あぁそうだな」
琴音は歩くスピードを少し早めて家に向かった。
俺も琴音に合わせて少しスピードをあげた。
あれ?ちょっと待てよ今早くお昼食べましょ!って言っよな、もしかしてこれってもうお昼一緒に食べるの確定しちゃった感じ?まぁ言ってしまったのだから仕方ないか。なんで学校に行くだけでこんなに疲れるんだ。これからこんな生活が続いていくと思うとどっと疲れが.....俺は今後の事をもう少しちゃんと考えていこうと思った。
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