波乱の一日のメインディッシュ

俺は洗い物を終えてソファーに腰を下ろしテレビをつけた。


「琴音近い離れろ」


琴音は俺の隣に座っている。普通に座るぐらいなら別にいいのだが今の琴音は、俺の腕に抱き着くようにして座っている。


「ここが私の特等席です!」


「いいから離れろ」


俺は琴音を腕から引き剥がし少し距離を取るようにして座った。俺だって最初はこういう事をされた時はドキドキした。だが琴音の本性を知っていくうちにドキドキから何考えてるんだ...っと言う気持ちになって行った。


「むぅ」


琴音は口を尖らせていた。俺と琴音はテレビを見て時間を潰した。


「先輩!こうしてるとなんか夫婦みたいですね♡」


「ほんと琴音ってもったいないよな〜」


「なんですかそれ〜」


どうしてこう恥ずかしいことをすんなりと、もっと他に居るだろうに。そういえば琴音がキュンとするような事を大智にやらせればいいのでは!?


「琴音って男子からどういう事をされたらキュンとするんだ?」


「もしかして先輩!ついに私の事を!!!」


「違うそうじゃない」


どうして俺がやると思ったんだ?俺が絶対にやらないって事ぐらい分かってるだろ。


「ん〜先輩以外に何されようとキュンとしません!なので先輩!私をキュンとさせてください!」


「そんな事しない。で、何されたらキュンとするんだ」


「む〜キュンとするって訳じゃないんですけど積極的と言いますかあんまり相手の事を考えないでアプローチしてくる人は嫌ですね」


あっぶね〜!大智は恋愛経験がないから絶対に積極的に行くところだった.....聞いといてよかった〜

っていうか琴音自身が積極的に来るのにそういう人が苦手なのかよ。


「なるほど」


「先輩だったら積極的に来ても良いんですよ?っていうかむしろ来てください!」


「なんでだよ!」


そういう人が苦手じゃなかったのかよ。でも確かに琴音は男子から人気があるからよく積極的に好意を向けられたり琴音のことを考えずに好意を向ける奴もいるのか。それは嫌だな。

モテてもいい事ばかりではないのか.....


この悩みはきっと大智にもあるんだろうな。

大智もモテるからな〜あれ?今思ったのだが俺の周りってモテてるやつしかいないんじゃないか!?まぁ友達が2人しかいないんだけど.....


「もうこんな時間か、」


時計を見ると時刻は8時をまわっていた。


「そろそろ帰るんだ琴音」


「?反応がない?」


琴音の方を見ると目を閉じてソファーに寄りかかっていた。寝ているのか寝たフリなのか区別がつかない。


「おい琴音起きろ」


いくら声をかけても起きる気配がない。しょうがない奥の手を使うか。俺は琴音が絶対に起きる言葉を知っている。だがあまり気が進まない。でも今日は仕方ない、明日学校だからな。

俺は琴音の耳元で言おうと顔を近ずけると.....


「もぉ〜先輩遅いですよ〜」


そう言ってキスをする時のように唇を向けていた。


「お前やっぱり起きてたのか。あと琴音が考えてるようなことをしない。」


「じゃあ何をしようとしてたんですかね〜♡」


少し意地の悪い笑みを浮かべていた。

くっ...はめられた。この状況だと俺がキスをしようとしたように見えてしまう。


「って言うか起きてるなら帰れ!明日から学校だろ!」


「はいはい。しょうがないから帰りますよ〜」


俺と琴音は玄関に向かった。


「暗いし送るぞ」


「もしかして家族に挨拶を!?しょうがないですね〜先輩は♡」


「あぁ1人で帰りたいのな、わかった。」


もうヤダこの子。なんでそう言う事がすんなり言えるの?もう尊敬しちゃうんですけど...


「嘘ですごめんなさい。」


「先輩に私の家を教えておけば後々得しそうですしね!くふふっ」


「何考えてるのか知らないが行くぞ」


「でも家結構近いですよ?」


俺は、アパートの2階に住んでいるので階段を降り

前にある道路沿いに行こうとすると、


「先輩どこ行こうとしてるんですか?」


「え?どこって道路沿い出ないと行けないだろ」


まって、ちょっと待とうか、もしかして道路沿いに出ないってことは、あれ?この部屋この間まで空き家だったはずなのに空き家じゃなくなってるだと。まさか、な。そ、そ、そんなことあるか?


「先輩ここが私が住んでる場所です!」


琴音が指を指しているのは俺の住んでいる団地の1階でしかも俺の部屋の真下だ。


「お、おい琴音これはわざとか?」


「いや〜高校から近くていい物件がここしか無かったんですよ〜」


確かにここは高校から近くて家賃も安い。学生の一人暮らしにはもってこいの場所だ。


「これからよろしくお願いします!先輩!」


もしかして俺の人生狂い始めた?毎朝琴音が迎えに来るのか?一緒に登校?冗談じゃない!俺は静かに学校生活を送りたいんだ!


「今日は疲れたからもう寝る。」


「はい!おやすみなさい!先輩♡」


俺は自分の家に戻った。今日は色々ありすぎて疲れた。もしかしてこれは夢なのでは!俺はそう思うしかなかった。いきなり琴音が家に来たり親友が琴音の事を好きになったり、俺が住んでいる家の真下に琴音が引っ越してきたりとかもうヤダ。

一日でどうしてこう変わってしまったのだろう。

明日から俺の生活はどう変わってしまうのだろう

俺は色んな不安を抱えながら眠りについた。


◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


はぁ〜今日は楽しかったな〜!大好きな先輩と久しぶりに一緒に居れて!お買い物デートも出来たし♡でもソファーで私が寝たフリしてた時ホントは何しようとしてたんだろう。も、も、もしかして本当に私にき、キスを///あとなんで何されたらキュンとするのか聞いてきたんだろう。


もしかしてなにか企んでるな!

はぁ〜やっぱ先輩といると楽しいな〜先輩私の家知った時すごい驚いてたけど私もそんな感じだったんだよね、まさか上の部屋が先輩の家だったなんて!これってもう運命だよね!明日から先輩と居れる時間が長くなる!私キュン死とかしないよね大丈夫だよね!私は跳ねる気持ちを抑えながら眠りについた。

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