第20話防寒具が出来た

 イトウヒトシ

 レベル27

 STR{}+{{L+S+=A=`I"#‘GA+Z*+SA{=

 VIT21

 AGI1

 INT12

 DEX50

 LUK1

 ステータスポイント115


「よし、このステータスなら大丈夫だろう」


 DEXにステータスを振り、目標である50を超えた。

 これなら糸紡ぎ機も作れるはずだ。残りのステータスポイントは余らせてある。念のため。

 というわけでDIYスキル発動。

 トントントン、ギコギコギコ、トントントン。

 淀みなく作業の手が動く。


「……よし、完成だ」


 以前はほぼSTR任せだったので小さな部品が多い工作機械を組み上げてもすぐに壊れてしまったが、DEXを上げた今は違う。

 色々あったがようやく糸紡ぎ機の出来上がりだ。

 軽く回してみると、歯車も普通に動くし、軸も軋まない。

 とりあえず問題はなさそうに見える。


「早速試してみるか」


 羊の毛を糸紡ぎ機にセットし、くるくると回していく。

 おおっ、いい感じに糸になっていくぞ。

 予め用意しておいた糸車にどんどん羊毛を巻いていく。

 ちょっとガタついているが糸紡ぎ機は正常に動き、あっという間に糸車数十個が紡ぎ終わった。

 紡いだ糸はややほつれてはいるものの、ちゃんとまともな糸になっている。

 出来が良いとはいえないが、この文明レベルなら上出来だろう。


「よし、これを使えば暖かい服が作れるぞ」


 今度は糸車を手にDIYスキルを発動させる。

 作り出したのは羊毛のセーターだ。

 工具を作る時と同様、縫う手順や設計図が頭の中に浮かんでくるので問題なく編み上げることができた。

 何故セーターかというと、寒くなれば外にも着ていけるし、布団代わりにもなるからだ。


「さっそく着てみるか……ってあれ?」


 キツい。頭が入らない。

 頑張って何とか突っ込んでみたものの、首の締め付けが半端ではない。

 どうも小さく作りすぎたようである。


「うわー、やっちまったなぁ」


 ちょっと適当に作りすぎたか。

 DIYスキルはしっかりイメージしないと細部は適当なのである。

 次から服のサイズは大きめに作ろう。

 まぁ布団代わりにも使えるし、よしとするか。


「あらヒトシ様、編み物ですか?」


 いつの間に帰ってきたのか、キャロがひょいっと顔を出してくる。


「ん、ああ。せっかく羊毛が手に入ったしな」

「そうですね。まだ夜は寒いですし。それにしても何です? その妙なモノは」

「これは糸紡ぎ機だ。羊毛をセットして、このハンドルを回すと……」

「ええっ!? ぐちゃぐちゃだった羊の毛があっという間に一本の糸に!? な、何ですか今のはっ!?」


 糸紡ぎ機を見たキャロはよほど驚いたのか大きな声を上げた。

 そういえばこの世界の文化レベルだと、まだ手作業で紡いでるんだっけ。

 適当に誤魔化しておくか。


「あー、これは俺の故郷で使われていた道具なんだ。色んな糸を紡げる機械だよ」

「なんと……大賢者様の故郷はとても進んでいるのですね。家なども初めて見る様式でしたし」


 本当はもっとずっと進んでいるのだが、言ったら面倒そうだし黙っていよう。


「この服も素敵です。見たことのない編み方ですね」


 セーターを手に、キャロはうっとりと目を細める。

 そういえばキャロはいつもボロい服を着ているよな。


「なぁキャロ、よかったらその服着てみるか?」

「にゃっ!?」


 驚いて声を上げるキャロ。


「こ、この服をですか?」

「あぁ、俺には小さすぎてな。貰ってくれると助かる」


 どうせ俺には小さすぎて着れないし、それなら欲しがっている人にあげた方がいいだろう。

 それに商人であるキャロなら、俺にとってはただの衣類であるセーターにもっと価値を見出すかもしれないし。

 例えばこのセーターを他国が欲しがったら、それと交換に他国の様々な物品がこの地に運ばれてくるだろう。

 そうなれば新たな素材が手に入り、俺の求める快適な暮らしにまた近づく。……うん、我ながらいいアイデアだ。


「このような物をいただけるなんて……私は何という幸せ者なのでしょう。本当にありがとうございます、ヒトシ様……ううっ」


 キャロは感極まったように涙ぐんでいる。

 いくら何でも喜びすぎだろう。重過ぎて若干引くんだが。

 まぁ喜んでくれてるようだし、そこまで気にしなくてもいいか。


「この糸紡ぎ機の使い方も教えてやるよ。ほら、こっち来な」

「は、はいっ!」


 ついでに服の作り方も教えておこう。

 服とか自分で作るのは面倒だし、女性であるキャロの方がいいものを作れるだろうしな。

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