コラム 池波正太郎没後三十年(去年は柴田錬三郎没後四十年)
池波正太郎が亡くなった時、私は十歳の子供だった。
たぶん、訃報に接したはずなのに記憶がない。
故人の作品に触れたのは没後六年後。
さらに四年後に私は初めて墓前に手を合わせた。
それから、ほぼ毎年のように柴田錬三郎の墓と共に墓前に手を合わせている。
よく各分野の偉人の中には墓前から声が聞こえ、偉大な発明をするが過去二十年以上している私には声が一向に聞こえたことはない。
まあ、彼らの肉声を知らないせいもあるが、少なくとも意味のある声を墓前で聞いたことはない。
手を合わせながら『ご迷惑なら枕元でもいいから言ってくれれば二度と来ません』と言ってはいるが、霊感がないせいか、現れたことはない。
そして、今年。
正月に『お墓参りツアー、どうしよう? まあ、有休使って……』などと計画していたが新型コロナウィルスで墓前どころか東京に行くことさえ駄目になった。
お墓参りの無い年である。
正直、慣れない。
お墓参りの後に師匠(原幌平晴氏)に会い、酒を飲みながら色々な話をすることも楽しみだった。
だから、今年の出版社各社が出す夏の小冊子(書店店頭にある無料でもらえる文庫紹介)には大いに気にした。
何しろ、池波正太郎没後三十年という節目の年にお墓参りできないのだ。
(まあ、親族でもないのにお墓参りする理由は色々あるけど)
――きっと、各出版社気合を入れてくれるだろう
そう思っていたのに、何の音沙汰もない。
新潮文庫「文豪ナビ」で紹介されたのは嬉しかった。
なので、今からでもいいので出版社の皆様。
池波正太郎の特集組んでください。
ついでに、去年没後四十年の柴田錬三郎の特集も組んでください。
あと、新潮文庫は「文豪ナビ」で柴田錬三郎の本出してください。
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