コラム(って何様?) 『昭和』という時代

 すでに、昭和が過ぎ、平成も終わった。

 最初にはっきり書いておくが、今の令和の時代でも面白い小説や素晴らしい俳優は沢山あって今も生まれているということ。

 決して、「あの時代がよかった」などということは語りたくない。


 ただ、このシリーズを書いていて思うのが昭和に書かれた物語の力強さに圧倒されることがある。

 

 昭和という時代は、不自由な時代である。

 スマートフォンもなければ、インターネットも、メールも、テレビですら珍しかった時代。

 主な情報源は映画かラジオ。

 そんな中に小説はあった。

 みんな、終戦から高度成長へやみくもに働いた。

 今の私たちが見たら『ブラック企業』なんて当たり前だったろうし、禁煙どころか男性なら誰しも煙草を吸っていた。

『弱いのが悪い』時代であり、女性は結婚すれば子供を作り家庭に入る。

 それが当たり前の時代。


 今は違う。

 自由の時代だ。

 手に納まるスマートフォンで世界中の情報を瞬時に把握できた。

 平等の時代でもある。

 障碍者でも政治参加が出来るようになった。

 働く女性、独身女性、シングルマザーも当たり前。

 でも、多くの歪みも生んだ。

 引きこもり、ニート、超高齢化社会、環境問題、国際問題……


 昭和の時代。

 彼らは不自由の中で自由を得ようし、必死で努力した。

 令和の時代。

 私たちは自由になった代わりに不自由になったような気がするし、すでに諦めている自分を見る。


 だから、私は昭和の小説の力におののくのである。

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