第5話 眠狂四郎 無頼控(柴田錬三郎 新潮社)

 江戸時代末期。

 文化も政治も荒廃した時代。

 そこに現れたのは自らを「眠狂四郎」と名乗る無頼の男だった。

 平然と女を犯し、容赦なく敵を殺す。

 

 では、完璧無欠の男かと言えば違う。

 後年作品(そして、このシリーズの最初に紹介した)『御家人斬九郎』のようなコミカルさはほぼないが、徐々に人間味を帯びていくのが分かる。

 そして、最後(全六巻なのだが話は五巻でいったん終わっている)に長い旅路の果てに「あー、これ、純愛物語だったんだ」と思わせる。

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