5話 違和感
「お、お邪魔しまーす」
私は1度家に帰ってお母さんに莉彩ちゃんのお家に持っていくお菓子を用意してもらった。お家にお邪魔させて貰う時は何か持っていくのがマナーらしい。お母さんが教えてくれた。
莉彩ちゃんのお家はとっても大きくて、やっぱり莉彩ちゃんはお嬢様だったんだ、と確信した。
「あら、いらっしゃい。莉彩ちゃんのお友達?…良かったわ、私、莉彩ちゃんにお友達ができるか心配だったの。今日は来てくれてありがとうね。」
中から出てきたのはとても綺麗で優しそうな莉彩ちゃんのお母さんだった。緊張していた私は、その優しそうな声と笑顔に少し安心した。
でも何か違和感があるような…?
「私の部屋に行こう。2階にあるから。」
奥の方から莉彩ちゃんが顔をひょこっと出した。
「あ、待って、お菓子を持ってきたの、これ、良かったらどうぞっ。」
カバンから慌てて取り出し、莉彩ちゃんのお母さんに差し出した。
「あら、わざわざありがとうございます。早速、莉彩ちゃんのお部屋に飲み物と一緒に持っていってもいいかしら?」
「は、はいっ。」
「そんなに緊張しなくていいのよ。
飲み物は何がいい?紅茶かしら、それともジュース?」
「え、えっと、えっとえっと…」
「…おばさん、律葉ちゃんが持ってきてくれたお菓子はフィナンシェだから、紅茶がいいとおもう。 …律葉ちゃん、紅茶、飲める?」
莉彩ちゃんが助け舟を出してくれた。
「う、うん。飲めるよ、紅茶お母さんが好きで一緒に飲むから。」
「なら良かった。私も紅茶好き。」
相変わらずの無表情だけど、本当に紅茶が好きなようで声色は心做しか嬉しそうだった。
…って、ん?おばさん?
お母さんじゃなかったのか。通りでお母さんにしては若いなって思ったんだ。
…そっか、それが違和感だったんだ、納得。
でも莉彩ちゃんのお家なのにおばさん?お母さんお仕事とかでいないからおばさんが莉彩ちゃんの面倒見てるとか?
ぐるぐると頭の中に色んな考えが巡るけれどどれもしっくりこない…
「律葉ちゃん?どうしたの?2階、行こう。」
莉彩ちゃんの声にはっと我に返った。2階に行ってから莉彩ちゃんに聞こう。そうだ、そうすれば答えが分かる。
「うん、行こう。」
莉彩ちゃんのお家は本当に広かった。とても子供部屋とは思えない広さで、私の部屋の2倍以上は余裕でありそうだった。
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